「バトンミス」東京2020オリンピック SIDE:B 時村さんの映画レビュー(感想・評価)
バトンミス
クリックして本文を読む
時系列がグチャグチャなのと説明不足が多すぎるのが気になるが、次から次へと巻き起こるトラブルをできるだけ詰め込んだ内容は当時のカオス振りをよく表していて記録映画としては成立していると感じた。
特に野村萬斎ら演出チーム8人の降板劇と、女子マラソンの1時間前倒しの舞台裏はよく撮っていたと思う。
森喜朗の会長退任後に女性理事を増やしたこと等に対してシニカルな目線を向けているのも良かった。
一方で南スーダンの選手や被災を経験したバド混合ダブルスの話は「SIDE:A」に入れるべきだったように思えてならない。
無観客の国立で行われた競技としてわざわざリレーの失敗を挿入してきた意図も全く理解できない。
「うれしい。はじめてだもん」
聖火リレーを見に来ていた少年の言葉だ。不祥事やトラブルのオンパレードを見せつけられた後だけに印象に残った。
たしかに色々あった。ありすぎた。コロナ禍でオリンピックだけ特別扱いするなという気持ちも分かる。
ただ、だからといって大会に纏わる何もかもを嫌わなくてもいいんじゃないか。
「あの夏、たしかに日本でオリンピックやったんだな」という実感を得られただけでもこの映画を観る価値はあったと思う。
しかしもう一度言うが数少ない競技のシーンがバトンミスって理解できないよ。
もっと格好良かったり美しいシーンもたくさんあったはず。
コメントする