アルマゲドン・タイム ある日々の肖像のレビュー・感想・評価
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素晴らしかった
とてもいい映画だったのに、劇場がガラガラだった。内容が地味だからか、邦題の意味がわかりづらいからか。監督の子供時代を反映しているとのことだが、お母ちゃんをアン・ハサウェイに演じてもらうのはずるいのでは、と思った。主人公は少年だが彼ら世代に向けて作られた映画ではない。愛嬌もへったくれもない彼の演技がかえってリアルに感じられた。様々な関係性から彼を見守る周りの大人たちの描き方がとても真面目で、この監督の持ち味のような気がする。1980年のアメリカ、ニューヨークという時代性の出し方も面白かった。「ウォリアーズ」みたいな地下鉄スゴイ。だがノスタルジーに浸るような映画ではなく、社会の中で生きていこうとする子供を見つめているのがとても良いと思った。
苦い傷跡
癒えていくのか、膿んでいくのか。
はたまた誰も予想もしない運命が待ち受け、翻弄されていくのか。
物語はどこかにもあるような家族たちとその人生の起伏の切り取りかも知れない。
ではなぜ、このえぐられたような感覚が生々しくこの胸に残り、ざわつくような波紋が頭のなかから消えないのか。
味わう温かさの分だけ冷たいものに向きあう厳しさに触れながら何かをふわりと感じさせる作品。
※以下、ネタバレを含みます。
…………
⚫︎愛情の伝え方 アーロン⚫︎
アンソニー・ホプキンス演ずるおじいちゃんから滲み出る暖炉のようなハートのあたたかさと苦難を越えて生きた人の厳しさ。
それは正しいことか…
高潔に生きろ…
握手だ…
ハグをしよう…
親が手を焼いてる孫のポールに、見せかけではない愛情をもった言葉と態度で接するアーロンの人柄がどれだけポールの気持ちにやさしく触れたことか。
自分のために芯から向きあってくれる熱量がその場で伝わることは間違いない気がするのだ。
ポールもそれをよく知っていて信頼をよせて素直に聞いているのがわかる。
しかし、まだこどもだ。
すぐには行動が伴わず繰り返す失敗。
教育に熱心な母も自分を越えて出世して欲しいと願う父も、根底にあるのは息子の長い間の幸せへの希望で、同じようにポールを大切に考えている。
しかし、アーロンとの違いは、自分の価値観にはめらなければうまく作動しない所有物のように扱っている点。
アーロンには、ポールを子ども扱いし過ぎず、1人の人間として尊重し対話を重ねる姿がある。
辛抱強さで想いを伝える彼の話には互いのこころをふわりと纏う「ゆとり」という空気があるのがわかる。
その空気のなかで息を吸い息を吐き目では見えないなにかに触れていくときの大切さがきっとあるのだろう。
しかし、人の宿命である別れの日は祖父にもやってくる。幼いアーロンは、感覚的にはあまりその別れを捉えていないようにみえた。後から気づく、その存在の大きさにも。
⚫︎選べぬ運命 ジョニー⚫︎
ジョニーは複雑な家庭環境と時代背景を大いに背負っている。
彼の、常に憂いを帯びた目がただならぬものを物語る。
その日常がつくりあげる思考は、幼いながらに諦めることをしっている大人のようだ。
冷めた言葉を漏らしながら無意識に自分をコントロールできている姿が切なく映る。そんなジョニーも、自由奔放で空想家であるポールとは気があい、彼といるとき無邪気な笑顔をみせる。
現実を離れ、束の間の夢の時間にわくわくと浮き足立つジョニーだったが、地下鉄の中で若者がかけた辛辣な言葉が現実に引き摺り降ろす。
