「大気圏内セカイ系」ゴールデンカムイ 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
大気圏内セカイ系
長くなり過ぎるので、
今回は物語の設定やメインプロットに関して、
決めたであろう5つの覚悟を推測する。
杉元、アシリパ、レタラ。
このメインキャラは、
『もののけ姫』の、
アシタカ、サン、犬神を、
考え方の補助線として引用。
そうすると、
金カムの作品自身への、
途方もないチャレンジ、
その覚悟の、
一端くらいは見えてくるような気がする。
メインプロットは、
アシタカは村の未来の為、
杉元は金。
トラジとの約束は、
サブプロットに置いて、
金の奪い合いを物語の背骨に置く。
金にする事によって、
政府、軍、仲間割れ、幕府の残党等、
金が根拠になれば、
物語の風呂敷に限界はない。
が、
畳まないといけないし、
シナリオの難易度はあがる。
メインプロットを弛ませない、
小技、中技の連打も必要になる至難の技。
そこにチャレンジ、
エンタメに対する覚悟1がみえる。
杉元はアシリパを通して、
生き物、ヒト、自然感死生観を感じ取っていく。
これは、いわゆる【セカイ系】。
宇宙観も含めた縦の風呂敷を拡げないと観客は納得してくれない。
なので、
アシタカ、コナン、ハイジ、ナウシカのような清廉潔白誠実剛毅なキャラで、
聖なる話しをプロットに敷く、
そうして、
利害が対立する、
自然派サンのようなキャラを立ててセカイ系を描いていくのが常套。
なのに、
金の奪い合いをメインプロットにする!
難易度があがるー!
もちろん宮﨑駿も金品強欲を入れる。
クシャナやエボシ御前が、
そのプラグマティズム的役割を担っているが、
明らかな悪役ではない。
国や村を養うには、
闘いも辞さない。
自然との共存で飯が食えるか!
金カムではその役割りは、
鶴見篤四郎だ。
クシャナより、エボシより、
悪役成分は前面に出さないといけない。
なぜなら、メインプロットは金。
そうすると各キャラの立ち位置は、
微妙に違ってくるが、
あえてチャレンジ、
逃げちゃダメだ、
不死身の杉元だ。
露骨に金を絡めたリアリズムベースのセカイ系。
大気圏内で展開する【大気圏内セカイ系】、
逆セカイ系エンターテインメントを、
北海道の地で100年前の設定で、
血生臭い、汗臭い、
(セカイ系は血、汗、土等の臭いは、
脱臭されている作品が多い。)力もごちゃ混ぜで、
魅せていく、、観客に対する覚悟2。
アイヌ文化に正対する覚悟3。
原作では美味そうなチタタプ等をどう表現するか覚悟4。
コカインベアに負けない覚悟5。
などなど。
雪上での撮影の大変さ、
演出、芝居、美術、衣装の覚悟、
鶴見、鯉登、谷垣、キロランケ等々、
面白すぎるキャラはどうするんだろうは続編の時にでも。