リバー、流れないでよのレビュー・感想・評価
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良作
単純に面白かった。時間がループしているが、記憶は受け継いでいると言う新しい視点が秀逸で最後は全員がハッピーに終わる所が大変良い。シナリオが良ければ低予算でもいい映画が出来る実例の様な作品。ちょっとだけ、雪の景色とあの物理学者のような板前さんには違和感があったが…それも愛嬌で良いでしょう。
奇妙な設定と自然な反応のギャップ
評判が良くてずっとみたかった本作、ようやくテアトル新宿でと思ったら偶然出演者によるアフタートーク回に当たってラッキー。まとまりのない(笑)楽しいトークでした。
映画はループ、それもたった2分間というステキな設定を存分に楽しんだ。途中川を渡ろうとか川上川下にとかちょっと無駄足も挟んだ感、また低予算なるが故の天候の乱れなどもあったが、主人公始め憎めない良い人たちの素直で自然な右往左往。特に主人公が2回くらいループしただけで事態を受け入れてしまうあたりがオカシイ。あとで謎解き的な展開もあるが。
【京都のパワースポット貴船神社前の”時を止めたい人”が多数いる老舗旅館で突如起きたタイムループドタバタ劇。】
ー 貴船の老舗旅館「ふじや」(実際にあります。)に勤める仲居のミコトは突然、2分のタイムループの輪に取り込まれる。-
◆感想
・2分のタイムループの輪に取り込まれる人々。
1.猪鍋から締めの雑炊を食べていた男二人組・・延々と雑炊を食べる羽目に。クスクス。
2.締め切りに追われる作家(近藤芳正)と、編集者・・締め切りが無くなった作家は喜び、挙句は「一度死んでみた」までやる始末。
3.編集者は風呂から出られなくなり、シャンプーを頭に付けたままウロウロ。クスクス。
4.ミコトと番頭は、片づけを延々と繰り返す。クスクス。
5.女将(本上まなみ:東京から京都に居を移した美しき女優。ファンなので嬉しい。)は周辺の様子を伺う。
ー 序盤は、劇場のあちこちから笑い声が上がる。-
・ミコトが料理人のタクがフランス料理修行に行くことに心を痛めており、貴船の水神様に時を止めるように祈っていた事が分かる辺りから、少し流れは変わりミコトとタクの”恋の逃避行”になっていくのである。
ー 笑い声が無くなる。観客は正直である。-
・そして、タイムループが起きた真実が分かるシーン。
ー いやあ、あのボロッチイ飛行船は脱力したなあ・・。しかも動かし方も脱力・・。
確かに序盤、あのアイドルさんも微妙に宇宙服みたいな恰好で、”エンストしちゃったんです。”と訪ねて来ていたなあ。上手く纏めた・・のかな。-
■ヨーロッパ企画の上田誠さんの京都を舞台にしたタイムループ作品に拘る姿勢は、何か好きだな。
<今作は、中盤前まではナカナカ笑えたが、後半徐々に雰囲気が変わった気がした感がある作品。タイムループものって難しいよなあ。(延々と同じ舞台でやってると、客は飽きる)
序に言えば、今まで曖昧だった、タイムループとタイムリープの違いは良く分かりました。>
<2023年7月30日 先週金曜日のNHKの東海どまんなか!「アフターコロナで激変!?シアター活用術」の所為か知らないが、私にとっては過去最高の客の入りであった刈谷日劇にて鑑賞。良かった、良かった。>
ドロステのはてで僕らと重ねてしまった
貴船の景色は美しく、閉ざされた世界としては最高のロケ地でした
2分のタイムループが軸になっている話ですが、ループを重ねるにつれて、記憶が残っているため、各自が勝手に動き始め、だんだんとややこしくなってくるのを、うまくまとめていると感じました
状況把握や原因究明のために何ターンも使って集まったり、逃走者を追いかけるターンが何回か続いたりと、それぞれ意味があったと思います
