ボイリング・ポイント 沸騰のレビュー・感想・評価
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ワンショットの醍醐味
ロンドンの高級レストランを舞台に繰り広げられる全編90分ワンショットという奇跡のような一作。
縦横無尽に動き回るカメラワークも素晴らしい。本当にレストランにいるような臨場感があり次々に巻き起こる予測不能な展開も面白い。
ワンショット映画の醍醐味を存分に味わえる作品。
2022-170
【”アンダー・プレッシャーの果て・・。”レストランシェフ、スタッフの過酷な労働環境、人種差別、ワークライフバランスを一夜のドラマに盛り込んだ緊張感溢れる作品。組織管理の大切さを暗喩した作品でもある。】
ー 舞台は、英国ロンドンの高級レストラン。オーナーシェフのアンディ(スティーブン・グレアム)は妻子と別居中らしく、ストレスをため込んでいる。
そして、クリスマス直前の夜、彼の店は抜き打ちの衛生管理検査(HACCP)でランクを5から3に下げられる。アンディが忙しさの為、管理表をしっかり記載していなかった事と、スタッフが手洗い場所を間違えていた事などから・・。
アンディのストレス、プレッシャーはこれだけではなかった・・。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・冒頭から、アンディは頻繁に何かの飲料をペットボトルから口にする。何だろうと思っていたら・・。
ー ラストとの連動性が見事である。-
・そして、アンディは食材の発注も忘れている事に気付く・・。
・父から店のホールを任されたベスは、予約過多にも拘らず、予約なしの客を受け入れたり、アレルギー持ちの客の情報を、紙で渡したり・・。
ー ホールの責任者であるベスと、厨房スタッフとの連携の悪さ・・。そして、到頭、スー・シェフのカーリーが切れ、”アンタなんか大っ嫌い!厨房スタッフ皆がアンタが嫌いなんだよ!”と、言い放つ。
ベスはWCに入り、父に泣きながら電話をする・・。店の組織管理が滅茶苦茶である。-
・更に、アンディと関係があるライバルシェフ、アリステア・スカイがノン・アポでグルメ評論家と来店し、アンディの苛苛はさらに募って行く。
・遅刻常習者の黒人男のやる気ない態度や、リストカットしている若者・・。
ー 店の人員管理も無茶苦茶である・・。-
・尊大な態度で、黒人スタッフに差別的な発言をしたり、ラム肉の焼き加減でクレームを付ける客。
ー 高級レストラン”あるある”であるが、あれはなあ・・。-
・そして、到頭アレルギー持ちの客が倒れ・・。
ー ホールと厨房との連携の悪さが、最悪の形で出てしまったシーンである。-
・ストレスが限界に達したアンディは、到頭クスリを使い、更にはペットボトルの中身が”酒”であると分かるシーン・・。
ー その前のシーンで焼き担当のシェフからいつも”酒臭い”と言われていたが・・。-
<良いレストランや、小料理屋はどんなに忙しくとも、その忙しさを客には悟られないようにするものである。
そして、そのためには各担当が、キッチリと仕事をする事が大前提なのである。
今作は、予約過多による、レストランシェフ、スタッフの過酷な労働環境、人種差別、ワークライフバランスを一夜のドラマに盛り込んだ緊張感あふれる作品なのである。
こんな店には、行きたくないなあ・・。>
<2022年9月11日 刈谷日劇にて鑑賞>
■好きなシェフ映画、幾つか・・。
・「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」(三ツ星)
・「二つ星の料理人」(二ツ星)
・「幸せのレシピ」(三ツ星)
・「デリシュ」(二ツ星)
本作を観て胃が痛くならない人がいるのか…、と思ってしまう一作
約90分の「ワンカット撮影」で描く高級レストランの戦場のような表/裏舞台を描いた本作。
「ワンカット撮影」と言えば『1917 命をかけた伝令』(2020)もそれを売り文句にしていましたが、『1917』は巧みに映像に区切りを入れた、実際には疑似ワンカット撮影だった一方で、本作は公式な表明では実際に全編ワンカットで撮影しているそうです。
それだけに画面から伝わる緊迫感は、観ているこちら側も胃が痛くなるほどで、しかも展開するドラマはどれも切羽詰まったものばかり。職種を問わず仕事やアルバイトの経験がある人なら誰でも、胃が痛くなること請け合いです。
しかも主人公のレストラン経営者アンディ(スティーブン・グレアム)は、レストラン経営の重圧に耐えきれず、アルコールや薬物に溺れ、家庭は崩壊し従業員には当たり散らす、自分の仕事もまともにできない…、と同情すべき要素が見当たらないような人物です。なんでこんないけ好かない男の目線で緊迫感しかない状況を体験せねばならないのか…、とここでも理不尽感でさらに身をよじりたくなる人も多いでしょう。
高級料理の調理過程を観ることができたり、いくつか興味深い要素はあるものの、基本的にはレストランの華やかさとは対照的に、気の滅入るような描写が連続します。そのため、心配事を抱えている状況だと全く落ち着かなくなることが確実なので、心身ともに良好な時期に鑑賞することをお勧めします。
作中生じる様々な問題は、物語を盛り上げるための仕掛けかと思っていたら、米国ではレストラン経営のあまりの過酷さに、アンディのように酒や薬物に走る人が急増しており、社会問題化しているとか。いやはや…。
まさに沸騰寸前!
