ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行のレビュー・感想・評価
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画期的な映画史
マーク・カズンズ監督はスコットランドのドキュメンタリー監督でありグラスゴー大学の名誉教授、エディンバラ大学、スターリング大学から名誉博士号を授与されているから学識も豊富な上、これまで見た映画は1万6000作品以上、365日毎日欠かさず映画を観ているという映画好き。なんと彼に影響を与えた芸術家や映画監督の名前をタトゥーとして身体に入れています、なんと右腕には田中絹代さんの名前。
そんなカズンズ監督が2010年から2021年までの各国の映画を独自の視点でチョイス、分析した画期的な映画史でした。
二部構成で一部は「映画言語の拡張」、二部は「我々は何を探ってきたのか」。
技術革新で撮影手法も随分進化、ゴダールの3D撮影で奥行きが見え、VRで好きな方向が見える、GoProで魚の目を手に入れた、スマホ撮影、ストリーミングで観方も変わった。ジャンルの豊かさ、コメディーからアクション映画、ドキュメンタリー調の日常描写からSF的転換、ボリウッドのダンス映画、カメラワークやスローによる今までにないホラー映画、肉体の表現、貧困、移民、人種差別、侵略などの社会問題、コロナによる映画の衰退まで実に多岐にわたる、引用作品も多すぎるし3時間近い長尺だから、恥ずかしながらどれがどうだったかは覚えられませんでした。邦画は「万引き家族」で韓国の「パラサイト 半地下の家族」と並べていました、どちらもパルムドール賞をとっていますので分かりやすかった。一番好きな邦画は今村昌平監督の「にっぽん昆⾍記」だそうです。
インド、アフリカ、南米を含む111本の映画の壮大なコラージュ
映画『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』は、小説・TVシリーズ「ストーリー・オブ・フィルム」の最新作である。(本作HPより)
マーク・カインズは、1965年北アイルランド、ベルファスト生まれとのこと。故今村昌平氏とも面識があり、日本映画にも詳しい。まだ若いが、欧米では有名な監督なのだと知る。
111全作品の本編映像を本作の中に取り込んでいる。本作の前に、テレビシリーズがあり、その続編(最新作)のようである。やや、映画製作者や、関係者向けの教育的な観点から描かれている。一般の方にはおすすめできない。
一つ一つの作品の紹介は、数十秒だろう。
時々、新撮部分の人々の様々な表情のポートレートが挟み込まれる。
監督自身のナレーションは淡々と進む。鋭いインスピレーションと、映画現場での生の情報。
ほぼ全てが、現在までに公開された映画の断片のコラージュになっている。最近10年間の公開作を中心に、「フリークス」や、バスターキートンのような古典にも言及する。「マッドマックス怒りのサンダーロード」とバスターキートンのモノクロフィルムに共通点がある。
言及するときに、あえてその映画本編のカットを持ってきてくれたことがわたしには感激だった。とてもわかりやすく、文章で読んでもそれほど納得できないことが、瞬時に判明する。マッドマックスの創造力の原点を教えられた。確かにあの作品は編集もすごい。
「2001年宇宙の旅」や「猿の惑星創世記」「ゼログラビティ」などのSF大作もこの映画の中に登場し、「スパイダーマン・スパイダーバース」のような最新アニメもあり、Netfix製作のiPhoneのみで撮影された作品があり、低予算ドキュメンタリーあり、日本人にはあまり馴染みのないインド映画があり。「プロパガンダ」という北朝鮮によるプロパガンダフィルムという体裁を取った風刺映画(ニュージーランド製作)の紹介があり、殺人や戦争についてのドキュメンタリーがあり。
三時間は確かに長く、途中、「スローな映画」の時には眠りを誘われたが、それも監督の作戦だろう。
日本映画好きだと言う監督のわりには、日本映画への言及は少なかった。「万引き家族」くらいである。これは「万引き家族」がいかに先端的な作品かと言うことでもある。
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