「誰にでもある意図的に友達を避けた少年の日々が甦る」CLOSE クロース 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
誰にでもある意図的に友達を避けた少年の日々が甦る
ルーカス・ドン監督が前作『Girl ガール』に続いて放った作品は、やはり他者との違いに悩み、苦しむ少年たちの葛藤を描いて入るものの、本作の方がより幅広い共感を得るかも知れない。なぜなら、子供の頃、大好きな友達がいたとする。でも、その友達との関係を周囲から奇異な目で見られ、それが嫌で関係を絶ってしまった、なんて経験は誰にでもあるはずだから。
主人公のレオはいつも一緒にいる、暮らしていると言ってもいい親友のレミとの関係を、クラスの女子から『カップルなの?』と聞かれたことが妙に恥ずかしくて、レミとの距離を置き始める。仲間外れになることを恐れて、新しい友達と仲良くし、それまでやってなかったアイスホッケーにもトライしてみる。そして、いつものようにレミの家に泊まっても、同じマットレスで寝ることがなくなった。何となく、あくまで何となくやったことが、果たして、どんな悲劇を引き起こすのか!?
子供だからとは言えない、残酷な仕打ちがもたらす予期せぬ出来事の顛末を描く映画は、やがて、少年らしい結末をレオに与える。その清々しさは半端ないのだが、注目すべきは子供たちを見守る大人たちの眼差しだ。生きていくこの世界には色々が出来事があって、色々な人々が重なり合って成り立っている。そこもまた、本作の視野の広さを象徴している。
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