高級レストランの内幕を全編縦横無尽ワンショット。
ノー編集だって。
全く予測不能な出来事の連続。
まさに沸騰寸前だったな。
スティーブン・グレアムとジェイソン・フレミングの英国映画感たら最高よ。
濃密
125本目。
ワンショットって、観てて気付いたけど、もうあちこちに書いてあるんだね。
その見せ方が凄く面白かったし、何と言っても濃密。
格差だったり、見栄虚勢だったり、この尺で納めた事自体が凄いなと。
社会の縮図だなと思ったけど、忙しそうに見えて、オーナーシェフが一番何もしていない。
高級レストランは大忙し‼
ロンドンの人気高級料理店にて、プライベートでも問題を抱えたシェフ兼オーナーのアンディを中心に、スタッフ達のドタバタな1日を描いた、何と90分ワンカットのドラマ作品。
ですが、謳い文句の「90分ワンカット」ってのを忘れてしまう程のドタバタ劇。
妻子と別れ、初っ端から疲労困憊の様子のアンディを始め、他のスタッフ達もそれぞれで訳ありな模様。そんな中で、大忙し確定のクリスマス前金曜日だというのに、衛生局やら評論家やら人気インスタグラマー(⁉)等々、やっかいなお尋ね者も多数・・・。
仕事で嫌な思いをする者・・・
仕事の同僚に嫌な思いをさせられる者・・・
仕事だけでなくプライベートでも悩む者・・・
様々なタイプのスタッフが見られる。
仕事内容は違えど、どれもこれもワタクシ達のリアルな生活の身近にある問題ばかりですよねぇ。。
格式は全然違いますが、ワタクシも高校生の頃某ファミレスで厨房やってた頃を思い出しました。
ファミレスなんてレンチンばかりでしょ?・・・なんて思われがちですが、ピーク時はホントに地獄なんですよ・・・(涙)
さておき、高級レストランと言えど色々な問題を抱えているんだなぁ・・・。
こんなところでも、客層が良いとは限らないんですね。
ってか皆さんお客様目の前なのに怒鳴り合いケンカしすぎではw?
そして終わり方は・・・こういう感じかぁ。。
投げっぱなしの人物背景も結構あった気がするけど、誰もが抱え得る、というか実際に抱えているであろう悩みをワンカットで詰め込んだ、とても考えさせられる良作だった。
カメラを止めるな・・・37分ワンカット
ウトヤ島7月22日・・・72分ワンカット
ボイリングポイント・・・90分ワンカット
私の知る限りここ数年のワンカット作品こんな感じですが、伸びてますねぇ~
果たして、次は何分のがくるのか!?
本作の皆さま、お疲れ様でした‼良い作品をありがとうございます♪
臨場感!!
誰もが言うように、ドキュメンタリーのような臨場感
ワンカットの迫力には息をのみます
展開がバタバタと動く場面では、カメラであることを忘れ、まるで自分がその場に潜り込んでその眼で見てるような気分にさえなりました
それにしても、
一晩で色々ありすぎw
家庭の問題、シェフという立場、下からも上からも突き上げられ、朝からストレス溜まりまくりのなか、これでもか!と次から次へとトラブルが汗
実際の飲食店ではあり得ないくらい、キッチンは大声でバトルし、ホールともやり合う
デートの誘いもあり、お客とも絡む
まーーー、みんなよく喋るわw
もう少し料理にも焦点を当てて欲しかった
チラッと映る料理は割とシンプルで、そこの魅力はなかったのが残念
飲食に限らず、どの世界でも、日常に見えるような光景の中に、一人一人さまざまなドラマがあるんだなーと思わせられる映画でした
ハプニングは山ほど起きる!けど〜〜
最近「アフターシックスジャンクション」で取り上げられたので
再投稿しておきます。
宣伝の通り、全編、主要人物の顔の間近や
背中に張り付く様なカメラワーク。
出だしの、シェフの困った様な電話のやりとりに始まり
衛生局の調査結果や食材の仕込みが出来てない状況、
従業員のミスと遅刻、スーシェフの給料面での不満、
お客のわがまま、ライバルシェフの挑発、
オーナーの娘であるマネージャーの独断等々
次から次へと問題山積。
このレストランはこの後、どうなっちゃうの?
