「超豪華キャストでここまで血みどろ作品を作ってしまったことに素直に驚嘆する一作」ノースマン 導かれし復讐者 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
超豪華キャストでここまで血みどろ作品を作ってしまったことに素直に驚嘆する一作
『ライトハウス』(2021)のロバート・エガース監督だから、『イニシェリン島の精霊』と同じく「普通の作品」にはならないよねー、と思ったら、全くもって予想通り!
アニャ・テイラー=ジョイをはじめとしてニコール・キッドマン、イーサン・ホーク、ウィレム・デフォーなど非常に豪華なキャスティングなので、誰がどの場面に登場するのかという楽しみ方もできるんですが、出演者全員があまりにもスカンジナビアの人々になりきっているのと、なかなか凄惨な場面が立て続けに起こるのと、さらに画面の密度が濃いのと、といったいろんな要素が入り交じっているので、いつしかキャスト捜しを忘れて物語世界に入り込んじゃってました。さすが「没入感MAX」という売り文句は伊達じゃないです。
さらに物語としては不幸な生い立ちの高貴な血筋を持つ若者の旅を描く、という「貴種流離譚」の形式を取っているので、筋立てを追うこと自体はそれほど難しくはなく、それがさらに作品に対する没入感を高めています。
とは言っても、やっぱりエガース監督の作風なのか、戦闘を含めた全編にわたる血みどろの描写は、あえて残忍さを誇張しているんじゃないかと思えるほどなので、この種の描写が苦手な人には結構辛い鑑賞になるかも知れません。この点はご留意を。
同じ時期に公開されている、『イニシェリン島の精霊』と並んで、物語から浮かび上がってくる要素の読み解きが楽しい作品です。
コメントする