20回くらい観たドロステのはてで僕らの延長線上で観てしまったため、番頭だけど本当はタイムパトロールかとか、理系の人がとんでもない実験をするのではないかとか、猟師が実は女将さんのファンで告白するのではないかとか余計な先入観ありまくりでした
フランス語講座を聞いていたのでタイムループに気づかなかった人がいましたが、全然聞き取れていなかったのがバレバレで面白かったです
作家が、障子を破ったり、二階の窓から物を投げたりしていましたが、私は一万円札を燃やしたり、ビールかけをしたり、ウイスキーのラッパ飲みをしたり、バリカンで坊主頭にしたり、消化器ぶちまけたり、猟銃撃ったり、業務用冷蔵庫の中の美味しい物を食べたりなどしてみたいと妄想しました
ヒサメは何年生まれなのかわかりませんが、タクとミコトの子孫だったら素敵だと思いました
2分ループの3作目は、どんなストーリーなのか否が応でも期待が膨らみます
2分間のタイムループ
同じ2分間がループし続けるという設定なのに、どんどん物語が展開していく様はとても面白かった。
また2分間という絶妙な短さが面白い。
何かをやるには短すぎるし、のんびりしていたらループしていることにも気づかない長さだ。
というわけで、貴船の老舗旅館で忙しく働くミコト、番頭、女将、チノは早くもループ2週目にして時間が繰り返されていることに気づいてしまう。
時間はループしても意識は継続されていくのがこの映画のミソだ。
〆の雑炊をつついている男客二人も、やがていつまで経っても雑炊が減らないことに違和感を抱く。
締め切りに追われる作家先生も異変に気づくが、温泉に浸かっている編集者はなかなかループに気づかない。
そして休憩中の料理人タクが一番ループに気づくのに遅れてしまう。
動揺する客たちをどこか達観した様子で宥めていく仲居や番頭の姿が可笑しい。
またループの謎を解明しようとする理系の料理人エイジと、どこか的はずれな料理長の存在も面白い。
ゆるゆるな感じで物語は進んでいくのかと思えば、突如狂気を孕んだ展開になっていくのには驚いた。
エイジがトラブルを起こしてはいけないと忠告をした直後に、作家先生は発狂し出すし、雑炊をつついていた男客二人は口論を始める。
やがてミコトはこのループの原因は自分にあるとタクに打ち明ける。
フレンチの修行のために自分の前から姿を消そうとしているタクを繋ぎ止めたくて、彼女は時間が流れないように川に向かって祈ったのだ。
本当にそんなことで時間がループするとは思えないのだが、異常事態では人の思考は正常ではなくなる。
二人の会話を聞いてしまったチノは、皆にその内容を伝えてしまう。
身の危険を感じたミコトとタクは繰り返される2分間の逃避行を始めるが、逃避行はいつしか二人のデートの時間へと変わっていく。
コメディから狂気、そして甘いラブロマンス。
そこから再びの狂気。
ループから抜け出せず自分を撃ってしまう猟師に、旅館の窓から身投げしてしまう作家先生。
時間はまたループするものの、事態の深刻さに改めて気づいたミコトは、時間が元に戻るように祈りを込める。
もちろんそんなことでループから抜け出せるとは思えないのだが。
ここから強引なSF的展開を見せるのも面白い。
一歩間違えれば観客を置いてきぼりにしてしまう流れだが、それまでに積み上げたドラマが面白いので、最後まで画面に惹き付けられてしまう。
観客の共感を得られる要素が多かったのも、ただ単に設定の面白さだけでなく、ドラマとして魅力的に感じられた要因のひとつだろう。
時間が止まって欲しいと願ったのはミコトだけではなく、実はすべての登場人物が現実に何らかの問題を抱えていたことが分かる。
だからこのトラブルはある意味皆の願いだったのである。
しかし人は前に進んで行くしかない。
そして人は人と困難を共有し乗り越えた時に、また新たな一歩を踏み出せるのだとも思った。
観終わった後にはほんのりと暖かい気持ちになれた。
もうひとつ、この映画のアイデアが優れていたと思ったこと。
映画の中ではいくら時間がループするといっても、現実では同じ時間に戻ってシーンを撮影し直すことは不可能だ。
