ボイリング・ポイント 沸騰のレビュー・感想・評価
全92件中、21~40件目を表示
起こるべくして起きている珍事の繰り返しな店の一日
私自身が飲食業に従事しているからこそ、ヒヤヒヤしながらもだらしなさに早送りしたくなるような映画だった。珍事が繰り返し起こるが、管理者もスタッフもだらしなさの中で毎日を過ごしている。きっとこの一日だけでなく毎日がこうなんだと思う。
高級レストラン?であればこその何かを何も感じることができなかった。
スタッフ通しのやりとりの罵声が客席にも届いているだろうし、下品なやりとりやスタッフ各人のだらしなさが高級店に足を運ぶような客層であれば違和感しか感じないのではと思う。
で!!これだけ醜い時間の最後にオチすらないのだ。
脚本家はこの映画の中で何を伝えたかったのか。
PRにしてもあまりにも実際の映画とかけ離れている売り文句にうんざりした。
映画鑑賞の入り口にお勧めしたい
人生は予測不可能
レストランを舞台にした映画だと当然グルメ情報が話題の中心になり、おいしい料理が次から次へと登場するかと思いきや、この映画は一風変わっていて、レストランに関係する人物たちの人間関係がテーマで、中でもプライベートも仕事もストレスにまみれたオーナーシェフの波乱に満ちたスリリングなクリスマスの一夜を描いた作品となっている。
妻子とは別居状態、衛生管理調査では店の評価を下げられ、オーナーシェフのアンディは人生の崖っぷちにいた。さらに、信頼できる相棒の副料理長は給料に不満で他店に移ることを考えていたり、若い黒人女性従業員が白人客から人種差別的な言動を受けたりという様々なトラブルが持ち上がっているが、予約過多の店は満席となり、厨房には怒涛の勢いでオーダーが舞い込んできた。
そんな中、ライバルシェフがグルメ評論家を連れて来店し、アンディに脅迫まがいの取引を持ちかけてきた。そして、さらに追い打ちをかける緊急事態が勃発する。
ついに、アンディは我慢の限界であるボイリングポイント(沸騰点)を迎える。
昨年観た映画の中でこの映画は特に印象深いのだが、それは、全編90分間ワンカットで撮影されているため、他の映画にはない臨場感、緊迫感があったからだと思う。90分間というと、ちょうどレストランで食事をして滞在する時間と同じくらいになるが、この1回の短い食事時間の間にこれだけのハプニングが起こるとすると、本当に人生とは予測不可能なものだといわざるえない。
長回しによる緊張感
緊迫の瞬間
期待通り最後まで目が離せない従業員たちの物語
POV視点のような臨場感でかつ長回し風で舞台が薄暗いこともあり、どことなくRECシリーズを伺わせるようなホラーな雰囲気も感じていたのは僕だけだろうか?(笑)
はてさて本作、バイト時代を思い出させるような緊張感で落ち着いて観れなかった人も多いのではないだろうか?
まさに期待通り画面に釘付けになったままその行く末を見守らさせるような感じで、忙しいレストランの緊迫した空気感が存分に演出出来ていたと思う。
それは映画”セッション”のような没入感と緊張感で、ポスターからも期待していた緊迫感満載のとあるレストランの一夜、というドキュメント風映画に完璧に仕上がっていた。
特に働いていた経験の有る方なら共感出来るようなポイントも多く、作中でも一部クローズアップされていたように下っ端は楽な立場なのだ。特にあのような高級料理店ともなると結局はベテランのシェフ達が頑張らないと回らなくて、バイトのような下っ端に出来る事は限られてくる。
例えば黒人のお兄さんがあのクソ忙しい中サボっていて批判的に描かれていたが、彼に出来る仕事は限られているのだ。なので、現場に加勢する事は出来ないしあの程度の仕事しか任されていないので、結果的にその仕事に時間を掛けるような働き方をしてしまう。
これは決して誰が悪いとかでもなく、雇われている従業員の数と役割分担の結果なのだ。特に日本の場合その辺厳しいので、善意での余計な加勢はしないほうが良いと未成年に忠告しておこう。
店長が現場でクソ忙しそうなのもリアルで、”その店長の指示”だからこそ曖昧な指示でも部下は疑問を呈さず、結果的に混乱が発生するというのもリアルだ。現場レベルでは上司の、特にその場のトップに立つ者の指示や判断は絶対で、それに唯一抗えるのがカーリーのような古くからの相方ポジションの人間。
それはつまり、結局はこの二人のさじ加減で現場は回っているという事であり、それ以外の人間が舵を取ることは出来ないのだ。