最後までハラハラが止まらない作品になってます。
90数分の尺なのでサクッと観られる作品です。
で、月に8本ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
最近はあまり入れ込んで観ているドラマが少ないので
引き合いに出す作品が古くて申し訳ないが
まるで「E・R」のレストラン版を観ている様に
次々に事件が起き、ハラハラさせられる展開は共通。
この映画と「E・R」との違いは、どんな出来事も
「E・R」ではご都合主義と言われればそれまでだけど、
観ていて気持ちの良い結末やら、カタルシスがあって
何となく毎回納得させられてドラマを楽しめたが
この映画は、どんどん状況が悪くなって行くだけで
とんでもない形で終わってしまう。
折角のスピーディーな展開が
回収されずに終わるのは何とも〜〜〜
撮影の技法や技術はよくできているし、役者陣は頑張ったと思う。
その上で料理の美味しそうな描写がほぼ無かった。
食べ物映画では無いから仕方ないかもしれないけど
このレストランには絶対に行きたくない!と感じた。
全集中!
こんな戦場のようなお店に毎日いたら、
みんなまいっちゃうよ…
お酒にもクスリにも頼りたくなっちゃうよ…
楽しくないよ…
って、
ワンカメだからなのか、
元シェフによる監督・脚本作品だからなのか
もう、ドキュメンタリーにしか見えなくて、
ただただ、手に汗握りしめながら集中していました。
しかし、ワンカメで撮るって、
スゴッ!コワッ!!
これにチャレンジする全ての関係者に賞賛を贈ります。
沸点の先にあるのは
「私は最悪」を見に行ったヒューマントラスト有楽町で上映していて、TBSのクルーが見た人にインタビューとかしてたから、ちょっと気になっていた。
およそ90分を1カットで撮影した映画。舞台は一流レストランの戦場のような厨房。面白そう、あるいは「元は取れそう」だと考えた。何か番組作りのヒントになりそうな気もするしね。
主人公は人間味あふれる表情が印象的な中年シェフ。多忙でヘロヘロなのに家族サービスを求める電話がかかり、開店前の厨房には意地の悪い保健所の役人がやってきて、衛生面の不備をネチネチと責め立てる。
これは「ダイハード」なのかなと期待した。誠実でタフな主人公に様々な不条理が降り注ぐけど、不屈の闘志やユニークなアイデアやチームの絆で乗り越えて、混乱の中でちょっとしたロマンスも生まれ、最後にはあっと驚くようなカタルシスが訪れる。そして、最後は静かにレストランの灯が消える、みたいな。
(以下、ネタバレあります)
しかし物語は期待を裏切っていく。いい意味で?悪い意味で?
うーん、前者よりの後者?。
混乱が混乱を呼ぶ。それはいい。厨房のスタッフはそれぞれ別々の事を考えて、それぞれにいがみあっていく。オーナーの娘はSNSを気にして厨房に無茶を言うし、ホールの中年スタッフはナンパの事しか考えていない。
洗い場の若者はさぼってばかり。相方の女性はヒステリーを爆発させる。
それを主人公がタフに解決していく、と思いきや問題の半分はそのシェフから起こっていることも徐々にわかってくる。え、そんな感じ?
多忙ゆえの発注ミス。短気ですぐに大声を上げるから雰囲気は悪くなる。料理の腕が確かなのは救いだけれど、どうやら傍らに持ってるボトルに入ってるのは強い酒だ。
中盤に入っても、トラブルは積み重ねられていく。芸能人となったかつてのライバルは、ネットで人気のグルメライターに悪評を書かせようとするし、オーナーの娘は唯一のまともなキャラである女性シェフに反論されてトイレで泣き崩れる。ライバルは主人公の弱みに付け込んで経営に入れさせろと脅し始めるし、その間に主人公のミスで客がアレルギー発作を起こす。
5分起きにおこる様々なトラブルと人間模様のいざこざが、すべてワンカットで描かれる。撮影にかけたであろう熱量は、そのままスクリーンに表れて、見る方に伝わってくる。何か盛り上がって来てる?
