「この作品の強み」雄獅少年 ライオン少年 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
この作品の強み
アニメーション作品には実写映画では難しいことができる強みがある(それを行使しない作品もあるが)。例えば、あり得ないカメラアングル、あり得ない風景など。つまりイマジネーションの全てを形にできるところだ。
この作品は部活頑張る系の青春映画にカテゴライズされると思うが、多くの同じカテゴリ作品の場合、主人公の目覚め、主人公のつまずき、修行、師の問題、ライバル、目指す頂き、仲間との絆、ロマンス、まわりを巻き込んでの高揚感、こういったもののいくつかが入っているものだ。しかし映画という尺の問題で全てを入れることは難しい。実写作品の場合は。
この作品は、すでに書いたアニメーションの強みを「あり得ないスピード感」として使い、本当ならば入りきれない青春映画のピースを全てぶち込むことに成功している。
つまり娯楽度マックスなのである。
全体的には「早い」のだが、近年のアクション映画かのようなスローモーションも効果的だ。
魅せるところはしっかり見せて、慌ただしさを軽減している。
もしかしたらスローモーションに見えるところがノーマルスピードなのかもしれない。それくらい全体のスピードは速い。
美しいアニメーションだったかと問われると、そうとは言えないだろうが、アニメーションの強みを存分に活かしたとても楽しい青春映画だった。
今年観たアニメ映画で一番良かったと言っている人をチラホラ見かけるが、似たような感覚になったことは間違いない。
コメントする