「のんがいとおしい いつまででも観ていたい」さかなのこ たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
のんがいとおしい いつまででも観ていたい
のん+磯村勇斗+柳楽優弥だけでほぼ満足してしまってあとはもういつまででもこの人たちをこの暗闇で観ていたいという映画の幸せに浸らせていただきました。
不良グループの喧嘩を俯瞰で行って戻ってまた行ってと古い喜劇映画のようにPANして見せるくだり。ミー坊がアパートに戻って来るといつも店の外で煙草をふかしている髪結いの亭主。139分が長いという人もいるがこの無駄な部分がええねんやん。
のんは間違いなく素晴らしい「ヒーロー」でそのきらめく存在感は本人が自負するように代替えが無く一言でいえば陳腐だがいとおしくてたまらない。かつてのタレント事務所が決して安売りをせず独立を許さなかったのもさもありなん。ただ一番きらめいたであろう20代の彼女の失われた数年が切ないがそれを含めてこの役どころがあまりにもピタリとはまってじぇじぇどころではない。
それにしても反省すべきは、私は予告編で何度も見て、さかなクンの半生を女性の設定に置き換えて描くのだと思い込んでしまっていたことである。子ども時代も女の子が演じていたのでもう確信に変わり高校生のミー坊が詰襟の学ランで登場してからも後戻りできなくなって困った。先入観で映画を観てはいけないということをつくづく肝に銘じたことである。
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