「二匹目のドジョウはあった‼」ゴールデンカムイ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
二匹目のドジョウはあった‼
『キングダム』に続き、山崎賢人主演で、人気コミックの実写化ということで、果たして、2匹目のドジョウなるか…と思って鑑賞。原作は未読だが、内容も展開も、良い意味で大いに裏切り、期待以上の作品だった。明治末期の史実をベースに、日露戦争や北海道開拓、アイヌ人の暮らし等、重厚な内容とテーマも盛り込まれ、壮大な人間ドラマとアクションを繰り広げている。
舞台となるのは、当時としたら地の果てとも言える、極寒の地・北海道。一見、美しい白銀に包まれ背景の中に、巨大なヒグマや人を寄せ付けない厳しい寒さの大自然が迫り来るアングルやシーンが、北海道の雄大さを感じさせる。その演出によって、映像が五感を通して伝わってくるようなクオリティーの高さを感じた。
また、冒頭の掴みで作品の面白さが決ると言われるが、本作も『不死身の杉本』誕生へと結びく所以となった、日露戦争の激しい冒頭の戦闘シーンを、かなりリアルに描くことで、原作を未読な者も、しっかりと本作への時代背景や内容へと引き込む巧さも感じた。
物語は、アイヌ人から強奪した莫大な埋蔵金を廻るトレジャー・ハンティングを中心に、和人の杉本とアイヌの少女アシリパとの心の交流が描かれていく。その埋蔵金の行方を知る『のっぺら坊』と呼ばれる囚人は、捕まる前に24人の囚人の体に入れ墨で、埋蔵金の在りかを示した地図を描き入れたという。そしてその囚人達に、埋蔵金を見つけ出させようと脱獄させた。その話を聞いた杉本は、ある目的の為に大金を見つけ出そうと動き始めたが、その矢先にヒグマに襲われ、そこをアシリパに助けられ、共に埋蔵金を追うことになる。
一方で、大日本帝国陸軍もその埋蔵金の行方を追う中、北海道で亡くなったと思われていた歴上の幕末の人物も登場し、三すくみ、四すくみの敵対同士が絡み合う展開となっていく。
杉本役の山崎賢人は、『キングダム』で培った戦闘アクションを、本作でも大いに見せつけてくれた。ヒロインとなるアシリパ役を演じた山田安奈は、アイヌの娘の雪に照らされたような白い肌と、素朴で自然体な演技が、とても好感が持てた。矢本悠馬は、杉本達に付かず離れずの囚人役として、いいアクセントを醸し出している。その他にも、玉木宏、舘ひろし、大谷良平、眞栄田郷敦、高畑充希等、豪華俳優陣が脇を固めている。
残念だったのは、ある程度完結するのかと思ったら、全く途中でのto be continuedだったこと。但し、おまけシーンで、次作に新たなるキャラクターがいろいろ登場するシーンをチラ見せするので、次作が楽しみになった。