だからこの映画の中ではループする度に、少しずつ世界線がずれているという設定を取り入れている。
ループの回によっては一面雪景色だったりするのだが、これがとても幻想的なのだ。
同じ時間を現実には繰り返せないという難点を、発想の転換で効果的に見せているところにこの映画の底力を感じた。
面白く見ました
(完全ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
※本来の長いレビューを書く時間が最近ないので、短く
今作の映画『リバー、流れないでよ』を面白く見ました。
映画『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』に似たタイムループものですが、今作は2分でループするストーリーになっています。
この2分ループというのがミソで、ある1エピソードが平凡だったとしても必ず2分で終わりが来るので観客は先を見据えて次に期待することが出来ます。
つまり2分ループのおかげで中だるみが排除されているのです。
とはいえ、2分ループの初めの原因として示された、主人公・ミコト(藤谷理子さん)が彼氏の料理人・タク(鳥越裕貴さん)のフランス修行を止めたい想いは、可愛らし過ぎとは思われました。
また、2分ループの本当の原因が、タイムパトローラー・ヒサメ(久保史緒里さん)の乗って来たタイムマシーンの故障という展開も、ちょっとハートフル過ぎないかとも正直思われました。
とはいえ、途中おそらく撮影期間中に降った積雪を、(予算の関係でしょうが)そのまま逆に時系列吹っ飛ばして利用している姿勢にも好感持てましたし、全体に流れるほっこり感は映画の良さにもなっているとは思われました。
映画界の全体でみるとその予算規模も相まって個人的な星評価は今回のようになりましたが、十分面白さある映画だと一方では思われました。
p.s.映画の舞台となった旅館は、主人公・ミコト役の藤谷理子さんのご実家なんですね。
それを合わせて、この映画がいかに出演者・スタッフの熱い想いで出来ているかが伝わる気がします。
そしてそういう情熱あふれた今作の映画がヒットしていることも、本当に素晴らしいことだと私的にも思われています。
斬新
久保史緒里ちゃんの願いで始まって
ミコトの願いで終わる
いいね!と思いました。
2分間でできる面白い出来事をやり尽くしていて
最後には無理やりではあるけど笑 綺麗にオチてる。
2分間のドタバタを手持ちカメラで撮り、
久保史緒里ちゃんが未来へ帰ったあとは、固定して撮ってる。
これなんか意味があるのかなー。
まあとりあえず純粋に面白い!って思える映画でした
よく出来てるけど驚きはない
かなり話題になってるので鑑賞。
確かにタイムリープ系の中に笑いと恋愛とシリアスとファンタジーと全て詰まってよく出来ていた。
カメラを止めるな的な驚くオチを期待してたけど、驚きは特にない😅
あと酔いやすい私は画面酔いしてしまった💦
みんな役者のキャラが立っているのも良い‼️
ロケーション勝ちの低予算タイムループ映画
かなりの低予算で作られた映画としては、良く出来た作品だったと思う。こういったタイムループものかつ低予算作品では多いワンシチュエーションコメディではあるが、舞台となる旅館の中にとどまらず、向かいの離れや、建物沿いを流れる川の土手、更には旅館から少し離れた神社の境内など、行動範囲が広がっていくのは面白かった。旅館の構造や周辺敷地の高低差の特徴を生かして、建物の内外で階段を登ったり降りたりを繰り返すアクションが、展開を大きく躍動的に見せていて、観客側も息切れするような不思議な快感をもたらしてくれた。このロケーションがクオリティをかなり引き上げたと思うから、ロケハンスタッフを賞賛したい。同じ時間を繰り返しながらも季節だけは進んでいく設定も楽しかったのだが、あの雪はリアルに降っていたのか?降らせたのか?
