「鑑賞後に心が清らかになって、純粋な気持ちになれる名作」さかなのこ ゴマさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞後に心が清らかになって、純粋な気持ちになれる名作
のん(能年玲奈)さんが大好きで、そこからこの作品を観にいきました。
なので、主演重視で「さかなクンは嫌いじゃないけど、内容は別に......」といった感覚で当初いました、私は。
しかし、それは観ていくうちに変わりました。
出演者それぞれの魅力を無駄にする事なく“優しく”且つ“純粋”に描いていくストーリー。
価値観やメッセージ性を押しつけていく説教臭いものではない構成。
笑いや涙を強く誘うわけでもなく、ほのぼのと自然な演出や音楽。
どれも素晴らしいものでした。
【父親は離婚したの?】や【ヒヨの恋人との会食の意味や、その恋人が途中で怒ったように途中退席の詳細は?】はといった疑問点。
【不良にしては理解力がありすぎるし、更生だかなんだかして人生上手くやりすぎじゃね?】といったご都合主義みたいなところ。
こういった弱い点も、当然ながらあります。
そんな弱い点も吹き飛ぶくらい、全編最高な作品なんです。
のんさんの演技は、演技を通り越したような自然過ぎるものです。
本当にちゃんと聞いているのかは怪しいしっかりとした返事や、「ん?」や「へ?」といったリアクションは、見事な間や純粋な目です。
水族館の水槽に落ちても笑顔で手を振っていたかと思えば、落ち込んだ様子で仕事に向いていない事を言われる落差。
コントのそれとは違うし、演じているわざとらしい感じもなく......。
それに、いろいろな思いを抱えたながらも優しく見守る母親役の井川遥さん、とても良かった。
胡散臭さ全開でよくわからない言葉を並べていき、最後は困惑したような表情で退場していく豊原功補さん、なんやかんやで最優秀助演男優賞ものだったと思います。
タイトルを回収する台詞を放つ“鼻の穴が大きいババア”の大方斐紗子さん、怪演でした。
語り出したらキリがないので、この辺で終わりますが......全ての面で、こんな名作に巡り合えるとは思いませんでした!!!