別れる決心のレビュー・感想・評価
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何度も考えたくなる作品
張り込み中に容疑者の女の部屋に入り込んでいる妄想をしてしまう刑事。彼が触れるであろうキズのバンソコに香水を振りかける女。二人はじれったいほど、だんだんと距離を縮めていく。
しかし、刑事が真相にたどり着くことで、関係は破綻する。女を追っていた男が去り、今度は女が男を追っていく。そして、また、男は女を追い始める。
主演のタンウェイを観たのがラストコーション以来だったので、前半は歳を重ねてずいぶん地味になったなあと思ったが、後半にあざやかな転身をしてくれていて嬉しかった。
映像の構図が面白く、衣装や部屋のデザインも美しい。抑えた音楽も二人鼓動を聴くようでテンションが上がる。
しかし、物語全体としてはよく分からない所が多かった。何度も何度も思い出しては頭の中で整理した。ラストはどうしてああならざるをえなかったのか?
今回は刑事が悪女を追う物語として観ていたので、愛を求める女の目線で伏線を確認したくなった。
大人の純愛
ヘジュンは睡眠障害に苛まれているが、それは未解決事件のことが常に頭にあってその呪縛から逃れられないからだ。しかし、ソレと接している間はなぜかその症状が和らぐ。ヘジュンにとってソレは眠りを誘う存在であり、安心できる相手だからだ。
私も不眠症に悩まされているが、リラックス感が得られる改善方法はいろいろ試してみても根本的な解決にはならないことが多い。心からリラックスできる人と一緒に過ごすということが解決策になるのなら、ぜひそういう人に巡り会えたらと思う。
この映画のメインテーマは純愛である。「愛していると決していわないラブストーリー」というキャッチコピーがあり、刑事と容疑者という禁断の愛がゆえに言葉ではなく身体で愛を確かめ合うという方法で描かれている。自分はもう純愛はできないではないかと諦める年代になってしまったと思っていた。しかし、この映画を観て突然降りかかる中年の恋も十分にありうるのではないかという希望が生まれた。
ラストシーンの衝撃は忘れられない。別れる決心をしたソレが起こした行動はあまりにも大胆で切なかった、女に未練はなく、男には未練が残るという男女関係のセオリーはこのカップルにも当てはまった。二人の関係は永遠に未解決のまま終わった。
霧の中に あてもなく さびしく 私は行く
偏愛監督“パク・チャヌク”
私にとっては久しぶりのパク・チャヌク作品ですが、この監督の作品って自分にとって好きなのか嫌いなのか?、いまだによく分かっていない人なんです。作品自体は非常に観たくなるのですが、どの作品でも観た結果どれだけ理解出来たのか、よく分からないままという印象があります。
本作も観終わって自分がどれだけ理解出来たのか全然自信がありませんし、困ったことに面白い事は面白いのですよ(苦笑)但し、何が面白かったかを説明するのが難しいってことです。
映画を観続けていると、このタイプの作家が何人かいるのですよね(困ったことに)
更に本作の場合、私の最も苦手な“恋愛映画”でもあるってことで余計に難しかったですよ。
まあ本来“君子危うきに近寄らず”ってものですが映画の場合はそれだと面白くないので、“恋は曲者”の方をどうしても上位に置き、主人公は何かに取りつかれたり巻き込まれたりと制御不能になるというのがヒッチコック以来の娯楽映画の王道ではありますけどね。
自分には全く無い何かを見せられると、拒否するか好奇心を呼び起こされるかのどちらかなんですが、パク・チャヌクはそうした好奇心を刺激するのに非常に長けている人なのでしょうね。まあ、そういう何人かの作家の作品は大体はヘンな(魅力の)映画ばかりですよ(笑)
ある意味予想外
「あなたが海に捨てろと言ったから」 壮大な愛の物語
愛はどこに生まれるのか。
2022年。パク・チャヌク監督。過去の事件に捕らわれて不眠症の刑事と、事故死した夫の死因に疑いを持たれている妻。次第に惹かれ合っていく二人だが、、、という話。
とりあえずある事件の解決を求めて進行していくのだが、ある結末をみた後、第二章があるのがポイント。愛の芽生えと愛の確認という具合。身体的な関係になっていないのが特徴。夢かうつつかわからない表現も含めて、キム・ギドク監督作品のような風合いがある。