「明日なんて来なければいいのに」という、主人公にとっては半ば怨念のような感情がタイムループのトリガーであると、登場人物達も我々観客も勘違いさせられるのだが、誰しもが共感する気持ちなだけに、そうは言っても5分毎に繰り返すくらいだったら明日が来る事を受け入れたいなと、ある意味ポジティブな気持ちにさせられた点もよかった。
昨年(2022)の映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」や、今年(2023)のドラマ「ブラッシュアップライフ」を見ていない自分だったら、もっと面白いと思えたかもしれない。
タイムリープごとに同じ設定で別の味
2分のワンカットを何度も繰り返す
タイムリープなので同じ設定だが、
同じ2分間は1度も無く、どれも別の味がする
登場人物の行動も、終わり方も、さすがでした
日々生活していて、今ここが急に自分の初期位置になったらどうするかとか考えたりして気になって楽しい
SすこしF不思議な タイムリープコメディ映画
2分のタイムリープを36回、しかも、長回しで実際に測りながら撮影しているというこの作品、もはや新しい映画の手法だと思う。
そんなにマニアックなタイムリープモノなのに、笑えてちょっぴりグッとくる。
しっかりエモい作品に仕上がっている。
ヨーロッパ企画上田誠さんの脚本技が光る。
わずか2分、されど2分である。
劇団の真骨頂を見せてくれる、ヨーロッパ企画役者さんたちの演技が抜群によい。貴船ふじやという箱庭の中で、まるで舞台を観ているようだ。
2分を繰り返しながら、すこしづつ前に進む感じもよく、いつしか彼らを応援している自分がいる。
「あ〜あ、もう2分たっちゃうよ、ほら〜」
ってつぶやいちゃう。
京都貴船というロケーションも最高によい。
京都の劇団だからこそ、できた協力体制だと思う。
大雪という自然も加わって、まさに奇跡の映画になった。風景だけでもすごい。
この辺は、長回しも含めて前作のドロステから続く、山口淳太 監督の腕も確かだ。本当に完成して良かった。
なにより、視聴後感がとてつもなく良い。
(これ、僕が映画を作るときに、一番優先していたことなのだけど。)
SF物にありがちな、難しさはこれっぽっちも感じないのだ。
最後まで観ると、なぜ、2分がループしていたのかがよーくわかる。
「ああ、そうだったのか!」
となる、このなるほど感、これが大事だと思う。
ダメな作品って、観客置き去り設定ってよくある。そういうのが全然感じられない。
素晴らしい👍
この辺は、サマータイムマシンブルースやドロステなど、時間設定を作り尽くしている上田さんだ。
あえていうなら、
SすこしF不思議な
タイムリープコメディ映画だ。
上田さんのF先生リスペクトは、前作のドロステを観るとよーくわかる。
もっともっと広がって欲しい。
まだの方は是非とも一度観てほしい。
そして最後に一言だけ、
久保史緒里ちゃんが良いー😆
観た後に理解してね。
「みた?」「みた、みた!」という映画
上田誠さんの技が冴えてるね。
2分間でタイムループするんだけど、登場人物全員にタイムループした感覚が残ってるのが発明だね。
その設定で何を描くかというと、主人公の恋愛がメインになってくる。
周りの人の変化も少し入れて。
「タイムループするって分かってたらこうだろう」っていう小技がだくさん出てきていよね。
ラストでタイムパトロールの女の人が縁結びのお守りを見せるけど、あれは「地球と月の遠距離恋愛がうまくいくように、日本とフランスの遠距離恋愛を成就させた御先祖様のエピソードにあやかってる」っていう表現に見えたな。《四畳半タイムマシンブルース》だね。
《カメラを止めるな!》以降、「新しい構造の作品を観たい」という要望が多くて《ドロステの果てでぼくら》《MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない》なんかが出てきたね。
それぞれ面白いから観るというのもあるけど、「みた?」「みた、みた!」と言うために観てるところもあるね。
それが新しい鑑賞体験として良いのかどうかは、少し気になったよ。
1分でも3分でもダメ
上田誠氏率いる
「ヨーロッパ企画」の新作!
京都の老舗料理旅館、貴船ふじやが舞台です。「元祖川床発祥の宿」だそうで、まずその立地に驚かされました!
本当に目の前すぐに貴船川!!
旅館の佇まい、貴船神社の鳥居の朱色、水神様の伝承、周りの自然、漂う空気感が現実ではないような幻想的な空間に魅了されます。
ここでなら、時間の概念が狂ってもおかしくなさそうです。
そこで繰り広げられる2分間のタイムループから抜け出せなくなった人々の混乱を描いた群像コメディ。
原案、脚本の上田氏。現在公開中のマリオの日本語版台本制作にも参加しているそう!字幕verも観たくなる!
