「祖父『Remember your past』or 父親『Not Look Back』」アルマゲドン・タイム ある日々の肖像 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
祖父『Remember your past』or 父親『Not Look Back』
家族同士また社会との関わり合いで我々は成長して来た。その中でおきる矛盾をどう受け止めるか主人公のポールが自ら答えを出している。それはフレッド トランプ(ドナルド トランプの父親)が感謝祭のダンスでスポンサーになっていて演説をするシーンでわかる。フォーレスト・マーナーという学校はビジネスや政界や財界のリーダーを育てる学校だとフレッド・トランプはスピーチをしていたが、ポールは自分の道ではないと認識しているからその場を
離れる。祖父のアーロンに勇気付けられた言葉「自分のやりたいことをやれ」という大切な言葉を思い出して。『過去を忘れるな!』と教えてくれた祖父はポールにとって祖父の言葉と死は過去のことだから忘れない大切なことなのだ。ポールがジョニーを踏み台にしてしまったことも。父親の言葉『Not Look Back』ではなく。ポールのこれからの人間性に影響してくる大切なシーンで大好きだ!これが監督の自叙伝的な話らしいが。
この映画は感動したり、歯がゆかったり、むかついたりした。1980年の米国の政治的に変革期をテレビニュースで理解させてくれている。ポールの通う学校は『レーガン!レーガン!』とレーガンにエールを送っているが、ポールの家族は人間性重視の民主党カーター大統領から共和党レーガンへの変革を、母親は「核戦争に入る」という言葉で、祖母は「アーロンが生きていなくてよかった」という言葉で表しているが、これらを聞くことはポールにとっても重要である。将来、自分の考えが決まってくるから。
この映画で驚いたのはドナルド・トランプの父親フレッド役が映画で強烈なビジネス重視の発言をしている。それにトランプ大統領の姉上であるテリーアン?・トランプ(本名メリーアン・トランプ)は司法長官で弁護士だからよりビジネスマンのようなスピーチをしている。トランプ大統領はこの高校を卒業している(学校の名前はちょっと変えてる)しこの映画からも親の七光りのおかげで自分の道を歩きはじめたと想像できる。それに、緊張感のある時代だったようで、レーガンが「我々はハルマゲドンを目の当たりにする世代かもしれない」とテレビで言葉を発しているが、先の時代が恐怖感であり、明るい時代ではないようにも思える。しかし、I am the greatest の発言のように、アリの健闘にアメリカは勇気づけられているようにも思える。ポールの家庭では『The Art of Success』の作者、エドワード・デ・ボノのように、ただの芸術家ではなく、心理学者であったり、医者であったりする人になることを期待されている。コンピューター・グラフィックは将来性のある仕事だとも親は言っているが、抽象画の創始者ワシリー・カンディンスキーのような画家は疑問のようだ。祖父のアーロンを除いて。
それにもう一つはクイーンズの公立学校が173という番号で表示されていること。調べてみないとなぜそうなのかわからない。
ポールの学びがスローだということは学べないということではない。それに、唯一の友達、ジョニーは問題児扱いされているが、クラスで汚い言葉使いをするが、NASAに興味を持つ賢い生徒である。彼は自分が黒人のいない教育の場で、どう扱われるかを知っていて、それに挑戦している。それに、抵抗をしても、余計悪くなるだけだからしない。例えば、教室で、ジョニーがしていないのに、ポールの代わりに責任を科されても反論しない。ジョニーにとって一番苦痛なシーンは電車の中で、ジョニーがNASAのカードを持ってホールに見せている時、見知らぬ黒人が、ゲームだと思い(ゲームなら奪おうとおもったかも?)寄ってきた。それがNASAのカードだと知った時、『黒人はたとえ、裏口からも入れてもらえないよ』とジョニーに捨て台詞を吐く。ジョニーにとってこの言葉が何よりもキツいと思う。同人種に言われることは完全に夢を奪われたことだ。ポールには数々の特権がある。祖父アーロンは名字を変えたから一般的にユダヤ人かとうかわからない。でも、ジョニーには何一つ特権がない。ジョニーにフォーカスをおいてこの映画をみていると、父親の言葉『Life is Unfair』がしみじみと心にのこる。そして、父親は最悪だけど、生きていかなきゃならないんだとポールに。
結構きつい映画で、観賞後。親として、子供とどう話し合っていくかが重要になってくるな。