愛の芽生えの段階では、容疑者と刑事だから、「見る―見られる」関係が相互に自然と成り立っている。刑事の側で職業倫理が崩れていく過程が、本人には愛の芽生えの自覚がないまま進行していく。とりあえずそのまま事件は終結する。愛の芽生えより職業や結婚制度を選ぶ形で。
愛の確認の段階になると、もう一つの事件が起こり、刑事の側に愛の自覚が芽生える。職業とか結婚制度とかを超えて、愛が生まれる時は生まれることに今さらながら気づくのだ。遅い。
晴れない霧の中で圧倒される作品
予告編を見て期待していました。
スピーディなカット割りの中で時間を前後入れ替えたり、回想シーン上に主人公を入れ込むテクニックや、物語上のキーでもある翻訳アプリなども含めて、字幕版では理解が十分に追い付かないところもあったうえで、お恥ずかしいことに最初のクライマックスでそのままエンディングを迎えるものと思いこんでいたため、その後の怒涛の展開に頭がついていかない状態になってしまいました。
作品そのものはとても好みだったため、急ぎ吹き替え版も見てきましたが、ようやく作品を理解できたように思えます。
とはいえ、すべてをわかりやすく描いているわけではないため、作中のイポの霧のようなモヤモヤの中にいるのも事実で、考察も進むし、ほかの人とと語りたいし、また見たくなる作品です。
クソ山やライオン岩海岸? など、あまり日本では見られない独特の風景美も興味深かったです。
そして、なによりタン・ウェイさんの派手すぎない美しさに終始圧倒されてしまいました。
「タン・ウェイさん好き」
R指定じゃないパク・チャヌクなんて!
始めの方でヤラレちゃった女の子が「私を殺して」という場面があって、その伏線回収を見守っていたのだが。ラストの砂浜生き埋めってこと?
予告の最後の右下のGマークにちょっとやな予感はしてたんだ。パク・チャヌクはR指定じゃなきゃ、という先入観が強く、脱しようとしている頑張りは認めたいところだが、やはりドロドロを期待している人には物足りないのかな。「八百屋お七」を爽やかにされてもね…
佐々木蔵之介!!
火サスの微笑でなく、森田失楽に寄せたなら。
ずっーと引き込まれて
監督に惹かれて観たけれど。
オールドボーイを期待したわけではないのだけれど、少し物足りない印象を受けてしまった。
刑事と被害者の妻の一言で言えば恋愛映画だった。
2人がひかれあいながらも離れて、そしてまた出会う。
ストーリーはそれほどインパクトはない。
殺人事件の容疑者でもある女性を張り込みながら、なぜか不眠症の男が深い眠りに落ちるところは、2人の魂の同調を感じさせられて、クライマックスに繋がるような気がした。
1番インパクトがあったのは最後に彼女が亡くなるシーン。こんな死に方は思いつかなかった。
なんだか海の泡のように消える感じが美しく、主人公の刑事の叫びが届くのではないかと思った。
薄幸そうな美女に振り回される男性は多い
幸が薄そうな女性が好きな友人たちがいる。一人だけではない。子育てと仕事の両立をがんばっているシングルマザーや、異国の地で働いている外国籍の女性とか、好みは微妙に違うが彼らが共通して発するのは「がんばっている」というワード。若干の薄幸とその状況に負けずにもがいている態度だ。つらい状況なんてなんのその!的な態度だと彼らの心を揺さぶることはないのだろう。本作を観ていてそんな友人たちを思い出してしまった。
中国系韓国人の妻が夫殺害の容疑にかけられ、捜査する中で刑事が惹かれていくという流れは「LAコンフィデンシャル」みたいな展開。いや、たしかにタン・ウェイは美しくて儚げで、それでいて男を手玉に取る魔性性も感じる。そりゃハマるでしょうよ。でも、ヘジュンって刑事があまりにも無防備すぎる。それでいてあまりにもオクテ。男としてそれでいいのか?と思うことが多かった。
でも、サスペンスとしての展開は悪くないし、最後も嫌いではない。ただ、全く何も浮かばないでいるのか?って問題は感じた。それと、物語の展開が若干わかりづらい。美しい風景とどんよりした風景の対比がよかっただけに、ストーリーテリングをもう少し丁寧にしてほしかった。
薄幸の女性に振り回されたいと思う男性はやはりやさしくて人がいいってことなんだよ。騙される可能性もあれば、ピュアな愛に生きられる可能性もある。博打性が高い人生だ。
昨日はブルーマンデー。
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