さて、
タイムリープ、ループものを得意とするヨーロッパならではの作品です。練りに練られた脚本を、いつもの舞台から単に映画という表現方法に置き換えただけではなく、舞台では表現できない部分を全て補完した仕上がりになっていて満足度が高い。
寄ったり引いたりして「2分」という時間を追いかけるカメラワーク。ワンカット撮影の為、実際に皆が同じ目線でその時間を共有できる。ループするその2分を何ターンも見せられ、やがてこちらもその2分の感覚を掴んでくるのが面白い。
そろそろ時間じゃない?!
又、初期位置からか、、とかw
全員が前のターンの記憶を残している事も鑑賞者を巻き込む上手い仕掛けだ。
現実の2分って、、
例えばカップラーメンを前にじっと待つ3分中の2分。長い。
朝の二度寝したい2分なんてまばたき1つではい終了。
こんなに2分を意識したのは初めてだ。
何度ループしてもその時間内での出来事から少しでも前に進もうとしている。それって実は過ぎた時間は戻らないって事かな?と思ったり、、
時の流れってフシギで何とも愛おしいって思ったり。。
でも結局何が言いたいかって「天狗じゃない!」って事ですw
ラストは上田さんなので、らしい??ヒサメのタイムマシーンの故障によるパラドックス回避ってことでループが起きたんだってさ(^。^)
ミコトやお客さん、作家先生などのせいにせず解決で、そこは良かったのではないかな。
ところで、、
ヨーロッパ企画の舞台を二度観た事があるのですが、、
カーテンコールに出てくる役者さん達のオーラのなさ!!挙動不審さ!!に、もう笑いが止まらずww
さっきまでのオーラどこ行ったw!ってツッコミ、大丈夫だよぉ〜皆んな味方だよぉ〜と思った記憶があります(^ ^)
そして推しの永井さんと本多さん!
今回は番頭さんだった永井さん。
神社への階段をダッシュで上がる時、カメラさんに追い抜かれていておもしろかったけどw
「闇金サイハラさん」の「宇津井」が気持ち悪くて大好きな私からしたらちょっと物足りなかったですw
そして本多さん出てなくてかなし丸でした( ; ; )
最後に!!なんと貴船ふじや!!
藤谷理子さんのご実家らしいですよ!!いや〜ビックリ!!
ヨーロッパ好きな人もそうでない人も楽しめます!慌ただしい2分間を何度も体験して下さい!オススメ🎵
よくこれを映画でやってのけるな、と
駆け込みレイトショーで、パートナーと鑑賞
大好きな上田さんの作品を是非見せたい!と、内容は説明せずに大きいポップコーンとアイスティーを一個ずつ購入して映画館へ。
2分という特別短いループを何回も繰り返すタイムループ映画。大ファンであるヨーロッパ企画制作ということを差し引いても、楽しめた映画でした。
とにかく世界が狭い!!!でも広い!!!!!演劇かよ!!!という褒め言葉。2分の間で動ける範囲で展開する世界。多分これ演劇だったら、観客はおんなじ目線を見るから飽きちゃうけど、映画だからこそ、いろんな目線で見れて楽しめんだろうなと思いました。寄ったり引いたり、景色を見せたり手元を見せたり……!
撮影中の天候がコロコロ変わるのよかったですね。雪の貴船美しかった。
そして安心の時空パトロール。毎回出てくる安心材料、あぁパトロール出てきたら安心安心的な。
「タイムループに巻き込まれたらどうしたらいいか」の指南映画でもありますね。私は作家さんように幼子よろしくはしゃいでいたいと思います、誰か時空の歪みを直してください。
これが「よくできた脚本」……?
