劇場公開日 2023年9月1日

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「もう少し細部にこだわって欲しかった」スイート・マイホーム 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5もう少し細部にこだわって欲しかった

2023年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

俳優の齋藤工がメガホンを取った映画ということで興味津々で観に行きました。ホラー要素満載ですが、サイコスリラーに分類するのが個人的には一番しっくりくる感じの作品でした。

俳優が監督を務めたことと関連があるのかは分かりませんが、役者陣、特に主役の清沢賢二を演じた窪田正孝と妻役の蓮佛美沙子、一級建築士の本田役の奈緒らの演技は、中々良かったと思います。ストーリー的にも、概ね良くできており、こんな怖い家があったら嫌だなあと、素直に感じたところです。

一方で、ディテールには疑問も。物語のポイントとなった清沢一家の新築マイホームの地下室には、集中冷暖房の機器が設置されてました。「建築基準法上は納戸だ」という説明があり、天井高も大人の背よりかなり低い地下室でしたが、一応採光窓らしきものはあったものの、地下なのに電灯が付いていないのは明らかに不自然。特に清沢賢二は閉所恐怖症らしく、モデルルームの地下室でも失神したくらいなので、注文住宅なのにも関わらず電灯を設置しないことや、閉所恐怖症対策として天井高を普通の居室並みにしなかったこととか、いろいろと気になることがありました。

また、殺人事件が発生し、刑事が被害者と関係があった清沢賢二のところに聞き取りのため捜査に来ますが、常に刑事が1人しかいないというのも不自然。普通2人で行動するでしょ。

まあ細かいところなんですが、こうした不自然さがあったせいで、ちょっと冷めてしまいました。ホラーの部分は思いっきり人外の存在を描いて欲しいと思いますし、本作ではその点良かったと思いましたが、「神は細部に宿る」と言われるように、人の世界の部分に関しては、もう少し現実に即して、丁寧に創って欲しかったと感じたところです。そうすることで、人外の恐怖にもリアリティが生まれ、映画の質もより高くなるのではないかなと思いました。

鶏