私のはなし 部落のはなしのレビュー・感想・評価
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重要なことを描いている映画ではあるが
監督本人が学生時代に撮った映画における、その世界との邂逅、そこでの失望からこの映画が生まれたことはわかる。そして、歴史的事実、その背景を描くために、両論を併記し、最後は若者たちがかつての流行歌を歌うことで、まとめたことも、その意図はよくわかる。
しかし、この映画がどこを目指そうとしたのだろうか。その点はより明確にしないと、差別がなぜに存在し、それが無根拠であるから、ということだけでの展開は少し弱い気がした。終盤、差別問題を描くために、インターネットでの記述を提示したが、それらは10年以上前のものだった。今の時代に残る差別は、その頃と同じだろうか。
社会問題として題材に向かっているが、その一方で、今も残る差別の理由についてはほとんど描いていない。尺があった以上、そのあたりで観客をもっと振り回してくれてもよかったのではないか、と思う。
不快に思うかもしれません
205分、途中休憩ありという上映時間の長さに、どうしようか上映開始1時間前まで迷い、一か八か観に行った。
自分の住んでいる所には、映画に出てくるような人権センターのような施設もないし、人権の授業のようなものもなかった。
普段の会話で、出身中学を聞かれることはあっても、生まれの地区を聞かれたことはない。
なので、昔"アイドル高岡早紀"を目当てに『橋のない川』を観に行った時も、いまいちピンとこなかった。
「寝た子を起こすな」まさにそれで、この映画に出てくるのも西の地域。自分の中に部落差別という問題は、はなから存在しないものだった。
大人になって、他地域の人と交流が出来て初めて、部落問題を知ったに等しい。
同窓会の件で「怖いと思う人もいるかもしれない」と言った同級生に「何故か聞いたみたらいい」とあったが、それを聞いてしまったら“怒鳴り込んでくる人"と一緒ではないかとも思った。
悪気はなかったかもしれない、しかし"人権センター"という名称は重く感じる。正直きっと自分も躊躇してしまうかもしれない。差別意識ではなく無知、何をする施設か知らないから。
今の所にいる限り、この先も部落問題とは縁がないかもしれない。
差別意識はあると言っていた女性が、この問題はなくならないと言っていたが、差別する人と差別を盾に利益を得る人が両方いる限り、きっとなくならない。
この映画の制作意図ははっきりとは分からないが、率直に興味深い映画だった。
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