「なぜアフリカでは「親露派」が一定数いるのか理解できる映画」バトル・オブ・バンガス シローキイさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜアフリカでは「親露派」が一定数いるのか理解できる映画
ロシア軍によるウクライナ侵攻本格化が2022年2月24日から始まって以来開かれたロシアを主題とした国連の会議ではアフリカ諸国の棄権が相次いだ。その訳はロシアと深い関わりがあると報道されている点もあるが、アフリカでのロシア軍と民間軍事会社ワグネルの活動が不安定な治安の国家を支えているのも一因である。
映画では中央アフリカ共和国の正規軍に対する教練と治安維持の目的でロシア軍が展開しているが、中央アフリカは外務省の公表している危険度情報でも渡航禁止とされており、正常は常に不安定である。反政府組織や武装勢力がいる国はアフリカでは他にも例はある。中央アフリカはその一例であるに過ぎない。このような事態に対して、旧宗主国をアフリカ諸国は頼ってきたが、悪く描かれている国連軍とフランス人は「民主的プロセス」といった建前を崩すことができないために行動に移せない。この国連軍に対する見方は、単にロシアの「反ヨーロッパ感情」の表れだけにとどまらずにアフリカの失望にも置き換えることができると思う。
プロパガンダ映画なので、ロシアの活動を賞賛する趣があるが、そこを見てロシアの自尊心を保たすだけの映画と決めるのは誤りである。国連の活動がどうあるべきかということも暗に批判されているのである。
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