「ジョン・レノンとオノ・ヨーコと、エリッククラブトン、キース・リチャ...」ロックン・ロール・サーカス yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョン・レノンとオノ・ヨーコと、エリッククラブトン、キース・リチャ...
ジョン・レノンとオノ・ヨーコと、エリッククラブトン、キース・リチャーズらがこの収録のためだけのバンドを組んで演奏するという、驚くような映像がさりげなく含まれた本作。この収録のすぐ後に亡くなるローリング・ストーンズの初期メンバー、ブライアン・ジョーンズの楽しそうな表情など、数え上げれば切りがないほど貴重な映像が多数収録されているのに、当時は公開されることなく、長らく「お蔵入り」となっていた作品でした。
『サマー・オブ・ソウル』(2021)や『アメイジング・グレイス』(2021)など、当時何らかの事情で公開されなかったライブ映像作品が、後年になって公開されるという例は決してないことはないのですが、本作のゲストメンバーの豪華さを見ると、なぜ未公開になってしまったのかと思わず首をかしげてしまいます。ザ・フーの見事なパフォーマンスと較べてストーンズの演奏が見劣りすることをミック・ジャガーが不満に思った、などいろいろと言われていますが、真相は判然としません。
ただ実際の映像を観ると、「サーカス」というコンセプトが演奏と噛み合ってなかったり、結局のところこれだけ豪華なゲストメンバーをストーンズの前座扱いにしかしていない、テレビ用に撮影したためか、レストア版でさえも画質が厳しい(同時公開の『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』と比較しても顕著)などなど、ショーとしての完成度の低さが目立ち、仮に当時公開されていても、残念ながらそれほど話題にならなかったのでは、と感じました。
というイベント部分に関する問題はさておいて、これだけ重要な映像と音楽が現存していて、しかも今この時代に4Kレストア版を大スクリーンで鑑賞できるよう努力してくれた関係各位にはひたすら感謝!