それは同じ境遇に生きてきたからこその強い戒めであり一筋の光もない嘆きの塊のようだった。〝未来などあてにするだけつらくなるぞ〟と。
そしてそう言わせたのは彼らのこころに晴れない影をつくったこの世の偏りだということ。
そういう私も、まるで、あの車両のこちら側の座席で傍観している客のようにその先に何かが起こらないように会話に耳をたてつつ祈るだけの自分でしかなかった。
私も黙りながらある意味なんらかわりない場所にいるのかも知れない。
⚫︎壊れた夢のはしご ポールとジョニー⚫︎
芸術家になりたいポール、宇宙飛行士になりたいジョニー。
気の合う楽しさをみつけ、お互いが抱える悩みを共有したが、分別が不安定なこども時代の危なっかしさ、浅はかさが引き起こす事件。
夢に向かっているつもりが行き着くのは真逆な場所。
こどもの個性を感じ、夢や好奇心をうまく繋げていけれるようにさりげなく見守り、かけたいはしごの綻びに気づいてやれる大人がそばにいるか、いないか…。
成長の過程に潜むいくつかの分かれ目のような重みを感じる。
ポールのそばに、勘よく威厳をもちながら優しく諭した祖父はもういない。
⚫︎差別⚫︎
アーロンはユダヤ人として過去の歴史的分断を経験し、その傷を受けながらヨーロッパからアメリカへ移住し逞しく生き残ってきた経歴を持つ。
実体験者だけが知る過酷さのなかで家族を増やし、財産をゼロからつくってきた誇りがある。
しかし、経済格差、宗教、人種差別はやまない。それどころか、悲しいかな、たとえ体験として差別を味わっていたとしても、次なる種類の差別の根が地下茎のようにのびてきて、いつまにか加害者にもなる性質でもあることが作中にもみえる。大人がつくりはじめる愚かな歴史は、簡単に繰り返されてしまうわけだ。
ポールの転校先を尋ねてきたジョニーのシーン。
クラスメイトに聞かれて今までの仲の良さを咄嗟に隠したポールのいいわけ。
少しの期待をもちながら黙って聞いたジョニー。
予測を外さなかったジョニーには慣れっこの哀しみだが、きっとそれは今までのなによりも暗く色づいていただろう。
2人を分けたあのフェンスの丈はあの瞬間にどちらの心の中でも何倍にも増してそびえたっていた。
他人には何気ないやりとりだが、ポールはなんとも言えない気まずさをにじませた。
その固まる表情が、かすかに〝差別するような自分に溺れたくない〟と抵抗しているようにみえたのは気のせいだろうか。
容易く起こる心の分断の瞬間に、それすら感じなかったポールでなくてよかったと感じたものの、現実には純粋な本心に嘘をつき、親友を裏切った。
ジョニーとはこっそり会えるようになり、2人は夢を膨らませまた騒動となる。
あっけなくおわる事件の後始末はふたりの関係も割く結果をむかえる。父の力を借り白人である自分の罪だけがキレイに拭われていくポール。ジョニーの前で、警察に自白をしてもまるで関係なかった。
だんだんと知る世の中。
だんだんと破る祖父との約束。
そのことがポールにどのような気持ちをもたらすのか。
⚫︎想像かきたてる音の意味⚫︎
エンディングから遠ざかるありふれた日常。
片付いた教室と片付いたリビングは未練もなく後ろに流れ、賑やかで屈託のないこどもたちの声は次第に消えていく。
ポールが自分の意志で進む暗い夜道。
やがて遠方のサイレン、ブレーキの音。
もやもやした不安がつのる。
ポールは…
ポールのこころはドアを開け一体どこにむかっていったのか。
大好きだったおじいちゃんは言った
