劇場公開日 2022年7月8日

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「命綱なしで断崖絶壁に挑む男に常識や理屈など通用しない!!」アルピニスト バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5命綱なしで断崖絶壁に挑む男に常識や理屈など通用しない!!

2022年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

命綱なしで、いつ崩れてもおかしくないような断崖絶壁の山を登る男、マーク・アンドレ・ルクレール に密着し、その周辺の人物のインタビューなどをあつめたドキュメンタリー。

全く理解ができない……という人も多いだろう。同じ登山家の中でもフリーソロというスタイルには、賛否が大きく別れる。リスペクトする人たちも内心は心配している。

そもそも理解しようとしてはいけないのだ。命綱を付けても付けなくても、クライミングをする意味など、そもそもないのだから。そんなことをしなくても人生に何の支障もない。

それでは何故、クライミングをするのか……それは、単純に「したい」という欲求からだ。様々な理由をつけることで、その行為に意味を見出そうとするが、答えはシンプルだったりする。

しかし、命の危険性があるとなると、人は不安と恐怖の方が、そういった欲求よりも勝ってしまうからこそ、フリーソロというスタイルには手を出さない。

ところが、クライミングをすること自体が、本能となっていれば別。その行為自体が彼にとっては、食事や睡眠と同じく、人間という動物のもつ本能、つまりイドの一部に組み込まれているからだ。

通常の生活をおくっている一般人がそんな人物の心情に共感できるはずはないし、天才や異才というのは、対象の行為自体が、もはや本能の一部となっている者が多い。常人には理解できない思想や欲求を持っている変人でなければ、天才にはなれない。

作品自体は非常にシンプルで、構成どうこうというより、ほとんどの人が淡々と断崖を上る姿とインタビューで構成されている。

そこに魅力を感じるかというと微妙なところ。作品の出来がどうこうというより、好きな人はどうぞ!というもので、万人受けするような「見せるために魅せる」という演出はあまり感じられない。

バフィー吉川(Buffys Movie)