「80年代マインドをもった不謹慎ホラー。」X エックス 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
80年代マインドをもった不謹慎ホラー。
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タイ・ウエスト監督が海外のインタビュー記事で語っていた「80年代はホラー映画はポルノと紙一重の扱いで、好きだというのも憚られたものだが、今ではホラーはブロックバスター映画になった」というコメントが強く印象に残っている。設定的には70年代の『悪魔のいけにえ』オマージュと思われがちだが、むしろ本作の本質はレンタルビデオ全盛だった80年代オマージュにあるのではないか。ポルノ映画を撮る若者たちとセックスレスの老人夫婦を対比させ、セックスとワニとあっちこっちに放り込んだスプラッターホラー。不謹慎だし、バカげているし、人に勧めるのも憚られるようなタイプの作品をA24で撮るというこの倒錯感。そしてそういうヤバさを狙った作為をも超越してしまうミア・ゴスの存在感。前日譚となる『Pearl』の予告編は、今度はガッツリ70年代的なグラインドハウス風味になっていたので、併せて観ることで70年代80年代のホラーを総括することになるのではないかと期待しています。
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