「最初から最後までずっとおもしろい!!」ゴールデンカムイ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
最初から最後までずっとおもしろい!!
大ヒット漫画「ゴールデンカムイ」の実写化作品ということで、原作未読ながら予告に興味をそそられ、公開2日目に鑑賞してきました。率直に言って最高でした!
ストーリーは、日露戦争を生き残った杉元佐一が、ある目的のために北海道で砂金採りをしていた時、「のっぺら坊」と呼ばれる男がアイヌ民族から莫大な金塊を奪ってどこかに隠して投獄され、その在処は示す暗号を24人の囚人に刺青として彫って脱獄させたことを知り、偶然出会ったアイヌの娘・アシリパとともに、陸軍・鶴見中尉や元新選組・土方歳三らを相手取り、金塊争奪戦に身を投じていくというもの。
まずは冒頭の二百三高地での戦闘シーン。おびただしい数の戦死者を出したことを納得させる、圧巻の映像表現に息を飲みます。さらに、そんな激戦の中、いくつもの傷を負いながらも大立ち回りをする「不死身の杉元」の姿が、強く印象づけられます。そこから舞台を北海道に移し、金塊捜索のきっかけ、アシリパとの出会い、さまざまなライバル登場と流れるように描く見事な立ち上がりで、あっという間に作品世界に引き込まれます。
以降の話の運びもテンポがよく、さらに随所にアクションシーンを取り入れ、全く飽きさせません。しかもそのアクションも見応え十分!ヒグマ相手の死闘、軍人相手の近接格闘、拘束状態からの逆襲、馬とのチェイス、そりの上でのアクロバティックな戦闘と、工夫を凝らしたアクションで楽しませてくれます。
さらに終盤では、杉元が金を必要とするそもそもの動機やバックボーンが描かれ、これが冒頭の二百三高地の戦闘につながる伏線回収となっています。そんな巧みなストーリーラインにも唸らされます。その一方で、コミカルなシーンも適度に散りばめ、緩急の付け方も絶妙です。特にオソマのくだりは最後の最後まで引っ張っていて、実に楽しいです。
魅力的な物語を描く舞台として、北海道の大自然がこれまた見事にスクリーンを彩ります。そして、そこに暮らすアイヌの人々の文化を折り触れて紹介し、物語の世界観を豊かに演出しています。作品世界を成立させるためにもはや不可欠となったCGやVFXも、目の肥えた人ならいざ知らず、自分にはハリウッド作品にも遜色ない出来栄えに映りました。日本でこれだけのクオリティの作品を創れることが素直にうれしいです。
登場人物も、脱獄の白石を始め、鶴見中尉、土方歳三、牛山、のっぺら坊など、それぞれにキャラが立っていて、今後のストーリーにどう絡んでくるのか楽しみでなりません。続きが早く観たすぎます!
主演は山崎賢人くんで、漫画の実写化ならこの人に任せておけば間違いありません。本作でも抜群の身体能力を発揮して、不死身の杉元を具現化しています。共演の山田杏奈さんも、その初々しさがアシリパにハマっています。コメディリリーフの矢本悠馬さんも持ち味を発揮し、特殊メイクの玉木宏さんもいい味を出しています。他に、舘ひろしさん、大谷亮平さん、勝矢さん、眞栄田郷敦くん、工藤阿須加くん、高畑充希さん、マキタスポーツさんら、豪華な顔ぶれが脇を固めます。