「海外の3DCGアニメ作品でよく見る、「ひたすら美麗で緻密な映像」を...」バッドガイズ ナスビームさんの映画レビュー(感想・評価)
海外の3DCGアニメ作品でよく見る、「ひたすら美麗で緻密な映像」を...
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海外の3DCGアニメ作品でよく見る、「ひたすら美麗で緻密な映像」を予想していたが、良い意味で裏切られた。とにかく演出がいい。3DCGで「絵柄が変わる」(マンガで言うところの、ギャグシーンで劇画風になる、のような)表現ができるのか!と驚いた。
また、本筋とそれ以外をストイックなまでに峻別し、しかし本筋以外のシーンもギャグに昇華することで取りこぼさない姿勢がよかった。つまりどういう話だった?と聞かれて容易に要約できるのに、それ以外の点でもお腹いっぱいになったという感慨がちゃんと残る。「あれってどうなったの?」もない。
キャラクターの描写も上手いと感じた。キャラクター一人一人を紹介しつつ、相関関係の中で内面を見せていくやり方に技術の高さが光る。才能(=舞台装置としての役割)を提示するだけでなく、ガッツリキャラクターの魅力を見せつけてくれるから、スムーズに好きになれる。ウルフがスネークを好きなように、鑑賞者もスネークを好きになれる。
本筋それ自体を切り取って考えると、ちょっと陳腐に感じてしまうのもわからなくはないのだが、しかし「この映画の中では」きちんと説得力があった。というかそもそも、これは悪役の更生というより、存在に対する愛というか、自由意志の尊重というか、そういう話なのだな。「どんな君でも好き」の嘘くささをいかに打ち破るかという点では、かなり頑張った方の映画だと思う。そこにこの映画の全てが投射されているかもしれない。
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