「駆け足だね~~(^-^*)」鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成 flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
駆け足だね~~(^-^*)
3部作の2作までで「起承転結」の「起」だけしか話が進んでおらず、本作のみで「承転結」をやらねばならんとは…と危惧していたが、まさに危惧したとおり、話が猛スピードで詰め込まれてしまい、原作を知っていないと話についてこれまい、という1本になってしまった。
3部作創れるとは思ってなかったんだろーな…
伏線もロクに張らずに回収だけするものだから、"お父さま"とホーエンハイムが瓜二つなこと、グリードの身の振り方、国土錬成陣、といった物語の鍵となるパーツがいきなり投げ出されるという、観客の理解が追いつかない代物になってしまっている。
最初から3部作構想があったのなら、1作目でスカーやイズミ、アレックス、リンやメイ・チャンまで出しておいて、"お父さま"も横顔くらいまでは何度か見せておき、2作目でホーエンハイムが出てきた時に観客に「エドとアルの父親が敵の親玉?」と思わせるミスリードを施しておけば良かったのにねぇ。
(原作では見事に騙された)
そして3作目の冒頭で、クセルクセスの回想シーンを持ってくればバッチリだったのに。「ロード・オブ・ザ・リング」と同じ手法だけど(^-^*)
「約束の日」というタームも国土錬成陣も、2作目のラストでは出しておかないと、3作目では怒濤のように複数箇所でバトルが発生するので、原作のこの緻密なプロットを観客に理解させることはできやしまい。
原作未読者の何人が、あのシーンがクセルクセスのことだと気づけただろう?
いやそもそもクセルクセスという国の名前、覚えてるだろうか(笑)
そんなわけで、まさに「起承転結」の「承転結」を1本でやってしまった詰め込みすぎ、駆け足すぎの映画になってしまった。分かってはいたけれど残念。
マスタングも割を食ってしまったのは、1作目でマルコーを殺しちゃうからだよ(笑)
それと個人的に許せないのは、キンブリーが出てこない!!
あの2作目のチョイ役で終わり?!
好きなキャラだったのに…
2作目のキンブリーで期待してたのに…
エンヴィーvsマスタング戦も、1作目で一度やってしまったために、なんで今さら?感が拭えないチグハグな印象になってしまった。
1作目でやってしまったのだから、今作では諦めなきゃ。
とにもかくにも、1作目を雑に冗長に創ってしまったのが、決定的に尾を引いている。
と、シナリオやプロットには不満しかないが、映像は迫力あったしそれぞれのシーンは役者の演技も含め、とても良かった。
なのでなおさら、シナリオのムチャさ加減が残念無念なのだが。
返す返すも、1作目をちゃんと考えて創っていれば…