内なる檻のレビュー・感想・評価
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「口笛吹けば玉ねぎ切っても涙出ない」(ファンタッチーニ)💧
最後まで緊張感が続き息が詰まるようだった。それだけ刑務官ガエターノ役・セルヴィッロと受刑者ラジョイア役・オルランドの間の会話と表情が観客の心と眼を縛っていた。音楽とサウンド・デザインも良かった。パイプ・オルガンの箇所では涙がでた。手を打つ箇所や最後の歌はサルデーニャの音楽のように思った。歌詞も。女声ソロ、美しかった。
暗闇の中、少しの明かりのもとでの一緒の夕食。机をくっつけ、ラジョイアによる美味しい料理を楽しみながら一番若いファンタッチーニを励ます乾杯、それぞれが懐かしいような、みんなを笑わせる話をする。灯りがついた途端に暗闇の中の夢のような晩餐は終わり監獄空間が戻る。でも心の中は少し暖かくなった。
ラジョイアとガエターノが二人だけでいるシーンの緊張は最初から最後までずっと続いた。すごいものだと思った。
刑務所の食事にもパスタ、プリモ、サラダが必要なんて!荒れてしまった畑から食べられる豆や野菜を男二人が収穫するなんて!ケータリングの食事はまずくて食べられないとハンストするなんて!受刑者が赤ワインを隠し持ってるなんて!キッチンの包丁専用のキャビネット内部があんなに凄いなんて!と驚きつつ笑える箇所が沢山あった。笑う一方で緊張が途絶えない映画。そして影と光が絵画のように美しかった。人間の暖かさ、聖性、弱い部分、仕事と割り切る冷たさと強さ、若い人を大事にしたい思い、今までどんな人生を・・・いろんなことが示されていた。観客が味わう緊張感の凄まじさの点でなかなかない類の映画だと思う。この映画に出会えて幸せ。良かった、本当に。
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