劇場公開日 2023年3月24日

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「ニックとハビの友情物語」マッシブ・タレント おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ニックとハビの友情物語

2023年3月26日
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鑑賞方法:映画館

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ニコラス・ケイジが本人役として主演する、おもしろそうな予告に惹かれて鑑賞してきました。期待どおりのおもしろさと、ちょっぴり感動要素をプラスして楽しい作品に仕上がっています。

ストーリーは、かつての人気が衰え、今や仕事も家族も失い、借金だけが残る落ち目のハリウッドスターのニック・ケイジが、高額のギャラにつられて大富豪ハビの誕生日パーティーに出席して彼と意気投合するが、ハビを国際的犯罪組織のボスとにらんだCIAからスパイ協力の依頼を受け、スパイ映画の主人公さながらに事件に巻き込まれていくというもの。

前半は仕事も家族も問題山積のニックの現状やハビとの交流をコミカルに描き、後半は慣れないスパイ活動やアクションシーンを交えてシリアスに描き、最後まで楽しめます。そんなメインストーリーに、ニックが家族との絆を取り戻すまでの過程を絡めて描いているのが心憎いです。不器用ながらも家族のことを思ってきたつもりだったが、それは自己満足な一方的な愛情であり、やっとそれに気づいて、今度こそ愛する家族のためにと奮い立つニックの姿は、確かにかっこよかったです。

本作は、全編にわたってニコラス・ケイジ愛が溢れており、その象徴とも言える存在がハビです。彼がニックに見せる笑顔や態度、こだわりの脚本や秘密のコレクション部屋などから、とてつもない愛を感じました。そして、そんな彼がニックのために体を張った終盤のシーンは胸熱でした。彼もニックに負けず劣らずイイ男です。

ただ、ツッコミどころは多いです。ハビと組むルカスはさっさと邪魔者を殺さないし、部下も弱すぎるし、だから国際的犯罪組織としての強大さは感じないし、それなのに手が出せないCIAはポンコツだし、おまけに最後はハビは無罪放免なの? まあ、テンポよく展開するアクションコメディということで、流れに身を任せて野暮なツッコミはしないのが吉ですね。

主演はニコラス・ケイジで、大物俳優のプライベートをいい感じで演じています。共演はペドロ・パスカルで、ニックを引き立てながらも存在感を放つ演技が秀逸です。いっそこの二人のバディムービーをスピンオフで創ってほしいくらいでした。

おじゃる