前作『ドロステ』が楽しめたので観てみた、ヨーロッパ企画の演劇は未鑑賞の人間です。
いや、この作品はダメでしょう。擁護できない。普段はレビューなど書かないのですが、あまりの未消化な内容に腹が立ったので。
アイディアそのものは面白くなりそうで、短期間でのループの連打は見たことのない感覚があり悪くなさそうなのだけれど、まず冒頭からリアリティラインをどのあたりに置いているのか不可解な発言や行動を登場人物が連発。
「コメディだからそういうもの」ではない。コメディだからこそ、奇妙な状況に困惑している人間に感情移入しなければならず、多少変わり者が出てくるとしても、人間として理解できる心理の流れと「普通の人間のリアクション」はきちんと押さえていなければならない。
状況がおかしいのだから、人物がおかしかったらダメなのだ。
冒頭から大人たちが即座にタイムループなどという破天荒な状況を速攻で受け入れる、老舗旅館の従業員にしては失礼すぎる物言いを客に繰り返す、バスタオルを巻いている程度の裸体の男性を見ただけで大人の女性が照れて視線を逸らす、というところで「?」だったが、一番不可解だったのは中盤の「逃避行」の下り。
ループしてるのだから逃避行しても意味ないし、意味のない行動を思わず取ってしまうほど主人公が追い詰められているわけでもないし、百歩譲って逃避行するにしても全く主人公が真剣にやっていないので、展開として緊張感も必然性もない。
そもそも芝居全体がいわゆる大仰な「舞台演技」なので、大したことない事態にもいちいち大袈裟に感情表現していて感情移入の妨げになる(人前でこんな振る舞いをする大人は普通いない、というレベルで)。
舞台上でやる分にはこれぐらい強めでもいいかもしれないが、あくまでこれは映画なのだから、演出の段階で加減したりはしないのだろうか。
そして主人公が実は原因だった(のかもしれない)という状況になった時点で、主人公が切実に「このループの中にずっといたい」とまで感じさせるだけの感情的・状況的積み重ねがない(とってつけたような理由が提示されるだけ)ので、主人公の動機に共感できない。
これぐらい、冒頭から少しずつ振っておけば(主人公たちの若干の不和・軋轢とか、待ち受けている未来のしんどさとか、それに対してどう感じているかとか、逆にループそのものを主人公だけやけに楽しんでいるとか)済むことでしょう……。
考えてみればそもそも、物語の構造として、どの登場人物に関しても「解決すべき課題」のようなものが冒頭でほとんど提示されていないのが気になる。
ループを題材にした物語を描くなら、ループが始まる前に、その登場人物たちが抱えている問題(『恋はデ・ジャブ』なら主人公の人間性の問題であるとか)が提示されて、ループという経験を通してそれが解消される、という流れになるはずなのに、ループの前には全くそういう問題が描かれていないのは単純に脚本の甘さでしかないと思うのだが……。
登場人物ほぼ全員が、「ループから脱出する」以外特に大した問題を抱えていないので、物語を通してそれが解消されるカタルシスが皆無に近いのだ。
作中でほぼ唯一緊張感が生まれたのが「死」に関わるアイディアが出てきたあたり。ここらでトーンが変わるなら、とも思ったが、作家性的にそういう方向に真剣に物語が進むはずもなく、一瞬ピリッとした流れもなんとなーくで解決していってしまう。
「何度繰り返しても崖から落ちてしまうタクシー」なんて面白そうなネタも口頭だけで消化されて、「崖に落ちずに済む方法見つかったらしいです!」って、そのくだりもいらんだろう! 包丁で刺し合いになった人はどうなった!
