リバー、流れないでよのレビュー・感想・評価
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2分のタイムループの中で、パニックも恋愛も超能力もSFも。
猟奇的な彼女
藤谷理子が魅力的だった
京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」で仲居として働くミコトが貴船川のほとりに立っていて、中に入り、男性従業員と客間の片付けをしたところで、なぜか先ほどと同じ場所に立っていた。ミコトだけでなく、他の仲居、料理人、女将、宿泊客たちも同じ時間がループしていることに気づいた。2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまうが、記憶は引き継がれていた。人々はタイムループの原因究明に乗り出し・・・無事解明されるのか、という話。
13時56分20秒から58分20秒の2分間のループで記憶が残っているというのは新鮮で面白かった。
ただし、撮影場所を貴船の料理旅館にしたのは良いが、冬にしたのは意味があったのだろうか?途中から突然雪景色になり違和感を感じたのは自分だけ?言い訳っぽく時間は戻るが景色は変わる、みたいなセリフがあったが、それじゃあ2分前に戻る、じゃ無いよな、なんて思った。ま、面白かったから些細な問題なんだと思うが。
ミコト役の藤谷理子の表情や声が魅力的だった。彼女の実家が撮影場所のふじやというのは偶然じゃ無いのだろうが、中居役がすごく似合ってた。
謎の女性ヒサメ役の久保史緒里はやっぱり可愛かった。
何度でも観たくなるような会話劇、面白かった。
奇妙な設定と自然な反応のギャップ
評判が良くてずっとみたかった本作、ようやくテアトル新宿でと思ったら偶然出演者によるアフタートーク回に当たってラッキー。まとまりのない(笑)楽しいトークでした。
映画はループ、それもたった2分間というステキな設定を存分に楽しんだ。途中川を渡ろうとか川上川下にとかちょっと無駄足も挟んだ感、また低予算なるが故の天候の乱れなどもあったが、主人公始め憎めない良い人たちの素直で自然な右往左往。特に主人公が2回くらいループしただけで事態を受け入れてしまうあたりがオカシイ。あとで謎解き的な展開もあるが。
九十分ていうのがまたいいよね。
【京都のパワースポット貴船神社前の”時を止めたい人”が多数いる老舗旅館で突如起きたタイムループドタバタ劇。】
ー 貴船の老舗旅館「ふじや」(実際にあります。)に勤める仲居のミコトは突然、2分のタイムループの輪に取り込まれる。-
◆感想
・2分のタイムループの輪に取り込まれる人々。
1.猪鍋から締めの雑炊を食べていた男二人組・・延々と雑炊を食べる羽目に。クスクス。
2.締め切りに追われる作家(近藤芳正)と、編集者・・締め切りが無くなった作家は喜び、挙句は「一度死んでみた」までやる始末。
3.編集者は風呂から出られなくなり、シャンプーを頭に付けたままウロウロ。クスクス。
4.ミコトと番頭は、片づけを延々と繰り返す。クスクス。
5.女将(本上まなみ:東京から京都に居を移した美しき女優。ファンなので嬉しい。)は周辺の様子を伺う。
ー 序盤は、劇場のあちこちから笑い声が上がる。-
・ミコトが料理人のタクがフランス料理修行に行くことに心を痛めており、貴船の水神様に時を止めるように祈っていた事が分かる辺りから、少し流れは変わりミコトとタクの”恋の逃避行”になっていくのである。
ー 笑い声が無くなる。観客は正直である。-
・そして、タイムループが起きた真実が分かるシーン。
ー いやあ、あのボロッチイ飛行船は脱力したなあ・・。しかも動かし方も脱力・・。
確かに序盤、あのアイドルさんも微妙に宇宙服みたいな恰好で、”エンストしちゃったんです。”と訪ねて来ていたなあ。上手く纏めた・・のかな。-
■ヨーロッパ企画の上田誠さんの京都を舞台にしたタイムループ作品に拘る姿勢は、何か好きだな。
<今作は、中盤前まではナカナカ笑えたが、後半徐々に雰囲気が変わった気がした感がある作品。タイムループものって難しいよなあ。(延々と同じ舞台でやってると、客は飽きる)
序に言えば、今まで曖昧だった、タイムループとタイムリープの違いは良く分かりました。>
