劇場公開日 2024年1月19日

「一生懸命が伝わっってくる」ゴールデンカムイ 93q2q2さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0一生懸命が伝わっってくる

2024年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

漫画もアニメも大好きです。
原作漫画ではそんなにページを割かずにやってる旅順の所をシッカリやっていて意外でした。時間に限りがある映画という媒体なので、いい加減な映画ならサラッとやったり飛ばしたりする所ですが、杉本の行動原理の根幹の所なので、シッカリ描いて印象付け、漫画のように都度都度描かなくても良いようにしたのかと思いました。アクションシーンもスローうまく使ったりしていい感じに仰々しくてもあり、実写ならではの迫力感もあり、漫画と実写の丁度間をとったような、原作への愛が詰まった作品だと思いました。それは、原作の持つ、食への感謝、異文化(アイヌ)への敬意、戦争のもつ悲劇、人の愛と狂気を残さず描こうとされていた所からも、そう感じえました。
それらを、実写映画の映画っぽさ、実写映画のオリジナリティを出しながら表現しようと一生懸命されていたと思います。アシㇼパのおばあちゃんのフチのあの感じは、原作に対する真摯さが溢れていてちょっと泣きそうになりました。
ゴールデンカムイの面白さは『シリアス』と『おふざけ(笑い)』の絶妙感だと思っています。
『おふざけ(笑い)』が秀逸で絶妙な間で入ってくるので、お話に緩急がついて『シリアス』パートの説得力が増し、伝えたい事がグッと入って来て物語にも入っていける気がします。
実写化で一番懸念してたアシㇼパもCMで見たときに「あっ、アシㇼパ」と思いましたし、『17才の帝国』『荒ぶる季節の乙女どもよ』でも、いい感じだったので期待はしてましたが、山田杏奈は予想以上でした。アシㇼパのオソマの時のなどにみせる『変顔』も漫画ぽかったですし、台詞回しもアニメの白石晴香の感じを何処となく感じさせられて、他メディアからも吸収して自作に活かし自身オリジナリティにしようとされている気がしました。それをしても芯が振れないシッカリしたとってもいい女優さんだと思いました。
鶴見中尉は「アニメに劣らないいい声の人がやってる~」と思いました。
極道主婦のときの感じのON/OFFをよりアップさせて演じられていて玉木宏版鶴見中尉流石でした。
アシㇼパと違う意味でキャラ作りが大変であろう白石もキャラを掴み方が絶妙でした。矢本悠馬、もともと目を引く俳優でしたがとても良かったです。バッチリです。このキャラが活きないとこの原作は一気に駄目になっていく気がするのでとても良かったです。
原作愛が詰まっている作品で良かったのですが、シリアスからコミカルへのON/OFFの落差がもっと行って欲しいなと思いました。欲張りですみません。ですが、白石とアシㇼパの掛け合いは何かいい感じでした。
これから変人、狂人が出て来て、それをコミカルに悍ましく描く、野田サトルの原作をどう実写映画してくれるか、とても楽しみにしています。

93q2q2