元気で、
過去を忘れるな…と
今こそ思い出してと願いながら、私の手には照らせるものもないままポールの後ろ姿を探す。
追っても追っても追いつけない感じだけを受けながら。
大切なことを教えたアーロンが居てくれた日々、ポールをみつめる笑顔がフラッシュバックする。
修正済み
ピンと来ない
アン・ハサウェイとアンソニー・ホプキンスが 出演していることで鑑賞する気になった。 ほぼ予備知識を入れない状態で観た結果、 ピンと来ないまま終わってしまった。 ・1980~1981年頃の話 ・勉強があまりできない落ちこぼれの小学6年生 ・でも絵の才能がある 少年とその家族、同級生との話ではあるが 物語がどういう方向へ進んでいこうとしているのか つかみ所がなかった。 鑑賞後にちょっと調べてみたらジェームズ・グレイ監督の 少年時代を投影したお話だったようだ。 そもそもアルマゲドン・タイム(原題Armageddon Time)の 意味とは?ロナルド・レーガン氏が大統領に就任し、 軍拡した結果最終戦争が起こるのではないかと危惧する 声が上がった、その時代の空気を表していると思う(多分)。 少年は様々な経験を通して世の中が決して平等ではない ことを思い知らされるのだがそれがアルマゲドンと関係 あるのかというと今ひとつ分からない。、ユダヤ人・黒人等に 対する差別なども描かれる。アメリカで生まれ育った人なら 時代の空気やら何やらが説明しなくても肌感覚で分かるの だろうが日本で生まれ育った身にはやっぱりピンと来なかった。 アン・ハサウェイも良かったが祖父を演じたアンソニー・ ホプキンスはもっと良かった。中盤、少年が通う学校の 集会で卒業生(大出世した人物)から贈る言葉があった。 スピーチ役が知っている役者さんだと思ったらジェシカ・ チャステインだった。(カメオ出演)やっぱりこの人が 画面に映るとその場面が引き締まる。予想していなかった 出演にちょっと得した気分になった。 蛇足だが映画監督の自伝的なものではフェイブルマンズ (The Fabelmans)スティーブン・スピルバーグ監督 の方が面白かった。 いずれにせよ、後に才能を開花 させるような人物は学校の成績が良くなくても幼少の頃から 才能の片鱗を見せていること、良き理解者がいてくれた ことは共通していた。
子供には厳しすぎる世の不条理
世界は自分中心で回ってると考えている小6の主人公。だがこの世は不条理に溢れており、それを受け入れないと成功は掴めない。レーガン当選を背景に描くことで、トランプが選ばれた21世紀もこの不条理が存在し続けていることを鋭く示す。 鑑賞中は「さすがにお前らやりすぎだろ...」と思わずにはいられなかったが、鑑賞後冷静に自分の小学校高学年時代を思い返すと、人のことは全く言えなかった。彼らのように犯罪は起こさなかったが、大人は全員敵だと思っていたし、自分に出来るその時々での精一杯の抵抗をしていた。授業中嫌がらせを続ける彼らを「ガキだなあ」と見ていたが、全く同じことをしていました。自分こと棚に上げてすみません。 ただ、やはり犯罪にまで手を出すのはさすがにアウトとしか言いようがない。 不条理に押しつぶされる子供たちを描きたかったのだろうが、これでは単なる因果応報である。一線を越えない純真さが彼らにあるからこそ、不条理性が際立つのではないだろうか。 彼らが劇中取る手段と、伝えたいメッセージがうまくかみ合っていないと感じた。 おじいちゃんが言っていた「高潔であれ」はそういうことじゃないと思うぞポール!
