「濃密」仕掛人・藤枝梅安2 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
濃密
フラッと観た前作がどハマりして、第2部もめちゃくちゃ楽しみにしてました。そして予想を超える面白さを見せてくれました。
前作から話は繋がっていますが、この2部から観ても問題無いように序盤で軽く説明をしてくれます。時代劇の優しさがここで出ています。彦次郎が昔の仇を討つために梅安と共に行動するが、その影で他の仕掛人が動き出す…というのがざっくりしたあらすじです。
前作に引き続き、このバディの行動がどれもスタイリッシュかつコミカルなので、バディムービーとしても楽しめます。殺すときの所作が抜群に綺麗なのも最高で、彦次郎がサクッと吹き矢で毒を回したと思ったら、梅安が針で首を刺して静かに殺すのが巧みすぎてたまらなかったです。
椎名桔平さんが真逆の性格の双子を好演しているのも最高で、兄の峯山は社交性もあり、生真面目な武士ですが、弟の井坂は殺しも盗みもやりまくる極悪人で、目つきの鋭さがグンと変わるのが凄かったです。
井坂とその仲間を最後に始末するシーンは絵面のインパクトが中々あって、梅安&彦次郎のこれまでの集大成のような殺し方で、こき使われていた頃の経験と、愛していた人の最後とを重ね合わせるように首を締め上げるというスタイリッシュとは真逆の残虐さ、でも不思議とこれがひどいとは思わず、あぁ一つ報われたなと感じてしまったのがとても不思議な体験でした。
同じ仕掛人が過去の復讐として梅安宅へ訪れますが、そこも影に潜んで、吹き矢と針でしっかりと殺しにかかり、吹き矢は目を貫き、針は首に刺さり、最後の抵抗も互いの命を賭けている泥臭さが最後の最後に来るのがよかったです。少し寂しいところもありましたが。
前作でも印象深かった食事のシーン、最後の晩餐は卵かけご飯と焼きおにぎり。くぅ〜腹が鳴りました。暗いところでの飯なのにこれまた映える。
あと梅安はやっぱりエロいですね。おもんを抱きしめるシーンが全年齢対象映画とは思えないくらい獰猛果敢でこれまた驚かされました。豊川さんの触り方といい、声といい、梅安にしか宿せないエロスが最高でした。
改めて役者陣が最高にハマっているなと思いました。豊川さんのエロスと強さの共存、片岡さんの飄々とした感じ、佐藤浩一さんの強者感、椎名桔平さんの変幻自在っぷり、高畑敦子さんのお茶目っぷり、挙げ出したらキリがないくらい魅力的な登場人物たちの掛け合いを堪能できて幸せでした。
エンドロール後に長谷川平蔵が参戦するという、続編を匂わせてくれる終わり方をしてくれたのも憎い演出だなぁと思いました。まだまだ梅安に平穏は訪れない、そんな日々をまだまだ映画で観たいと思わせてくれる傑作でした。三作目の完成もお待ちしております。
鑑賞日 4/8
鑑賞時間 11:05〜13:15
座席 A-2