考えてみれば、登場人物全員の記憶が維持されている以上、このループのシチュエーションは、孤独や前進できない寂寞感を描くのではなく、シンプルに無限地獄でしかないはず。それ以外は、何度も初期位置に戻される以外は普通の現実と何も違わないのだ。
だから、『ハッピー・デス・デイ』のように避けがたい死を回避する、というプロットになるのなら転がしようがあるが、それ以外はそんなに盛り上げようがない。他の人たちも同じ不安を共有しているし、ループ自体は自分たちではどうしようもない問題なのだから。
そして、最も盛り上げられるはずのループの解消作戦については、ビールを数本持って行くぐらいであっさり解決。漁師の銃が必要というのも本当にとってつけたような理由づけで、そもそもあの人物は必要なのか、と……。
さらに、SFやファンタジーを描く場合、重要になるのは「この特異なシチュエーションでしか描けないような内容になっているのか」というところもあるだろう。
ループを描いた無数の名作群は、「変えることのできない運命はあるのか」「人生における選択に人間はいかに向き合うべきか」といった問いかけに、真摯に向き合っていたはずだ。つい最近の『ザ・フラッシュ』もそうだった。
この作品は何を描いた? 「やっぱり前に進まなきゃね」? そんなこと、わざわざこんなシチュエーションを描かなくたってわかっている。
別に原因が未来人でもタイムパトロールでもなんでもいい。低予算で外の景色を一貫させることができなくたって仕方ない。百歩譲って、芝居が舞台から離れられないのもいいだろう。
それ以前の、脚本の物語としての盛り上げ方、感情の流れの作り方が全くなっていない。「二分間でループしたら面白いんじゃない?」から先が全然出来上がっていない(実際、思いついたときは面白そうな気がしたけれど、いざ執筆してみたら意外と難しくて持て余したのではないか?)。
SFやファンタジーとしての練り込みも、テーマの掘り下げも、全く足りていない。
別にCGが使えなくても超有名俳優が出せなくても、なんとかする方法は脚本レベルでまだいくらでもあったはず。映像的な驚きや意外性もあった前作と比べても、大きな後退だ。
テレビでさらっと見たショートドラマぐらいならこの程度でも別にいいかもしれないが、移動時間込みで3時間くらい休日を費やさせて、2000円払って、『ミッション・インポッシブル』や『怪物』、『RRR』と同じ土俵で上映しているのだ。細かいセリフのネタでクスッと笑わせるぐらい(それにしたって少ない)でよしとされては困る。
腹が立ったらこれぐらい言わせてほしい。前作は面白かったから、次はもっと磨き上げた脚本で勝負してほしい。
2023年7月5日追記・
○さんのコメントへ。
コメント、ありがとうございます。まず、
>人間の感情の機微やユーモアが理解できない人が、自分の理解の外にある表現を「映画はこうあるべき」という勝手な思い込みで断罪してしまう、あまりに思い上がったコメント。
この部分は明確に私に対する人格攻撃なので、やめてください。映画.comの投稿時のガイドラインをよくご確認ください。
>「リアリティ」の基準にせよ、「演出の必然性」にせよ、全部あなたの感性の匙加減次第だという事に気づいているのでしょうか。
>要は「自分は嫌い」と「そのように表現してはいけない」の区別が付いていないのです。
その通り、全ては観客の感性の匙加減であり、私はこの作品を傑作と感じている人を否定するつもりは全くありません。おっしゃる通り、「自分は嫌い」だったので、なぜそう感じたのかを言語化しただけです。それがつまり、レビューであり、批評です。
>映画を見ることが「自分の中で勝手に作り上げた名作の条件とのパターンマッチング」に成り下がっている人、居ますよね。
上記の通り、「なぜ自分はこの作品に腹が立ったのか」ということを言語化したので、当然自分が過去に鑑賞して、自分が良いと感じた作品群との比較になります。比較対象が名作かどうかは関係ありません(『『ザ・フラッシュ』はだいぶ批判されてますね)。批評とは一般的にそういうものです。
私のレビューが誤っている=私が誤読しているのなら、私に対する人格攻撃ではなく、どこがどう誤っているのか、論理的に反論してください。
あなたが「良い」と感じたし、全ては「感性の匙加減」の問題なら、それも結構です。私は「よくない」と感じたので、その理由を筋道立てて書きました。
最初のレビューに書いた通り、お金を払い時間を費やして鑑賞した以上、私には賞賛する権利も批判する権利もあります。
観終わったら、タイトルが大好きになっちゃった
初、「ヨーロッパ企画」作品鑑賞。
え〜面白い!舞台観てるみたい!!
お客さん達も笑ってるしたのし〜!
