劇場公開日 2022年7月9日

「生きることがただただ下手くそな女性が受け身に過ごす無味乾燥な現実...  無気力・無関心・無感動な根岸季衣さんと無謀・無計画・無思慮な大竹まことさんとの行きずりの旅路をご照覧あれ!!」WANDA ワンダ O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生きることがただただ下手くそな女性が受け身に過ごす無味乾燥な現実...  無気力・無関心・無感動な根岸季衣さんと無謀・無計画・無思慮な大竹まことさんとの行きずりの旅路をご照覧あれ!!

2022年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 出演した映画はさほど多くないもののブロードウェイの舞台でも活躍し、エリア=カザン監督の奥方としても知られる女優さんのバーバラ=ローデンが監督・脚本・主演した野心作です。
 本作の主人公であるワンダは、一応は美人ではあるものの常に眉間に皺が寄っていて自然と不幸を招き寄せ、若くは無いものの(当時演じるバーバラは30代後半)言動に幼さが目立ち、何事に於いても意志薄弱で意欲の無さゆえに他人に邪険にされたり体良く利用されてしまいます。幸せになろうという意欲が空回りする破滅型の女性とは丁度コントラストを為すような、不幸を回避するだけのバイタリティーの無い女性です。
 ラストで見せていた彼女の涙が芽生えた彼女の自意識であり、能動的な生きる意志だと信じたいところですが、それすらもそうとでも考えないとやり切れない傍観者ゆえのお仕着せに過ぎないかもしれず、当初の観客のモヤモヤをモヤモヤのままに、物語的な主人公の成長を描かないままに、純文学的な味わいを残してエンドロールが淡々と流れていきます。

 ヒロインの作中常に不安と焦燥が入り混じったような表情とエラの張った特徴的なフェイスラインが個人的に根岸季衣さんに見えてしょうがなかったわけで。
 そして行きずりの相手の銀行強盗がオールバックに口ひげにサングラス、ぶっきらぼうな口調からして個人的に大竹まことさんに見えてしょうがなかったわけで...。

O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)