全編1カットの名作と言えば、三谷幸喜が竹内結子を主人公に作った「大空港2013」を思い出す。借り切った空港を縦横無尽に駆け回りながら、群像劇として一人一人のドラマを描き込んだエンタメ大作。
別にワンカットでなくても面白い脚本を、あえてワンカットで制作する事で、生の演劇のようなテンションが生まれていく。
「カメラを止めるな」もそうだけど「ワンカットもの」には、監督の強い思い込みと、「ワンカットでなければいけない」という脚本の必然が要求される。三谷作品であれば、その目的な竹内結子のコメディエンヌとしての才能に惚れ込んだ三谷が、彼女に最大限の負荷をかけながら才能を最大限に引き出すことが目的だったように思える。
それならば「ボイリング・ポイント」の監督にとって「ワンカットであること」の必然はどこにあったのかな。そう考えながら見ていった。
期待を良くも悪くも裏切っていく脚本。全く「いい人」ではない主人公。監督のことは何も知らないけれど、おそらく主人公のように、どこか心に鬱屈のようなものを抱えた人格ではないかと推測される。
期待されたハッピーエンドなんて糞くらえだ。万人が喜ぶ口当たりのいいものなんて作るものか。そんな声を勝手に聞いた。
これだけのスケールのワンカットを指揮して作り上げるのだから、色々な意味で相当にパワフルな人物なんだろう。そんな監督は、自分に似た主人公にどんなエンディングを用意するのか。
見て、損はない作品だと思う。
そしてもしあなたが脚本や物語作りの仕事をする人ならば、とても「いい教材」になるはずだ。自分なら、このフォーマットでどんな物語を作るか。
様々な人物像と、シチュエーションが用意されている。
伏線にできるけれど、決して回収されなかった伏線もいくつもある。それをあなたならどうするか。
一番の楽しい難問はこうだ。
「あなたなら主人公をどう設定し、どんなエンディングを用意するか」
映画を見終わった後も、自分なりの「ボイリングポイント」を想像して楽しんだ。
凄腕シェフの手元を避けるのはやはり不自然か‥
90分マジでワンカットなので長回しフェチの私としてはこれを観ないわけにはいかない。最初からその先入観がありカメラワークなど少し気になってしまう部分もあるのだが見事に最後まで回し続けた撮影のマシュー・ルイスにまず拍手。そして脚本が優れている。リアルな90分にこれだけのエピソードをワンカメショーの動線の中に盛り込みきちんとおとしまえをつけるのだからその手腕は恐るべし。サボってばかりいる皿洗いの男にシェフがなぜ寛大なのかなど最後の最後に一気に伏線を回収して見せる。ただ望むらくは、てんやわんやの厨房とわがままな客たちを裏腹で見せるのがやはり面白いのでライバルシェフとのシーケンスを少し削ってでも他の客のエピソードをもう少し入れて欲しかった。せっかくここまでの舞台を作っておきながら、ちょっと食い足りない感が残った。
90分ノンストップ!!へとへと!!
