「シシまっちゃった。」雄獅少年 ライオン少年 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
シシまっちゃった。
中国のアニメ映画では「ロシャオヘイ戦記」や「白蛇」などはソフトを購入するくらい好きな作品。本作もかなり評判よくて期待して観に行ったけど、途中うっつらしてしまった.。
なるほどテーマはわかりやすい。どんなに貧しくても辛くても故郷で見た獅子舞を思い出せ、いつも心に獅子の魂を持って人生を生き抜け、みたいな。
でも肝心の物語がちょっと残念。
ラストの大会で、今まで仲間と共に練習し過ごした日々がフラッシュバックする、主人公の思いと周りが一体となり皆が太鼓をたたいて応援、最後に意識不明の父親が奇跡的に目覚めるなどなど、どれもこれもいままで何十回見ただろう、こういうの。
こういうど定番で感動させるにはやはり主人公たちを応援したくなる気持ちにさせてくれないと。ところが主人公を筆頭に彼ら三人がなぜあそこまで獅子舞にこだわるかが全くわからない。
出稼ぎの両親に立派な姿を見せてやりたいから?かわいい女の子に会えるから?ただでご飯食べれるから?自分たちはクズではないと証明したいから?負け犬人生から脱却したいから?
まあ、始めるきっかけは何でもいいし、獅子舞だろうが何だろうが夢中になって打ち込めるものがあるのはいいことだと思うけど、でも何故か彼らを応援したい気持ちにならない。
彼らが修行する中で苦難を乗り越え、次第に仲間との絆を深めてゆくといった描写は一切ないし、師匠の話もなんだか。
そりゃあ貧しくて身体も弱い主人公が修行して人々を感動させる獅子舞を舞えば、普通は感動するんだろうけど、何かが足りない。
結局主人公たちの成長してゆく過程があまり描かれなかったため最後まで彼らに感情移入できなかった。もちろん練習風景は描かれてるから技術が上達してゆくのはわかるけど、人間的にどう成長していったかをもっと描いてほしかった。
冒頭での獅子舞少女との出会いのシーン、主人公の頭上で宙返りした獅子舞の口から彼女の顔が垣間見えるシーンはかなり上がったんだけど、最後までこの冒頭シーンを超えられるものはなかった。
CGは実写かと思うくらい緻密で綺麗だったので星一つおまけで。