「世界観を掴むのに時間がかかるけど、萌っぽさとかライノベ感があって親近感が湧きますな」赤い糸 輪廻のひみつ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
世界観を掴むのに時間がかかるけど、萌っぽさとかライノベ感があって親近感が湧きますな
2024.2.26 字幕 アップリンク京都
2021年の台湾映画(128分、G)
台湾の縁結びの伝説「月老」を描いたファンタジー映画
監督&脚本はギデンス・コー
原題は『月老(月下老人)』で伝説の名前、英題は『Till We Meet Again』で「また会う日まで」という意味
物語の舞台は台湾のとある街
友人達とバスケをしていたシャオルン(クー・チュンドン)は、突然の大雨によって木の下に避難したものの、運悪く雷に打たれて、この世を去ってしまう
冥界への入り口に連れてこられたシャオルンだったが、雷の影響で記憶が欠如していて、前世の記憶も呼び覚ますことができなかった
シャオルンの隣のブースには、彼氏アタン(ハー・ハオチェン)に殺されたピンキー(ワン・ジン)がいて、彼女も不本意な冥界送りになっていた
彼らは「下等動物に転生するか、徳を積んで人間に転生するか」という二択に迫られていて、数珠の白珠の数によって転生先が決まっていた
シャオルンもピンキーもカタツムリなどに転生する可能性が高く、月老となって徳を積んで、来世も人間になりたいと考えていた
月老は二人ペアになって、現世の人々を赤い糸で結ぶ役割を担っていて、残り物となったシャオルンとピンキーはペアを組まざるを得なくなるのである
一方その頃、500年前の盗賊時代の因果に憤りを覚えている鬼頭威(マー・ジーシァン)は、冥界を抜け出して、自分を殺した人々を探す旅に出ていた
閻魔(ラカ・マウア)の部下・牛頭(ホンジャラス&ルー・シンジェン)は鬼頭威を追う使命を帯び、現世と向かって行った
映画は、かなりファンタジー色が強い作品で、世界観を理解するのに時間を要する感じになっている
言葉多く説明されるのだが、ピンとこないところもあって、特に盗賊関連が暗躍する理由とか、行き来できる理由などもよくわからなかった
詰まるところ、鬼頭威を殺した妹(ユージェニー・リウ)が転生した先がシャオミー(ビビアン・ソン)で、彼女はシャオルンの小学校時代からの想い人だった
その因果の中でシャオミーを助けるために、シャオルンとピンキーが手を合わせるという流れになっている
記憶喪失だったシャオルンを元に戻したのはシャオミーで、実は彼女にはシャオルン達が見えていた、ということが後半になってわかる
そして、二人の恋愛を前にしてピンキーの心が揺らいでいく、という構図になっている
月老が何をする存在か分かりやすく、冥界は境界線で「ある条件が発動すると魂ごと消えてなくなる」という感じになっていて、この世界では「全ての命がいずれかの命になって転生を繰り返している」という法則がある
シャオルンの前世が「セミ」で、それを助けたのが前世の鬼頭威となっていて、わずかな善行が彼の根幹を揺るがすことにつながっていた
とは言え、このあたりのやりとりが瞬時にわかる感じではないのが難点で、パンフレットなどで「前世来世年表」みたいなものを作って欲しかった、というのが本音である
結局のところ、シャオミーとは別の人生を歩むことになったシャオルンだが、ピンキーとともに人間に転生できたのは十分な徳を積むことができたからだと思う
エンドロールには「黒珠の数」で何に転生するかが解説されていて、全てが白珠になれば「人間」になれるようだった
それだけの得を積んだからなのか、鬼頭威を倒したことでボーナスを得たのかはわからないが、とりあえずは大団円という感じになっていたように思える
いずれにせよ、日本だと確実に萌えアニメになるんだろうなあという内容で、原作が長いタイトルのライトノベルっぽさというものが見え隠れしていたように思う
七夕伝説が絡んでいたり、寂しくなった織姫の念が赤い糸になっているなんてロマンスも面白かった
主要キャラの相関関係はパンフレットに書かれているので参考になるので、記念品として購入するのはアリだろう
想い人は想われ弱いところがあるので、来世に行った二人がどのように結実していくのかは気になってしまう
これまでのシャオルンの立ち位置にピンキーが来ているので、意外とうまくいくのかなと感じた