これは恐らく飲食に限ったことではなく、様々な現場で起きている問題だと思う。一見して沢山の従業員が居るように見えても、その役割や権限はそれぞれ違っていて、結局はその中の一人二人の数える程度の人間だけが根幹の部分を支えている。そして、それが彼らをやがて蝕む。
本作中ではあまりクローズアップされなかったが、キッチンの向こう側に有るバーカウンターの従業員達はそこまで忙しそうでもなくむしろ楽しそうに勤務していたのが分かる。人生を生き抜く上では、ああいったポジションが最適なのかもしれない・・・・。
傑作
ワンショットの醍醐味
ロンドンの高級レストランを舞台に繰り広げられる全編90分ワンショットという奇跡のような一作。
縦横無尽に動き回るカメラワークも素晴らしい。本当にレストランにいるような臨場感があり次々に巻き起こる予測不能な展開も面白い。
ワンショット映画の醍醐味を存分に味わえる作品。
2022-170
【”アンダー・プレッシャーの果て・・。”レストランシェフ、スタッフの過酷な労働環境、人種差別、ワークライフバランスを一夜のドラマに盛り込んだ緊張感溢れる作品。組織管理の大切さを暗喩した作品でもある。】
ー 舞台は、英国ロンドンの高級レストラン。オーナーシェフのアンディ(スティーブン・グレアム)は妻子と別居中らしく、ストレスをため込んでいる。
そして、クリスマス直前の夜、彼の店は抜き打ちの衛生管理検査(HACCP)でランクを5から3に下げられる。アンディが忙しさの為、管理表をしっかり記載していなかった事と、スタッフが手洗い場所を間違えていた事などから・・。
アンディのストレス、プレッシャーはこれだけではなかった・・。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・冒頭から、アンディは頻繁に何かの飲料をペットボトルから口にする。何だろうと思っていたら・・。
ー ラストとの連動性が見事である。-
・そして、アンディは食材の発注も忘れている事に気付く・・。
・父から店のホールを任されたベスは、予約過多にも拘らず、予約なしの客を受け入れたり、アレルギー持ちの客の情報を、紙で渡したり・・。
ー ホールの責任者であるベスと、厨房スタッフとの連携の悪さ・・。そして、到頭、スー・シェフのカーリーが切れ、”アンタなんか大っ嫌い!厨房スタッフ皆がアンタが嫌いなんだよ!”と、言い放つ。
ベスはWCに入り、父に泣きながら電話をする・・。店の組織管理が滅茶苦茶である。-
・更に、アンディと関係があるライバルシェフ、アリステア・スカイがノン・アポでグルメ評論家と来店し、アンディの苛苛はさらに募って行く。
・遅刻常習者の黒人男のやる気ない態度や、リストカットしている若者・・。
ー 店の人員管理も無茶苦茶である・・。-
・尊大な態度で、黒人スタッフに差別的な発言をしたり、ラム肉の焼き加減でクレームを付ける客。
ー 高級レストラン”あるある”であるが、あれはなあ・・。-
・そして、到頭アレルギー持ちの客が倒れ・・。
ー ホールと厨房との連携の悪さが、最悪の形で出てしまったシーンである。-
・ストレスが限界に達したアンディは、到頭クスリを使い、更にはペットボトルの中身が”酒”であると分かるシーン・・。
ー その前のシーンで焼き担当のシェフからいつも”酒臭い”と言われていたが・・。-
<良いレストランや、小料理屋はどんなに忙しくとも、その忙しさを客には悟られないようにするものである。
そして、そのためには各担当が、キッチリと仕事をする事が大前提なのである。
今作は、予約過多による、レストランシェフ、スタッフの過酷な労働環境、人種差別、ワークライフバランスを一夜のドラマに盛り込んだ緊張感あふれる作品なのである。
こんな店には、行きたくないなあ・・。>
<2022年9月11日 刈谷日劇にて鑑賞>
■好きなシェフ映画、幾つか・・。
・「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」(三ツ星)
・「二つ星の料理人」(二ツ星)
・「幸せのレシピ」(三ツ星)
・「デリシュ」(二ツ星)
本作を観て胃が痛くならない人がいるのか…、と思ってしまう一作
約90分の「ワンカット撮影」で描く高級レストランの戦場のような表/裏舞台を描いた本作。
