「結末でもたらされるもの。それは理想か現実か。」シスター 夏のわかれ道 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
結末でもたらされるもの。それは理想か現実か。
「一人っ子政策」に関するこれまで漠然としか知らなかった実態が、ひとつの家族の肖像を通じて真水のように流れ込んできた。冒頭、両親が亡くなってしまうショッキングな前提条件が付与されるが、なるほど、こういった特殊な事例によって、我々は生まれた側、すなわち子供たちの視点でジレンマに満ちた世の中を見つめることが可能となる。真空状態にはまり込んだかのように、そこで初めて出会い、家族であることを認識する姉と弟。片や望まれずに生まれ、片や宝物のように大切に育てられた側である。先行するのは歴然としたわだかまりだったはず。ある程度年齢を重ね、ずっと我慢する側だったお姉ちゃんは特に。こういう心理描写ひとつひとつが興味深い上に、世代の違う叔母や叔父たちの境遇なども加えて、物語は立体的になる。ただし終盤、主人公の思考が感情に押し流されるのが惜しまれる。もう一歩、いや半歩先の結末を提示できたのではないかとも思うのだ。
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