「モンスターか救世主か…他人事ではない」ロストケア しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
モンスターか救世主か…他人事ではない
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Leminoで鑑賞。
原作(ロスト・ケア)は未読です。
斯波と大友の対峙の迫力は松山ケンイチと長澤まさみの演技力と巧みな画作りの賜物で、圧倒されっぱなしでした。
認知症になった父方の祖父を家族で介護した経験を持つ身として、他人事ではない物語に震えが止まらなかったです。
認知症の父親を叩く斯波のシーン。私の父が粗相した祖父の頬をはたいた光景を思い出してしまい、辛くなりました。
週3のデイサービスを利用していたものの、子供のような行動や深夜の徘徊に疲弊していく家族の姿は忘れられません。
あの時の我々にとったら斯波の行いは救いになるかもと思える。だがその方法は許されるものでないことも理解出来る。
幸い祖父を受け入れてくれる老人ホームが見つかり、家族は救われたと思います。ただこれは、単に幸運だっただけ。
目を背けていたと云うか、意識しないでいた将来両親が「高齢者」となることに目を向けるべきと思い知らされました。
今この瞬間にも過酷な状況に身を置く人々がいて、国の制度の限界など、様々な問題が現実に斯波を生み出しかねない。
この国が抱える課題を浮き彫りにし、突きつける傑作。一筋縄ではいかない鋭い問い掛けに、深く考えさせられました。
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