「【禁断の恋心・・、そして崩壊。”ミステリアスな展開と、一見、ファムファタール的な美しき容疑者と刑事の揺れる心模様を、斬新な映像で描いた作品。ラストは実に切ない。脳内フル回転で観る映画でもある。】」別れる決心 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【禁断の恋心・・、そして崩壊。”ミステリアスな展開と、一見、ファムファタール的な美しき容疑者と刑事の揺れる心模様を、斬新な映像で描いた作品。ラストは実に切ない。脳内フル回転で観る映画でもある。】
ー 今作のカメラワークが独特である。想像なのか、現実なのか曖昧なシーンが続く。
それが、観る側を混乱させつつも、ミステリアス要素を醸し出し、且つ、二人の心の機微の変遷を映し出しているのである。
誠実で仕事熱心だが不眠症である刑事チャン・ヘジュン(パク・ヘイル)の元に現れた可なり年上の夫がクライミング中に滑落死した、中国人の妻、ソレ(タン・ウェイ)。疑惑はあったが、証拠不十分のため釈放されたソレ。
だが、二人は徐々に惹かれ合っていく。-
◆感想
・久方ぶりに脳内フル回転で観た映画である。想像なのか、現実なのか曖昧なシーンが続くし、観る側に解釈を委ねるシーンも多いからである。
・容疑者として拘留したソレに対しチャン刑事は高級な鮨を提供し、二人は食後、実に息が合ったように、手際よく後片付けをする。
ー その後の、二人の関係性を暗喩しているようなシーンである。-
・証拠不十分で釈放されたソレの生活を、不眠症のチャン刑事が夜中に隣のビルから見ているシーンや、ソレがチャン刑事に”自分がした事”をさり気無く示すシーン。
ー そして、彼女のアリバイは崩れるが、チャン刑事は彼女への追求を止め、彼女と僅かなる時間、交流を図る。
不眠症のチャン刑事の眼に手を当て、”私の呼吸に合わせて・・。”と言い、眠りに導くソレの姿。-
・13か月後、チャン刑事は週末婚だった妻が住む海辺の町イポに居を移すが、町の市場で”偶然”ソレと新たなる夫に会い、再び彼の心はかき乱される。
- 観ていれば分かるが、あれは偶然ではない。
ソレが、自らの罪を知りつつ、逃がしてくれた想い人、チャン刑事に自分の意思で会いに来たのである。-
・そして、投資家であった夫は再び殺される。
ソレは前の夫の時のように無実となるが、新たなる夫の殺害も、ソレが仕掛けたことであった事が分かるシーン。
- それでも、チャン刑事はソレへの想いを禁ずる事が出来ない。そして、ソレも又・・。-
<ラスト、初めてソレとチャン刑事が唇を交わした後、ソレは砂浜に深い穴を掘り、自らの身体をその中に入れる。
そして、潮が満ち彼女の姿は見えなくなる。
そこに、駆け付けたチャン刑事が波が打ち付ける中、ソレの名を絶叫しながら探し回る姿。
今作は、禁断の恋に落ちた刑事と、美しきファムファタール的な雰囲気を纏った女の哀しくも切ないラヴ・ストーリーである。>
仰る通り映画好きの人ならば、様々な解釈が可能で一回観ただけではわからないような作品を好むと思います。一回観てわかるような単純な作品はすぐ忘れてしまうし、何回も観ようとは思いませんからね。
観たい作品を観れるということは幸せですよね。私は残された人生で後どれだけの作品を観られるのか。まだまだ名作、傑作で観れてないものはたくさんあるので、「なのに...」は観る余裕がないですね(笑)。
みうらじゅんさんは子供の頃からエロ本ではなく普通の雑誌に載ってる女性の写真をスクラップし続けてるらしいですね。映画評論家の町山さんが言ってました。
失礼します
返信ありがとうございました
拙い内容に丁寧にお応え頂き、誠にありがとうございました
そして、疑問点のご解答も畏れ入ります 吹替版だとあの翻訳のアヤの絶妙さが薄らいでしまうと感じました あの同音異句は、しかし崩壊も愛してるも意味合いは同じ所に帰結するという文学的表現に感嘆したので、質問したのです
失礼しました
失礼します
多分、"情"にIQという数値があるならば、そのMensa級の2人の残念ながら出会ってしまった悲劇なのだと思うのは見当違いでしょうか? だからこそ自分のような「オツムの足りない」系はどこか他人事感が拭えないというのは拙速ですね、失礼しました