微妙ですね
嫌いな人、多いでしょうね。てか、嫌いな方が正常だと思います。 後味悪いと考えるか、人生こんなもんよと諦観するか。 少年は全く媚びずに、可愛げゼロ、生意気でアホなクソガキで、みんなイラつくでしょう。 更にお父さんもお母さんもズレまくてって、共感性皆無。 ある種のシュールなブラックと考えて観ましたが、我ながら斜に構え過ぎで、素直に「何これ?」っていう方が支持されます。 ホプキンス翁以外は全員みっともない小市民だけど、冷静に考えれば現実にはこんな人ばっかりですね。その意味ではこの演出方針は正しいんでしょうが、あからさま過ぎるので「ヤダネー」ってことになります。 しかし翁の存在感圧倒的。残り全員集めた30倍くらい。格が違う。
少年の人間としての人格が形成される上での黙示録の時・・・
厳しい両親とイヤミな兄、大好きな祖父に囲まれて成長する少年・・・この映画はそんなありきたりな少年の成長物語ではありません。唯一の理解者だった祖父は死んでしまう。そして親友の黒人少年と一緒に働いてしまった悪事。少年は父親のコネで釈放されるが、黒人少年は1人で罪を被り、二度と会うことができなくなってしまう。少年は、普段通り学生生活を続けていく・・・。ここで映画は終わるのですが、この後少年はどんなふうに成長していくのでしょうか。おそらく黒人少年へのトラウマを一生抱えたまま・・・。「アンダーカヴァー」「エヴァの告白」「ロストシティZ失われた黄金都市」といった傑作をモノにしてきたジェームズグレイ監督が複雑な少年の物語をそつなく描いてお見事です。
げんなり
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監督自身の実体験が基になっている
人間ドラマとの事ですが
この手の作品はもう既視感しかないので
途中の経緯や結末は想定内のため
如何に役者の演技で観客を魅了するか。
みたいなところがあるように感じます。
そういった意味では、
主人公の友達ジョニー(ジャイリン・ウェッブ)は
頑張っていたとしましょう(笑)
父親(ジェレミー・ストロング)もいいですね。
しかし本作では絶対欠かせないのは
アーロンおじいちゃん(A・ホプキンス)
圧倒的な存在感、貫禄、御年86歳とは
とても思えません。
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主人公ポール(バンクス・レペタ)は発達障害と
思わせる節がありますが、単なる思春期特有の
反抗期なだけではないかと思うんだけど、鑑賞した方々は
どう感じ、捉えたのだろう。
反抗期故、浅はかな、でもその年ごろの少年だからこそ
起こしてしまった事件は、結局 この時代の激しい
人種差別により更なる悲劇がポールではなく
ジョニーに降りかかる。ジョニーがとにかく不憫。
親友を助けるわけでもなく、あっけにとられている間に
エンドロール…なんとも後味の悪いったら…。
祖父『Remember your past』or 父親『Not Look Back』
家族同士また社会との関わり合いで我々は成長して来た。その中でおきる矛盾をどう受け止めるか主人公のポールが自ら答えを出している。それはフレッド トランプ(ドナルド トランプの父親)が感謝祭のダンスでスポンサーになっていて演説をするシーンでわかる。フォーレスト・マーナーという学校はビジネスや政界や財界のリーダーを育てる学校だとフレッド・トランプはスピーチをしていたが、ポールは自分の道ではないと認識しているからその場を
離れる。祖父のアーロンに勇気付けられた言葉「自分のやりたいことをやれ」という大切な言葉を思い出して。『過去を忘れるな!』と教えてくれた祖父はポールにとって祖父の言葉と死は過去のことだから忘れない大切なことなのだ。ポールがジョニーを踏み台にしてしまったことも。父親の言葉『Not Look Back』ではなく。ポールのこれからの人間性に影響してくる大切なシーンで大好きだ!これが監督の自叙伝的な話らしいが。
