「社会に空いた穴。喪失の介護。救い。してほしかったこと。」ロストケア Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
社会に空いた穴。喪失の介護。救い。してほしかったこと。
「罪悪感を捨てて人を殺すべきときがある」
「どうぞ僕を殺してください、僕を、救ってください」
一つひとつのセリフが強烈だ。
監督は前田哲、脚本は前田哲と龍居由佳里。
松山ケンイチと長澤まさみのダブル主演。
ほかに、
柄本明、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、やす、梶原善、藤田弓子など。
この映画、松山ケンイチと長澤まさみの演技が、ビッタビタにはまっている。
柄本明の演技も素晴らしい。
彼らのために書いたような脚本だ。
松山ケンイチの持つ明暗のコントラストは、
模範的な介護士(斯波宗典)を見事に体現している。
「あんなに良い介護士さん、いません!」と言われるほどの斯波。しかし、彼はとうの昔に心をなくしていた。
導入部を見たとき(3人の介護士が食事しながら会話するシーンなどは特に)、
介護に携わる人が見たら、どんな気持ちになるだろう?
と心配になったが、
後半以降、そんな心配を嘲笑うかのような迫真の演技に圧倒される。
検事(大友秀美)役の長澤まさみは、淡々と事情聴取をしながらも、斯波の挑発的な言動に徐々に感情が揺さぶられていくさまを毅然と表現した。
見ていくうちに、松山ケンイチ演じる斯波の言うことが正しく思えてしまう。
全国民が身につまされたに違いない。
私も映画を見ながら、いまは亡き人を思い出した。
斯波を心から慕っていた、加藤菜津演じる新入り介護士が、その後風俗嬢になっていた。
これは完全に不要だった。
ゆえに、☆4.5
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