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日本列島に人類はどのように渡ってきたのか…3万年前の祖先の航海を徹底再現したドキュメント「スギメ」与那国島で上映
2022年4月3日
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映画レビュー
「知る」より「考えるきっかけ」になる作品。
国立科学博物館が企画した、3万年以上前に祖先たちがどのように日本列島へ渡ってきたのかを再現する「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」を映像化したドキュメンタリー作品。
定期的に科博へ足を運ぶ私ですが、この作品は知らなかった…。つい先日初めてポスターを発見しましたが、あまり日本館を見ない(狭くて息苦しくなってしまうので😓)私にとっては、新たな発見がありそうだと思い早速鑑賞。
思ってたのと少し違ったかなぁ。日本民族のルーツを知ることができる作品かと思っていたのですが、台湾から与那国島までの過酷な航海を収めたドキュメンタリーであって、民族の文化や人種の特徴などについてはあまり説明はありませんでした。良くも悪くもテレビ的編集と演出。スタッフさん、研究に携わった方々は本当に素晴らしい成果を挙げたと思います。しかし、本作を観る側と観せる側との間に感覚の齟齬が生まれてしまっている気がします。
まぁ、そもそも3万年も前の文化を解説するには資料が足りなかったのかも知れません。それでも、石器の紹介や船の製作過程、実際に航海する様子には感銘を受けました。このプロジェクトはゴールが明確なので、物事がテンポよく進みますが、古代の祖先たちが何百年、何千年という時間をかけて航海技術を習得したと考えると胸が熱くなります。
本作は知的欲求を満足させる作品というよりは、古代文明を考えるきっかけになる作品という位置づけの方が正しいかも。そういう意味では子供たちには是非見て欲しい作品ですね。
国立科学博物館の日本館へ、二ヶ月に一回は墓参り行く
国立科学博物館の日本館へ、二ヶ月に一回は墓参り行くので、この草舟の展示も見た。
日本人のルーツを探る熱意を持つ事は良い事かも知れない。また、それを科学的に検証する事も良いとは思う。しかし、『なぜ台湾を離れなければならなかったか』を探る事の方が先の様な気がする。
勿論、当時は国境なんて無かったわけだから、今の台湾の人達と琉球の人達のアイデンティティの違いなどあるわけが無い。それでも、なぜ?その台湾を離れなければならなかったか?
さて、『コンチキ号の時代』からこう言った行動を冒険談と見るが、全く男目線である。例えば、こんな船で渡る場合『女性の排泄行為』をどう処理したのか?それが気になる。それでも、渡ったわけだから、羞恥心無く実行出来た行動の動機自体が問題になるのだ。つまり、曲解すれば女性は動物以下の存在であった可能性もあると言う事だなのだ。
さて、地球温暖化と言って、産業革命以降の温度の上昇や海面の上昇まで科学をしようとしている今の現状なのに、海流が今のままであったのだろうか?
100歩譲っても、今の海流であった訳が無い。それが答えだ。世界的なカヤック操縦者が根性でやっとこさ渡れる。しかも命がけだったと解説する。従って、なぜ命がけでそこを離れなければならなかったかに集約される。曲がりなりにも国家プロジェクト何でしょ。もっとやらなければならない事が、沖縄にはあると思うけどね。
追記
イルカとかクジラを飼いならして、船をひかせるとか。そんな事やったら、怒られるね。でも、三万年前ならめちゃくちゃクジラもイルカもいたわけでしょ。
僕が考えた新説だからね♥
追追記 台湾と日本の間は国交が実質ない。従って、台湾の人達が、日本で仕事をするためには就労ビザが必要である。
三万年前よりも今を大事にしよう。クラウドファンディングするのは良いが、他の事にお金を集めてもらいたいものだ。
本も読むべし
このプロジェクト、とても面白いと思っていて本も読んでいたのだけど、この映画でそれがますますリアルに感じられて面白さ倍増。逆もきっとありだと思うので、映画見た人は本も読むべし、って感じかな。
本の冒頭には、西表島からだと台湾は大陸のようにイヤでも見えるのだけれど、逆は必ずしも真ならずで台湾からだとものすごく限られた場所からしか西表島は見えない。
そんなところに何で、誰が、行こうと思ったのか。
好奇心だけで行ける場所ではないし、移住のつもりで行くのならば相応の準備が要るし、等々本ではその辺の疑問がたくさん提示されていたと思う。
そしてそれを証明するがために手を変え品を変え3度目のトライアルがあった…そのそれぞれの道具の使われ方など、やはり映画で見るとうわぁ!と思う。
私自身も南方系の外見なので、ご先祖様のご努力、謹んで拝見した心もちになりましたぞ。
知的な営みを脳筋が編集すると、こうなる。残念!
現生人類、つまりホモ・サピエンスはアフリカから世界中に広がり、南西諸島にも 3 万年前からいたことが分かっているそうです。しかし、大陸と島々の間には海があり、これは海水面の低かった氷河期でも変わらなかったそうです。ということは、祖先は海を渡ってたどり着いたことになります。では、原始の技術だけで人類は海を渡れるのか試してみようと、ある人類学者が言い出したのがこの映画の始まりです。僕らのルーツを知るという、知的にも学問的にも興味深い試みに、観ている僕らの期待も高まります。
しかし、残念なことに、この映画の重点は、この研究の冒険的な側面ばかりに焦点が当てられています。自然の材料だけで作った舟に乗って黒潮を横切るのは本当に大変そうです。だから、ここに目が行くのは当たり前です。ただ、そればかりではつまらない。元々知的好奇心から始まった話なのに、舟を作る技術面は薄味、考古学や文化など学術面はほとんど触れられていません。知的好奇心の強い人は、そんな蘊蓄が大好物だと思うんですが、僕だけかなあ。
ということで、「これだけの材料と人がいながら、出て来たのがこれですか。」という感想は否めません。作品を編集した人に科学への思いとかリテラシーを持つ人がいなかったんでしょうね。残念です。