「2分のタイムループでできることをとことん追求。」リバー、流れないでよ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
2分のタイムループでできることをとことん追求。
2分というタイムループでこれだけのことができるのかと、発想と工夫が面白くて、最後まで繰り返しがダレずに楽しめる。それだけでも作り手の自信とスキルに感心するし、舞台となる料亭の高低差、段差を利用し手動きまくる長回しの撮影が生きていて、キャストとスタッフが一丸となっているパワーみたいなものも感じる。
いやあ、これは面白いですよ!と手を叩きたい作品、なのだけれど、ギミック的なウェルメイドを目指しているがゆえに、面白さが予想外のところまで跳ね回らず、予定調和という天井でひっかかっているようなもどかしさはある。
あともうひとつ、これはもう呪いのようなもので、この映画が、というか、脚本の上田誠が選択した「舞台は京都だけど方言は使いません」という選択肢が、わりと地元が近い者としてどうしてもノイズになってしまう。
むしろ方言のえぐみがこの物語や作品にとってノイズになるだろう、と判断するのもわかる。上田誠が関わった『夜は短し歩けよ乙女』も「四畳半神話大系」も似た趣向で方言話者がほぼいないが、あれは原作者の森見登美彦が選んだ表現でもあった。
そうなんだけど、目の前に映っているのは京都の(というか貴船限定だけど)の風景で、そこには京都の文化も根付いていて、なおかつ方言のグルーヴ感も知っているので、もったいないと思ってしまうのだ。これはこの作品だけの問題ではないのでこれくらいで一旦棚に上げるが、ご当地映画と方言については、どっちが正しいかではなく、一つ一つ検証していく価値のあるテーマだと思った。
方言のご指摘には全く同感です。
非常に練られたプロットだし、馴染みのある貴船の風景だし、感情移入したいのだけれど、関西出身の役者さんが大半なのに、全国区を目指すからか、全員が標準語というのは確かに関西人からすると違和感があったのは残念です。
確かに京都市内に住んでて貴船にもたまに観光で行く程度の身としては見た目貴船なんやけど誰も京都っぽい言葉を発してないので逆に違和感に感じたとこはありましたね。
あんな狭い舞台をフルに使い切ってるのはホンマ見事なんすけどねー。