<2023年7月30日 先週金曜日のNHKの東海どまんなか!「アフターコロナで激変!?シアター活用術」の所為か知らないが、私にとっては過去最高の客の入りであった刈谷日劇にて鑑賞。良かった、良かった。>
ループして記憶あるとこうなるね。
京都では何が起こってもおかしくない。
究極のタイムループ物
昨今はこうしたタイムループ物の作品も色々とあって、どうしても既視感が拭えなくなってきたが、本作はたった2分という限定された時間に目を付けた所が新鮮だ。
延々と繰り返される2分間という時間に閉じ込められた登場人物たちの右往左往が軽快に描かれていて飽きさせない。
原案、脚本を務めたのは劇団ヨーロッパ企画の上田誠。彼は「四畳半タイムマシンブルース」や「サマータイムマシン・ブルース」といったタイムループをネタにした作品で原案、脚本を務めており、この手のジャンルを得意としているのだろう。今回もツボを心得た笑いと軽妙な展開が冴えわたり、十分に楽しめる娯楽作に仕上がっている。
しかも、このタイムループはシチュエーションはリセットされても夫々の意識がリセットされないというのがミソで、それによって妬みや遺恨を募らせたりするから質が悪い。単に同じ時間を繰り返しているわけではなく、ちゃんとその中でドラマが進んでいるあたりが実に上手いのである。
たとえ時間は戻せても人間の感情の移ろいは修復できないという、何だか哲学めいたメッセージも感じられた。
そんな中、本作のメインとなるのは仲居のミコトと料理人見習いのタクのロマンスである。永遠に終わらない2分の中で、二人は普段は口に出来ない思いを言葉にして伝えあう。これが非常にチャーミングな恋愛談になっている。
そして、ラストのミコトの表情が非常に印象的だった。彼女の複雑な胸中を察すると何だか切なくなってしまう。
その一方で、このタイムループでは恐ろしいことも起こる。締め切りに追われる小説家の苦悩や、山から出られなくなってしまった猟師の絶望、厨房の惨事等。全体的にライトに描かれているが、もし現実にこんなことがあったら、やはり人は狂ってしまうのだろうなぁと思ってしまう。
全編90分弱というコンパクトな作品なので、事件のオチや、要所の問題解決で物足りなさを覚える部分もあるが、サクッと観れてスキっとできる快作である。
尚、個人的に最もツボだったのは風呂場の編集者だった。ずっと髪の毛にシャンプーの泡がついたまま奔走する姿にジワジワと笑いがこみ上げてきてしまった。
タイムマシーンの呪縛
2分間のタイムループだが流れる時間(繰り返す時間?)はゆったり
ドロステのはてで僕らと重ねてしまった
貴船の景色は美しく、閉ざされた世界としては最高のロケ地でした
2分のタイムループが軸になっている話ですが、ループを重ねるにつれて、記憶が残っているため、各自が勝手に動き始め、だんだんとややこしくなってくるのを、うまくまとめていると感じました
状況把握や原因究明のために何ターンも使って集まったり、逃走者を追いかけるターンが何回か続いたりと、それぞれ意味があったと思います
20回くらい観たドロステのはてで僕らの延長線上で観てしまったため、番頭だけど本当はタイムパトロールかとか、理系の人がとんでもない実験をするのではないかとか、猟師が実は女将さんのファンで告白するのではないかとか余計な先入観ありまくりでした
フランス語講座を聞いていたのでタイムループに気づかなかった人がいましたが、全然聞き取れていなかったのがバレバレで面白かったです
作家が、障子を破ったり、二階の窓から物を投げたりしていましたが、私は一万円札を燃やしたり、ビールかけをしたり、ウイスキーのラッパ飲みをしたり、バリカンで坊主頭にしたり、消化器ぶちまけたり、猟銃撃ったり、業務用冷蔵庫の中の美味しい物を食べたりなどしてみたいと妄想しました
ヒサメは何年生まれなのかわかりませんが、タクとミコトの子孫だったら素敵だと思いました
2分ループの3作目は、どんなストーリーなのか否が応でも期待が膨らみます
クラファンで支えてくれた775人の皆様ありがとう
大好きな京都、行ったことのある貴船神社。しかし縁遠い「貴船 ふじや」さん。あそこが貴船川なのか、夏はあそこで川床料理がいただけるのかと思いにふける。