ドキュメントかと思わせる90分ワンショットで撮られた作品。繁忙期、クリスマスのレストランを舞台にたった90分の間にカスハラ、パワハラ、同性愛や人種差別、労働環境や従業員の人間関係まで一気に見せられヘトヘト!!こりゃすごいや…4テイクでOK出たそうで、それもすごい。
ラスト、どうなったんですかね…気になる。
そう考えると凄い密度
ただでさえ忙しいクリスマスのレストラン。
そもそも色々な問題を抱えているシェフに襲い掛かるトラブルの連続。
ワンショットなので約2時間の出来事。
ボタンの掛け違いによるローリングで転がり落ちる展開が面白い。
責任回避のために他人を責めたら跳ね返ってきたりするところとか、日常のさりげないイジメなどとてもリアルで、切り取った2時間でありそうでなさそうな飲食業の闇をよくかけてたんじゃないでしょうか。
ワンカットだから少し点数甘め
ワンカットで撮影された映画やドラマが好きだ。たとえそれがワンカット風のものであっても、全編がワンカットでなくても構わない。脚本や撮影の段取りの大変さを想像しながら鑑賞するのが楽しい。
本作はレストランを舞台にしたワンカット映画。冷静に考えると、あんなに短時間にあれだけの客数をさばくことができるの?と疑問に感じてしまうが、実はあまり気にならない。ワンカット映画にありがちな、時間経過の錯覚をうまく使っていた。
基本的にはシェフのアンディの感情を乱す出来事を描くのだが、その他の登場人物にも感情を乱すトラブルが続出する。そして沸点を迎える人たちが。実は群像劇のようにいろんな登場人物の物語が垣間見えるのが面白かった。
余裕のなさ、想定外のトラブル、チームワークの乱れ、マネジャーの人間がイラつく要素がてんこ盛りの展開。アンディ目線だと同じようにイライラしてしまうが、冷静に見てしまうと彼の自業自得に感じてしまう。その場しのぎの対応や感情を表に出してしまうこと等、上に立つ人間としてはアウトなことだらけだ。
ワンカットで話が進むから多少強引な展開があったり、伏線回収がわかりやすかったりするのも仕方ないところ。でも、不満なところがあっても、全体的には緊迫感があってなかなか面白かった。
三谷幸喜作品が好きな身としては、この設定、この展開でコメディだったらさぞかし面白かったんじゃないか?と思ってしまう。いや、人が傷つくのはもちろんなしだけど。
どの箇所が沸点なのか楽しみに…
カメラ1台でのワンショット映画と聞き、緊張感ある映像を期待して観てきました。
リハーサルで監督の演技指導はあったのだろうと思いますが、カメラ1台だから撮り直すことはできないので、そういう意味で俳優たちの醸し出す緊張感があるのだと思っていましたが、そんな緊張感は吹き飛ぶ別の緊張感で溢れて、このレストランが、シェフが、スタッフたちが、どうなっていくのか息もつかせないスピード感で回っていくカメラ、まるでレストランのホールや厨房をのぞき見している錯覚も出てきて、楽しめた作品です。
発想は素晴らしいがもう一度観たいかと聞かれたら微妙
90分ノーカットという前代未聞の作品。
イギリスの、とある格式高いレストランの舞台裏を切り取った作品。
まずそれを映画にしようとした着眼点もすごいし、90分ノーカットで撮り切るという狂気とも言える偉業にも鑑賞前から圧倒された。
どんなに華やかで上品な高級レストランだろうが、実際に裏はこんなもの。お客さんが当たり前だと思っている表舞台のエレガントさは、舞台裏の彼らの汗と涙、心労で成り立っている。
料理人というものを少しでも経験してきた人達は、これはまだマシな方と笑うかもしれない。
事実、料理人は先輩の料理人から理不尽に暴力を振るわれ、些細なことで怒鳴られたりすることが多い職業だ。例え高級な日本料亭だろうが、フレンチだろうが、それは国境を超えても同じこと。
劇中では、理不尽な客から人種差別的な扱いをウェイトレスがされたり、厨房と支配人の意見が噛み合わずに罵倒しあって対立する場面は、あるにはあるかもしれない。だが、現実のシェフはもっと過酷。ただし、あまりにもリアルに描きすぎると、ただのつまらない胸糞映画になるので、監督はその料理人あるあるの、汚い部分は描かなかったのだろう。あくまでリアリティを重視した、ノーカット撮影という、役者の緊張感をストーリーに混ぜた1つの芸術作品だ。
切羽詰まった調理場が、登場人物を介してすらすら流れていくので、退屈と言う人がいるかもしれない。事実、退屈な映画と言えば退屈ではある。そのへんのよくある映画と違って、感動も、涙も、笑いも我々に与えてはくれない。与えてくれるのは、「空気」だ。ただひたすら、タイトル通りの、登場人物それぞれが抱える鬱憤が沸騰している現場の「空気」を伝える映画。大きなスクリーンで見た分、その緊迫感はダイレクトに伝わるが、それだけの映画と言ってしまえばその通り。もう一度観たいかと聞かれたら残念ながら、私は首を横に振る。それに、終わり方も、少し物足りない気がした。あの後アンディがどうなったのか、まだ営業時間も終えていないレストランがそのままブラックアウトしていくのは消化不良。
キャパシティ
前情報ゼロで鑑賞。
登場人物はそれぞれストレスや疲労を抱える中で、キャパシティオーバーの営業の中にいる。
崩壊直前のレストランの模様が臨場感たっぷりに描かれる、そしてそれぞれが沸点を迎える。
その背景には、過剰労働、人間関係、人種差別、ドラッグ、自傷、多くの社会問題が存在。
どんな職場でもストレスは存在するけど、せめて60℃くらいで調整したいね。
鑑賞後はどっと疲れた。
全82件中、21~40件目を表示