「先入観を取り払って観て」シスター 夏のわかれ道 ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
先入観を取り払って観て
中国映画といえば、比較的近作でもどこか古臭い演出などがある印象なんだけど、本作はそういうところはエンディングテーマを除きまったく感じさせない。むしろ美しい撮影や演出の細やかさなども相まって、良質で現代的な作品になっている。
テーマも現代的で、個人の自己実現と家族のどちらを優先すべきかを、日本とも共通する「男系家族の跡取り」問題と中国特有の「一人っ子政策」を絡めて描いてゆく。ストーリー的にも主人公はあっちに揺れこっちに揺れ、迷いに迷う。
これは例えば「ヤングケアラー」などと欺瞞に満ちた呼び方をされる問題とも同じ構図で、とても普遍的な課題なんだと思う。主人公の最終的な選択が世間的な話題となったというがそれもそうした現れだよね。
主人公姉弟を演じた二人は本当に素晴らしい演技で、何度も涙を誘われた。そうした点も含め、現代中国を代表する傑作なのだと思う。先入観を取り払って観てほしい…
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