「ワンカット撮影」と言えば『1917 命をかけた伝令』(2020)もそれを売り文句にしていましたが、『1917』は巧みに映像に区切りを入れた、実際には疑似ワンカット撮影だった一方で、本作は公式な表明では実際に全編ワンカットで撮影しているそうです。
それだけに画面から伝わる緊迫感は、観ているこちら側も胃が痛くなるほどで、しかも展開するドラマはどれも切羽詰まったものばかり。職種を問わず仕事やアルバイトの経験がある人なら誰でも、胃が痛くなること請け合いです。
しかも主人公のレストラン経営者アンディ(スティーブン・グレアム)は、レストラン経営の重圧に耐えきれず、アルコールや薬物に溺れ、家庭は崩壊し従業員には当たり散らす、自分の仕事もまともにできない…、と同情すべき要素が見当たらないような人物です。なんでこんないけ好かない男の目線で緊迫感しかない状況を体験せねばならないのか…、とここでも理不尽感でさらに身をよじりたくなる人も多いでしょう。
高級料理の調理過程を観ることができたり、いくつか興味深い要素はあるものの、基本的にはレストランの華やかさとは対照的に、気の滅入るような描写が連続します。そのため、心配事を抱えている状況だと全く落ち着かなくなることが確実なので、心身ともに良好な時期に鑑賞することをお勧めします。
作中生じる様々な問題は、物語を盛り上げるための仕掛けかと思っていたら、米国ではレストラン経営のあまりの過酷さに、アンディのように酒や薬物に走る人が急増しており、社会問題化しているとか。いやはや…。
濃密
高級レストランは大忙し‼
ロンドンの人気高級料理店にて、プライベートでも問題を抱えたシェフ兼オーナーのアンディを中心に、スタッフ達のドタバタな1日を描いた、何と90分ワンカットのドラマ作品。
ですが、謳い文句の「90分ワンカット」ってのを忘れてしまう程のドタバタ劇。
妻子と別れ、初っ端から疲労困憊の様子のアンディを始め、他のスタッフ達もそれぞれで訳ありな模様。そんな中で、大忙し確定のクリスマス前金曜日だというのに、衛生局やら評論家やら人気インスタグラマー(⁉)等々、やっかいなお尋ね者も多数・・・。
仕事で嫌な思いをする者・・・
仕事の同僚に嫌な思いをさせられる者・・・
仕事だけでなくプライベートでも悩む者・・・
様々なタイプのスタッフが見られる。
仕事内容は違えど、どれもこれもワタクシ達のリアルな生活の身近にある問題ばかりですよねぇ。。
格式は全然違いますが、ワタクシも高校生の頃某ファミレスで厨房やってた頃を思い出しました。
ファミレスなんてレンチンばかりでしょ?・・・なんて思われがちですが、ピーク時はホントに地獄なんですよ・・・(涙)
さておき、高級レストランと言えど色々な問題を抱えているんだなぁ・・・。
こんなところでも、客層が良いとは限らないんですね。
ってか皆さんお客様目の前なのに怒鳴り合いケンカしすぎではw?
そして終わり方は・・・こういう感じかぁ。。
投げっぱなしの人物背景も結構あった気がするけど、誰もが抱え得る、というか実際に抱えているであろう悩みをワンカットで詰め込んだ、とても考えさせられる良作だった。
カメラを止めるな・・・37分ワンカット
ウトヤ島7月22日・・・72分ワンカット
ボイリングポイント・・・90分ワンカット
私の知る限りここ数年のワンカット作品こんな感じですが、伸びてますねぇ~
果たして、次は何分のがくるのか!?
本作の皆さま、お疲れ様でした‼良い作品をありがとうございます♪
臨場感!!
誰もが言うように、ドキュメンタリーのような臨場感
ワンカットの迫力には息をのみます
展開がバタバタと動く場面では、カメラであることを忘れ、まるで自分がその場に潜り込んでその眼で見てるような気分にさえなりました
それにしても、
一晩で色々ありすぎw
家庭の問題、シェフという立場、下からも上からも突き上げられ、朝からストレス溜まりまくりのなか、これでもか!と次から次へとトラブルが汗
実際の飲食店ではあり得ないくらい、キッチンは大声でバトルし、ホールともやり合う
デートの誘いもあり、お客とも絡む
まーーー、みんなよく喋るわw
もう少し料理にも焦点を当てて欲しかった
チラッと映る料理は割とシンプルで、そこの魅力はなかったのが残念
飲食に限らず、どの世界でも、日常に見えるような光景の中に、一人一人さまざまなドラマがあるんだなーと思わせられる映画でした
全92件中、21~40件目を表示












