「これが21世紀コロナ禍の最新テクノロジースリラーだ！恐ろしくスマート」KIMI サイバー・トラップ　とぽとぽさんの映画レビュー（感想・評価）

ProToolsの、MacBookの、AirDropの、USB Type-Cの、そしてインスタの時代 × コロナによるポスト・ロックダウンの現代人の孤独・人恋しさ/近所付き合いと在宅ワーク/フリーアドレスがすっかり当たり前となった働き方の多様化(それに伴う利便性とストレス) = ニュースタンダードな現代を映し出す鏡。

違いは人。ソダーバーグとクラヴィッツによる幸福かつ最高にスリリングな組み合わせ。だからソダーバーグがずっと好きなんだと確信できる作品。『ミッドナイトクロス』などのプロットから差異を伴う反復や伏線回収(ex. 歯磨きと歯痛・歯茎の腫れ、ママとのFaceTime、上の部屋の工事、後ろで勝手に起動するキミ) --- あるいは逆に書かない/明言しない部分も --- 含めデヴィッド・コープによる脚本もよく書けていることは間違いないのだけど、彼が監督でなければここまで映画として優れた形で巧く機能していないとも思える。確信する。
ファーストカットから --- かかっても数カット見れば --- 一見してすぐに彼だと分かる演出、映像や不穏さや厳かさを醸し時に独特な催眠作用さえありそうな音楽。監督の素晴らしいフィルモグラフィーにおいて言うならばポストiPhone(時期)とでも括ろうか。そうした唯一無二/確固たる世界観が今回も冒頭から最後までキッレキレに冴えわたっていた。雰囲気ありありでなんでこんなにも魅惑的なのだろうか。毎度唸らされる実に練られたカメラワークや編集を堪能、どころか目から鱗。この"クセ"が夢中になるくらい好き！展開的には分かっちゃいても、ドキドキハラハラとサスペンスに掛けるのも上手い。

私の強い確信。ゾーイ・クラヴィッツの主演っぷりも素晴らしくて、彼女の存在が複雑な主人公に更に深みを出しては、本作を魅力的に引張っている。
(赤髪だけど)『フィフス・エレメント』か『ラン・ローラ・ラン』から飛び出したような青色の髪の毛やそれにマッチしたオレンジなどポップな服装の主人公アンジェラ。派手髪にも理由ありな他人とのコミュニーケーションの難しさや気分の浮き沈み、精神安定剤の服用と精神科医とのセッション。コロナというばかりか、過去にメンタルヘルス休暇を取得するような暴力を振るわれた経験も影響して、どうやら潔癖症の様子。彼女が事ある毎にアルコールをつけて、手を前に出して緩やかにフリフリ波立たせるのがかわいらしくて印象に残った、これから真似していきたい。
恐ろしい会話を…。そんな彼女が、満を持して外に出てからは角度・傾きや揺れなど -- 時に近づきすぎたり --- ハンディの特徴を最大限かつ常時活かしてアンジェラの感じる世界を表現する。セキュリティ、利用規約、信じられない。世の中の女性軽視や性的暴行にも再三苦言を呈したい。妄想？ふざけんな!!

キミ！いますよ！録音開始。大好きな監督の新作＆100点のビジュアルなので本国のタイミングからずっと見たかった作品をやっと見たけど、正直期待より面白かったし、偉大な監督のまた新たなる偉大なる作品になった。それくらいランドマークに値する。
最高!! メチャクチャ面白くて鳥肌＆ガッツポーズ出てしまった。だからなんでこんなに評価低めなのか不服。このオモシロさ、"キミ"に届け！いや、むしろこの良さ/凄さに気づくの世界で自分一人だけでいい気もしてくる。こんなに熱のこもったレビュー、と言えるかはさておき感想、久しぶりに書いたよ。なんでも"最高"って言いすぎ？実際そうなのだから仕方ない。解決

P.S. ネイルガンよりパテナイフがおすすめだけど防犯面ではネイルガンがおすすめ！教訓

勝手に関連作品『ミッドナイトクロス』『カンバーせーション盗聴』『裏窓』『暗くなるまで待って』『サーチ』
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