明日になれば アフガニスタン、女たちの決断のレビュー・感想・評価
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ドキュメンタルを見ているかのよう
見ていてあまりにつらい作品でした。3人の女性たちのオムニバス風に進むストーリーなのですが、現在進行形でこの映画のような女性たちがいるのがあまりに痛ましい。
あまりの悲惨さに息が詰まる
カブールで暮らす妊娠した3人の女性のそれぞれの生き方を描く。それにしても、アフガニスタンの男性権威主義と女性差別は酷いものである。
ハヴァが暮らすのは、妊娠中の妻の身体を心配するよりも世間体を優先する夫と、嫁を家政婦扱いする横柄な舅と痴呆症の姑のいる家だ。ルーティンワークの家事の他にやたらに命令する舅の言うことをこなし、痴呆症の舅の面倒を見て、身勝手な夫が急に連れてくる大勢の客の飲み物や食事の準備もしなければならない。自分で客を連れてくるくせに、買い物を頼むと渋る。
マリアムの別居中の夫は、愛情よりも欲望優先で浮気を繰り返す。マリアムが7年間の無為な結婚生活に疲れて離婚を決意すると、よりを戻そうと必死になる。人格の破綻した夫にマリアムはとことん疲れ果てる。
アイーシャの元彼氏は、アイーシャに飽きて自分から別れたのに、未練の電話を掛けてくる。
女性たちの相手の男たちに共通するのは、女性は男の所有物という感覚だと思う。邪険に扱ったことを顧みもせず、離れていこうとする女性を引き止める。妻になって妊娠したら、もはや何処にも行けない。だからハヴァが一番悲惨である。お腹の子供だけが唯一の希望であり、頼りはアッラーだけだ。
製作は2019年だから、2021年夏のタリバンのカブール侵攻より前の話である。女性差別主義で権威主義のタリバンの統治下の現在はもっと酷い状況であることは想像に難くない。経済的にも困窮していて、娘を金持ちに売り飛ばす人が後を絶たない。女性にとって、女の幸せよりも生き延びることが優先される状況である。このような映画が製作できたのも、タリバンの統治下より前だったからだろう。あまりの悲惨さに息が詰まる。
男尊女卑の国
アフガニスタンで暮らす悩める3人の女性の話。
わがまま男達に振り回され家政婦状態な妊婦、ちょっとヒステリックなサレ妻、言い出せないままな結納前の女性、とあらすじ紹介に記された通りの出来事をオムニバス形式で順にみせられて…えっ!?終わりですか?
どの話も悪くはないのだけれど尻切れトンボも良いところ。
「明日になれば」って、明日になっても何も変わるとは思えない、起承転結の「起」あっても「承」で終わってしまった感じ。
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