メインの恋物語の取り扱いが、丁寧で綺麗で泣けちゃった。
「大好きだけど離れなきゃいけない」みたいな感情に全力共感しちゃって、笑いながらもずっと泣いちゃった。
本人達にとっては、時戻しちゃうくらいだったんだよね。
と、
終盤の「全然関係無いです」がさぁ!!www
激烈に感情移入しちゃってたこっちとしては、「あ、ですよね」にならざるを得なくて最高でした。笑
皆それぞれ抱えてるものがあってさ、自分だけが特別じゃなくて(でも自分にとっては特別で)さ、それぞれがそれぞれの場所で精一杯生きてんだな〜。的な。
あとやっぱ、世界線がズレてくのが最高でした。
超怖かったもん。
タイムループものだよ、
リープする毎に世界線がズレてんだよ、
って言われたらさ、
想像しちゃうじゃないですか。あるターンでいきなりの終末とかちょっとした絶望展開を…。
雪が深くなるにつれ、いやいやまさか。って。
世界線が戻って(?)きて一安心して。
でもラスト、この世界線は良い感じだといいね。って。
うん、今怖い事言われたな?ってなって。本人はポジティブな意識で言ってるのがまた。
いや、あっけらかんとした「どうにかなるだろう」感のあるこの作品にそんな地獄が、とは思わないですけど。
可能性を残すケレン味がね。
最高ですね。
すき〜。と、思いました。
世界線のズレ・・・じゃなく、世界観のブレが課題
貴船神社の周辺にある老舗旅館の女性従業員の神頼み・・・か何か理由は良く分からないが、ある起点から2分間、時間が巻き戻され、ひたすら繰り返される世界(といっても貴船川周辺のみ)に閉じ込められた人々の群像劇です。
ポイントとなるのは、記憶は継続する点です。
人間関係含めて「やっちゃったら、元には決して戻らない、無かったことにはならない」ということ。展開される場面、範囲はほぼ一緒だが物語は貴船川のごとくサラサラと流れているので、そこは鑑賞者も設定の認知に少し戸惑うところでしょう。
メインの出演者が劇団員さんだからでしょうか、若干オーバーアクションではありますが、それぞれの癖の強いキャラクターが生き生きと表現されており、彼らの本気度高めの掛け合い自体にクスッとされる笑いが内包されているイメージで最初は好印象でした。
しかし、「2分間の繰り返し」は、その世界の住人だけでなく、鑑賞者にとってもストレスフルな体験だったのは否定できない事実です。その世界に没入した結果かもしれませんが中断を余儀なくされる、って人ごととして笑えませんでした。
さらに物理的に初期位置に戻るという設定が仇になり、必然的に物語が動かない移動経路を1分くらいは見せられるはめになるのが本当にマイナスポイントでした。つまりテンポが悪いってことです。
また、貴船神社周辺だけ2分間が繰り返されるはずなのに、降雪だけじゃなく時に積雪もあったりすることを「世界線のズレ?(理系君いわく)」とおっしゃってましたが、まあ、雪景色の貴船神社周辺は風情があり美しいので、とってつけたこのズレは許しましょう。映像的マンネリ感も回避できていたし。
しかし、以下に提示した鑑賞者が戸惑うような「世界観のブレ」はちょっといただけません。
アングラ演劇(失礼)にありがちな混乱、カオス、狂気の表現として「自殺2件、殺傷?1件、交通事故多発?」はなぜ組み入れた?と思いました。記憶は残るからこれは今後もトラウマかつ修羅場・・・決して無かったことになはらない。
正直この映画の優しい世界観には馴染まないと思いました。見せなければ良いってことじゃないです。まあ実際、リアルな流血シーンもありましたし。
この部分にこの作品の決定的な欠点である世界観のブレ、定まらないふわふわした倫理観を強く感じました。
だって、旅館の障子に穴あけて悦に入る、またバスタオルしっかり巻いた半裸の男性から女性が逃げ回る優しい世界観ですよ(笑)?
なんでもアリの上限を「死や凶器による加害」に置くなら、もっとはちゃめちゃを期待するし、逆に映画のレーティングを考慮してそこまでする覚悟がないなら、綺麗にまとめてそんなシナリオにすべきじゃないです。
映像的には非常に綺麗、演技も良いのに、何か中途半端、主張がブレブレの印象が強く残る作品となりました。
全50件中、21~40件目を表示