「【”この世とあの世の間の往還”異世界エロティック、ダークファンタジック、ノスタルジック、フィルムノワールムービー。この異形なる不可思議な世界観は、ナカナカ出せないなと思った作品である。】」コンビニエンス・ストーリー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”この世とあの世の間の往還”異世界エロティック、ダークファンタジック、ノスタルジック、フィルムノワールムービー。この異形なる不可思議な世界観は、ナカナカ出せないなと思った作品である。】
■売れない脚本家、加藤(成田凌)は、恋人で女優の可なり変人のジグザグ(片山友希)と同居している。
そして、彼女の飼い犬ケルベレスが、彼の書きかけの脚本を、消してしまったことに腹を立て、山中に捨てに行く。
だが、罪悪感からか、連れ戻そうと再び山中に戻るが、犬はおらず、不可思議なレトロ感たっぷりのコンビニエンスストアに、辿り着く。
最初は、店には誰も居ないが、再び訪れると、妖艶な店員の恵子(前田敦子)に出会う。そして、車まで無くなってしまった加藤は、誘われるまま恵子と夫南雲(六角精児)の家に泊まる事になるが・・。
◆感想
・序盤は、”ああ、今作も復活ならずか・・”等と、チラリと思いつつ鑑賞する。
だが、前の席のおじさんはクスクス笑っている・・。時折声を上げながら・・。
■三木監督作常連の、ふせえり、岩松了も登場し、映画プロデューサーや、加藤に脚本を依頼する役を演じるが、序盤は、可なり小ネタが空回りしている。
このままでは・・、と思っていたが、加藤が不可思議なレトロ感たっぷりのコンビニエンスストアに、辿り着く辺りから面白くなる。(あくまで、個人的な意見です。)
・南雲が、毎日森の中で燕尾服で指揮するシーンなどは、訳が分からないがその異様な世界観は、何だか面白い。
そして、そんな南雲に愛想を尽かせて、加藤に妖艶に迫ってくる恵子を演じた前田敦子のエロティックな演技は、新境地ではないか。
今作での、前田敦子の存在は、物語においても重要であるが、存在が際立っている。
・突然消えた加藤(異世界に行っているからね。)を、明らかにオカシナ男二人に頼むジグザグの姿や、異世界に踏み込んで行ったオカシナ男二人が、異世界のコンビニエンスストアに入り込むも、南雲にアッサリとヤラレ、更に加藤まで殺されかける店内発砲シーンなどのフィルムノワールを彷彿とさせるシーンも何故か、ハラハラしながら魅入られてしまう。
・異世界コンビニから、この世に加藤が戻るシーンも、その後の加藤の身に起こった出来事も(序盤に似た構成が、キチンと描かれている・・。)
成程ね・・、加藤はあの時点でもう・・、と思ってしまったよ。
<”この世とあの世の間の往還”をテーマにした作品と言えば、黒澤清監督が得意とするジャンルである。
が、今作はそこに三木監督が、エロティック、ダークファンタジック、ノスタルジック、フィルムノワール要素をパラりと振りかけている所が、斬新である。
『三木監督のコメント』
”分かり易さが求められる現代において、意味が崩壊しているものが有っても、面白い。
意図的に話をずらしたり、意味を断裂させたりしているので、そこを面白がってもらえれば・・。
分からない・・、と怒り出す人もいるかもしれないが・・。”
を読んで、成程ね、そこまで計算しているのか、と思った作品である。>