この映画は感動したり、歯がゆかったり、むかついたりした。1980年の米国の政治的に変革期をテレビニュースで理解させてくれている。ポールの通う学校は『レーガン!レーガン!』とレーガンにエールを送っているが、ポールの家族は人間性重視の民主党カーター大統領から共和党レーガンへの変革を、母親は「核戦争に入る」という言葉で、祖母は「アーロンが生きていなくてよかった」という言葉で表しているが、これらを聞くことはポールにとっても重要である。将来、自分の考えが決まってくるから。
この映画で驚いたのはドナルド・トランプの父親フレッド役が映画で強烈なビジネス重視の発言をしている。それにトランプ大統領の姉上であるテリーアン?・トランプ(本名メリーアン・トランプ)は司法長官で弁護士だからよりビジネスマンのようなスピーチをしている。トランプ大統領はこの高校を卒業している(学校の名前はちょっと変えてる)しこの映画からも親の七光りのおかげで自分の道を歩きはじめたと想像できる。それに、緊張感のある時代だったようで、レーガンが「我々はハルマゲドンを目の当たりにする世代かもしれない」とテレビで言葉を発しているが、先の時代が恐怖感であり、明るい時代ではないようにも思える。しかし、I am the greatest の発言のように、アリの健闘にアメリカは勇気づけられているようにも思える。ポールの家庭では『The Art of Success』の作者、エドワード・デ・ボノのように、ただの芸術家ではなく、心理学者であったり、医者であったりする人になることを期待されている。コンピューター・グラフィックは将来性のある仕事だとも親は言っているが、抽象画の創始者ワシリー・カンディンスキーのような画家は疑問のようだ。祖父のアーロンを除いて。
それにもう一つはクイーンズの公立学校が173という番号で表示されていること。調べてみないとなぜそうなのかわからない。
ポールの学びがスローだということは学べないということではない。それに、唯一の友達、ジョニーは問題児扱いされているが、クラスで汚い言葉使いをするが、NASAに興味を持つ賢い生徒である。彼は自分が黒人のいない教育の場で、どう扱われるかを知っていて、それに挑戦している。それに、抵抗をしても、余計悪くなるだけだからしない。例えば、教室で、ジョニーがしていないのに、ポールの代わりに責任を科されても反論しない。ジョニーにとって一番苦痛なシーンは電車の中で、ジョニーがNASAのカードを持ってホールに見せている時、見知らぬ黒人が、ゲームだと思い(ゲームなら奪おうとおもったかも?)寄ってきた。それがNASAのカードだと知った時、『黒人はたとえ、裏口からも入れてもらえないよ』とジョニーに捨て台詞を吐く。ジョニーにとってこの言葉が何よりもキツいと思う。同人種に言われることは完全に夢を奪われたことだ。ポールには数々の特権がある。祖父アーロンは名字を変えたから一般的にユダヤ人かとうかわからない。でも、ジョニーには何一つ特権がない。ジョニーにフォーカスをおいてこの映画をみていると、父親の言葉『Life is Unfair』がしみじみと心にのこる。そして、父親は最悪だけど、生きていかなきゃならないんだとポールに。
結構きつい映画で、観賞後。親として、子供とどう話し合っていくかが重要になってくるな。
戻りたくない時代
ユダヤ人差別、黒人差別の醜さが延々と描かれていました。 幼過ぎてどうしていいかわからない主人公の少年に「高潔であれ」「戦え」と教える、ウクライナ出身のユダヤ人のおじいちゃんが素敵でした。 その祖父を、アンソニー・ホプキンスが演じているから、何人を地獄に送ったかわからない迫力があってたまらんかったです。 たぶん"The Clash"の「ARMAGIDEON TIME/ハルマゲドン・タイム」が元ネタかしら、と思ったら、テーマはまさにそれでした(作中にも曲が使われていましたし)。 差別だらけの不公平な世の中への批判、階級闘争を歌った曲だったはず。 さらに、レーガンが福音派キリスト教テレビネットワークで「核戦争のハルマゲドンが近い」と煽りまくっていた時代である、ダブルミーニングでありました。 監督の幼少時の実体験がベースになってるようですが、懐かしさとともにあの時代の酷さも思い出しました。 まだ第二次世界大戦の爪痕が大きく残り、東西冷戦で一触即発、五島勉の『ノストラダムスの大予言』で終末予想が席巻する時代。 親は理不尽で、社会は未成熟で、差別がまん延していた。 「昔はよかった」と美化しがちですが、あまりあの時代には戻りたくないとも思いました。
