「また彼か、と思っていたが、それは杞憂に終わった」ゴールデンカムイ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
また彼か、と思っていたが、それは杞憂に終わった
2024.1.19 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(129分、PG12)
原作は野田サトルの『ゴールデンカムイ(集英社)』
アイヌの隠し財産を狙って暗躍する軍部、元軍人、脱獄囚の激突を描いたアクション映画
監督は久保茂昭
脚本は黒岩勉
物語は、明治37年の中国遼東半島南端の二百三高地(爾霊山)にて、日露戦争の戦況が描かれて始まる
ロシアと日本軍が塹壕を隔てて撃ち合う壮絶な戦場にて、日本兵の杉元佐一(山﨑賢人)は、幼馴染の寅次(泉澤祐希)に助けられて生き永らえていた
それから5年後、杉元は北海道の地でその日暮らしを続けていたが、ある日、行動を共にしていた後藤竹千代(マキタスポーツ)から、「アイヌの金塊」についての伝説を聞かされる
半ば夢物語のようだったが、後藤が「喋りすぎた」と言って杉元を襲ったことで、その話は本当だと確信する
そして、後藤は「話通りの刺青を入れられていた脱獄囚の一人」だった
杉元は後藤の亡骸を背に他の脱獄囚を探そうと考えていたが、凶暴なヒグマに遭遇してしまう
そんな杉元を救ったのはアイヌの少女・アシㇼパ (山田杏奈)だった
一方その頃、日本軍の陸軍第七師団の鶴見篤四郎(玉木宏)率いる軍団もアイヌの金塊を探していた
また、脱獄囚の白石由竹(矢本悠馬)と笠原勘次郎(島津健太郎)も同じ目的で動いていた
アイヌの金塊は、アイヌ民族が蓄えていたものをある人物が強奪していて、その男は網走に収監されていた
そこで男は24人の囚人の背中に刺青を入れ、彼らを脱獄させることにした
だが、囚人たちの間で殺し合いが始まり、白石と笠原は逃亡し、機会を伺っていたのである
映画は、原作の序盤を映像化したもので、エンドロール後に映像があり、次作以降に登場するキャラクターが描かれていく
個人的には原作未読なので「誰?」状態だったが、原作ファンの間ではどよめきが起こるほどだったので、かなりの人気キャラなのだと思われる
物語は、アイヌの金塊を巡る全体図を提示するという感じになっていて、誰が敵で誰が味方で、その戦力と目的はどれぐらいなのかを見せていく
そんな中で、杉元が北海道にいる理由、金塊を奪おうとする目的などが描かれていく
またバディものとしてのアシㇼパ のキャラとその関係、能力なども明示される
映画は、アイヌ文化がたくさん登場し、アイヌの血を引く秋辺デポがアシㇼパ の大叔父役として登場し、監修も行なっている
原作にもギャグテイストがあるようで、本作では白石とアシㇼパ がその役割を担っていて、それが心地よいバランスになっていた
冒頭の日露戦争がかなりえげつなく、熊に襲われて顔ペロンなどもあり、シリアステイストで進んだら耐えられない人が続出しような内容だったりするので、ひとつまみの清涼として挿入しているのだと感じた
いずれにせよ、思いっきり序章という感じで、今後はWOWOWドラマもしくは劇場作品として続編が作られると思われる
WOWOWは未加入なので、そこで展開すると観る機会はないと思うので、可能なら劇場公開をしてほしいものだが、この辺りの大人の事情はどうにもならない
本作の興行収入がその指針を占めそうであるが、ドラマの方に突入すると、地上波ではないので、次作の興行収入は大幅に減ると思う
いわゆるマーベルっぽい展開になっていて、ディズニープラスのドラマを観ていないと意味がわからないという展開に近い
今後どうなるかわからないが、MCUの興行成績の急下降から学ぶべきことがあるのではないだろうか