劇場公開日 2023年3月31日

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「映画にとって虚飾を排するということ」トリとロキタ つくねと皮以外は塩さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画にとって虚飾を排するということ

2023年4月29日
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ダルデンヌ兄弟の『ある子供』を公開当時はじめて観たときは衝撃的だった。いまの時代にこんなヒリヒリするような映像を、まだ劇映画の枠組みのなかで撮れる人が居たんだ、と凄くびっくりした。ドキュメンタリー出身で、素人の役者しか使わないのはもちろん関係しているだろうけど、作品がいつも特別な輝きを持っているのはそれだけが理由じゃないだろう。今回は恐らく彼らの最高傑作のひとつ。映画の作り手として純粋であるためには「大人」でなければならないこと、まがいものを削ぎ落としていくことでしか、そこに到達できないことをみごとに証明した傑作。主演の二人が魅力的だし、何より編集の切れ味が圧倒的に凄い。

つくねと皮以外は塩