おもんない
この映画、勿論悪いというわけではありません。高い評価を付ける方がいることも理解できます。ただ、個人的な評価を、敢えて言葉を選ばずに言えば「おもんない(おもしろくない)」です。 主人公は12歳の少年ポール。教師は彼のことを「Slow(鈍い)」と評します。でも、私が思うポールは、自分の考える正しさと、どう振る舞うのが正解かをよく考える慎重さの表れなのだと思います。ただ、残念なことに少々不器用で相手をイラつかせるような、まさに教師にとっては思い通りにならない「面倒な生徒」です。そして、それこそが彼を悪循環に陥らせます。 まぁ、私も過去は少年でした。ですから、自分自身にも身に覚えがあります。そして子供(男子)の考えること、やることですから「ま、そうなるだろうね」という展開の連続で、観ていて思うことと言えば「自分も親を悩ませたり、悲しませた」こと。そしてそれをアン・ハサウェイやジェレミー・ストロングに重ねて観て「申し訳なかったな」と反省するうことくらい。とは言え、そういうのはこの映画を観るまでもなく、この歳になればよく考えがちですし、、、 うーん、1,900円(来月からは2,000円。。。)払って観るほどの作品ではないかな、と言うのが正直な感想です。この映画のファンの方が読んでたらごめんなさいね。個人の感想ですからご容赦を。 と言うことで、残念ながらもう書くことも思いつかないので、短いですがこの辺で失礼します。
23-068
“人生にはいい時も悪い時もある世の常だ” “高潔な人であれ” おじいちゃんの言葉は確かに孫の心に届いている。 “人生は不公平だ” “与えられたチャンスは受け取れ” 父の言葉もまた我が子に届いているだろう。 世の中は常に不条理と答えのない霧の中。 少年の心でどこまで受け止められるのだろうか❓
いい意味で後味が悪い映画。
1980年代、アメリカでも日本でも、今より子どもの人権は守られていなかったとしみじみ感じた。 生徒を小馬鹿にし、尊厳を踏みにじる教師、自分の理想を押し付け、子ども自身を見ない親。 弱い立場の者への、言葉の暴力、力の暴力。 同時に、教師のいら立ち、親の子どもへの愛や不安を、大人の私は理解できる。 それらを、子どもに分かりやすく伝えることができる賢さ、余裕が大人の側にあればなあ。 一文無しでヨーロッパからアメリカに渡り、財を築いたユダヤ人の祖父は、孫のポールに「高潔な人になれ」と諭す。 アンソニー・ホプキンス、いい。 こういうおじいちゃん、一家にひとり欲しい(*^-^*)。 ポールは、少年特有の浅慮で、友人の人生を大きく狂わせてしまう。 父親によってポールは救出され、父親は「今日の自身の幸運をこれからの人生に活かせ」と説く。 この経験は、ポールの生涯の禍根になるだろう。 私にも、生涯の禍根がある。 そのことから学んだことは、「時を戻すことはできない、なら、選択するとき、2度と後悔しないように全力で選ぼう」ということ。 今では、その禍根は私の土台になっている。 この映画は、その時のすっぱい気持ちをよみがえらせ、私の中を底からかき混ぜた。 自分の中を再構築した気分。 私はまだまだ高潔な人ではないが、ポールは高潔な人になれますように。 この出来事を忘れないでと願った。
最も偉大な差別の国
1980年NYの一般的な白人家庭の次男坊で12歳のポールが差別を知り成長する話。 公立校に通い落ち着きがなくもしかして発達障害?な感じな6年生初日、同じクラスで2回目の6年生のジョニーと仲良くなり巻き起こっていくストーリー。 最初が酷すぎたからトイレの件からの環境変化で大人しくなったのは、何だか急激過ぎるし切っ掛けが弱過ぎる様に感じる。 今よりも更に差別があった時代において、友人が卑下され差別される様を目の当たりにして、ということは判るしそれを受けてのという物語自体は良かったけれど…子供とはいえ自身の行動を振り返って反省する様な感じもないし、謝まることもないしで、更に今回こういう結末になった訳でと引っ掛かった。
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