「【今作は、アウシュビッツ強制収容所に連行されたワルシャワのボクシングチャンピオンが、不屈の闘争心で自由を得るまでの姿を描いた実話である。ラストのシーンはジワリと涙が溢れます。】」アウシュヴィッツのチャンピオン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、アウシュビッツ強制収容所に連行されたワルシャワのボクシングチャンピオンが、不屈の闘争心で自由を得るまでの姿を描いた実話である。ラストのシーンはジワリと涙が溢れます。】
■1940年、第二次世界大戦中のドイツ占領下のポーランド。
アウシュビッツ強制収容所に連行されたワルシャワのボクシングチャンピオン・テディ(ピョートル・グロバツキ)は、過酷な労働に従事させられていた。
ある日、テディは衛兵たちの気晴らしに、リングに立たされることになるが、まともな食事も与えられていないのに、華麗なフットワークで連戦連勝していく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作が心に響くのは、死と隣り合わせの状況下で、テディが決して諦めない姿である。
・更に彼は、試合に勝った後、褒美で渡されたパンを、餓えた仲間達に分け与えたり、喘息持ちの少年の為に、自分の傷の手当をした貰った際に、クスリを貰っている。
ー 彼の人間としての、器の大きさが良く分かる。-
・そんな彼の姿に、心動かされた収容所指導者マルチン・ボサックは、彼を別の収容所(アウシュヴィッツより助かる可能性が高い)に送るように指示するのである。
■今作は資料によると、強制収容所でリングに立ち続けた実在のボクサーの物語を元囚人たちや本人の証言をもとに映画化したモノだそうである。
今作では、囚人番号”77”を左腕に彫られたテディが、囚人仲間達の希望の象徴である事が見事に描かれている。
<マチェイ・バルチェフスキ監督は、元囚人たちの証言やテディ本人の記録から今作をドラマティックに描き出したそうである。
凄い人物がいたモノである。>
■ナチスの蛮行を描いた映画は、数知れない事はご存じの通りである。
殆どが、ユダヤの民や、ポーランドの民の末裔が制作しているが、(こちらの方が、リアリティ溢れる作品が多い気がする。)
だが、ドイツ人が自ら製作している作品も多い。
ロシアの現況の愚かしき行為(今でも既に数作のドキュメンタリー映画が公開されている)が、何時か”あんなことは二度としてはイケナイ”と言う想いを込めて、ロシア人監督により映画化される日が来ることを切に願うモノである。