たった2分間のタイムループ。たった2分なので初期位置から何回も繰り返すのだが、(記憶が残っているので)全く飽きることがなく話がどんどん進む。
タイムループ中冬景色になったり。違う貴船の景色も楽しめて良かった。
しかし、撮影期間中に大寒波で追加撮影も必要になり大変だったよう。クラファンで集まった1200万円超で無事素晴らしい作品になり感謝です。
またいつか貴船に行きたい。数年前鞍馬から距離的に近いじゃんと思い貴船迄歩いた。地獄の山越えだった。運動不足で歩くのではなかった。
ほっこり温かい気持ちになる2分間タイムリープ映画
2分間のタイムループ
同じ2分間がループし続けるという設定なのに、どんどん物語が展開していく様はとても面白かった。
また2分間という絶妙な短さが面白い。
何かをやるには短すぎるし、のんびりしていたらループしていることにも気づかない長さだ。
というわけで、貴船の老舗旅館で忙しく働くミコト、番頭、女将、チノは早くもループ2週目にして時間が繰り返されていることに気づいてしまう。
時間はループしても意識は継続されていくのがこの映画のミソだ。
〆の雑炊をつついている男客二人も、やがていつまで経っても雑炊が減らないことに違和感を抱く。
締め切りに追われる作家先生も異変に気づくが、温泉に浸かっている編集者はなかなかループに気づかない。
そして休憩中の料理人タクが一番ループに気づくのに遅れてしまう。
動揺する客たちをどこか達観した様子で宥めていく仲居や番頭の姿が可笑しい。
またループの謎を解明しようとする理系の料理人エイジと、どこか的はずれな料理長の存在も面白い。
ゆるゆるな感じで物語は進んでいくのかと思えば、突如狂気を孕んだ展開になっていくのには驚いた。
エイジがトラブルを起こしてはいけないと忠告をした直後に、作家先生は発狂し出すし、雑炊をつついていた男客二人は口論を始める。
やがてミコトはこのループの原因は自分にあるとタクに打ち明ける。
フレンチの修行のために自分の前から姿を消そうとしているタクを繋ぎ止めたくて、彼女は時間が流れないように川に向かって祈ったのだ。
本当にそんなことで時間がループするとは思えないのだが、異常事態では人の思考は正常ではなくなる。
二人の会話を聞いてしまったチノは、皆にその内容を伝えてしまう。
身の危険を感じたミコトとタクは繰り返される2分間の逃避行を始めるが、逃避行はいつしか二人のデートの時間へと変わっていく。
コメディから狂気、そして甘いラブロマンス。
そこから再びの狂気。
ループから抜け出せず自分を撃ってしまう猟師に、旅館の窓から身投げしてしまう作家先生。
時間はまたループするものの、事態の深刻さに改めて気づいたミコトは、時間が元に戻るように祈りを込める。
もちろんそんなことでループから抜け出せるとは思えないのだが。
ここから強引なSF的展開を見せるのも面白い。
一歩間違えれば観客を置いてきぼりにしてしまう流れだが、それまでに積み上げたドラマが面白いので、最後まで画面に惹き付けられてしまう。
観客の共感を得られる要素が多かったのも、ただ単に設定の面白さだけでなく、ドラマとして魅力的に感じられた要因のひとつだろう。
時間が止まって欲しいと願ったのはミコトだけではなく、実はすべての登場人物が現実に何らかの問題を抱えていたことが分かる。
だからこのトラブルはある意味皆の願いだったのである。
しかし人は前に進んで行くしかない。
そして人は人と困難を共有し乗り越えた時に、また新たな一歩を踏み出せるのだとも思った。
観終わった後にはほんのりと暖かい気持ちになれた。
もうひとつ、この映画のアイデアが優れていたと思ったこと。
映画の中ではいくら時間がループするといっても、現実では同じ時間に戻ってシーンを撮影し直すことは不可能だ。
だからこの映画の中ではループする度に、少しずつ世界線がずれているという設定を取り入れている。
ループの回によっては一面雪景色だったりするのだが、これがとても幻想的なのだ。
同じ時間を現実には繰り返せないという難点を、発想の転換で効果的に見せているところにこの映画の底力を感じた。
ループする時の中で
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