「中田 “それ”をやったら、終わり。」“それ”がいる森 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
中田 “それ”をやったら、終わり。
“Jホラー・マスター”の称号は今や何処に…?
近年はすっかり駄作や珍作の名匠となってしまった中田秀夫。
そんな中田が、やはり今回も期待を裏切らなかった! またまたまたやってもうた!
えー、すでに多くの方が言っておられる通り、これ、ホラーじゃねーし。
キャッチコピーの通り。♪︎ある日 森の中 ○○○に 出会った
SFやん!
何だか見てて、いつぞやのスティーヴン・キングの小説を映画化したビックリ作『ドリームキャッチャー』を思い出した。
って言うか、あれと同じ。ホラーかと思ってみたら、思いっきり○○○…いや、もうはっきり言ってしまおう、宇宙人出るし。
見せない演出で恐怖を煽るのかと思いきや、かなりの出たがりちゃん。
いや別に、宇宙人×ホラーをやりたいのならやればいい。ただ、森を題材にした本格ホラーを煽った宣伝は如何なものか。宣伝詐欺と言われても配給会社は甘んじて受け入れるしかない。
宇宙人×ホラーで、怖ければいい。
が!最近の中田だもん。ちっとも怖くねぇ。
少しでも怖がらせたいなら、シャマランの『サイン』ぐらいは見習おうよ。
さらに目に余るのは、そのチープさ全て。
宇宙人やUFOのデザインもいつの時代だよ?
こんな使い古されたネタ、今更やるかね…? 『NOPE/ノープ』だって宇宙人ネタだが、新味は出していた。
これらネタや設定だけじゃなく、話の展開や演出や脚本や音楽など、全てがチープ。いや、ダサい。
おまけに相葉クンの演技も…。緊迫感がまるで無い。
松本穂香は好きな女優さんだけど、これで助演女優賞ノミネートって…。さすが日本バカデミー!
子供たちも下手っぴ。
パンサー尾形の死体がカラスに突っ付かれてるシーン、あたしゃコントかと思ったよ。
宇宙人ちゃんたちもしっかりコントしてくれる。ノックするわ、子供を捕食してブルって分離するわ(この捕食の仕方は奇抜で、ギレルモ・デル・トロなんかは好きそう)、怪力の持ち主なのに植物の細菌であっさりお陀仏して強いんだか弱いんだか、って言うかそもそも怖いんだか怖くないんだか…。最後はあっさりサヨナラ。笑い、分かってるね~!
作品のオチも何と言うか…。宇宙人とドタバタコントして、ラストシーンは家族の絆再び。…え? 今までの事、何だったの…?
と言うか、何をやりたかったの…??
もうツッコミ所は尋常じゃないくらいあり過ぎて、いちいち覚えてられねぇや。
EDの“本物”映像で紹介されてる通り、福島県のある地域では頻繁にUFOが目撃されている。これ、福島では結構有名。
きっとこれをネタに、一本映画作ってみたかったんだね。多分。
そうそう本作、福島が舞台なんだよね。って言うか、福島舞台だったんか~い!…って感じ。
にも関わらず、公開時福島では対して話題にならず。
それもその筈。福島でロケしてないようだし。皆標準語で、方言や訛りもナシ。
何より、架空の町や森。天源森って、それ、何処…?
福島舞台なのに、福島じゃねぇ。
ホラーかと思ったら、ホラーじゃねぇ。
面白いかと思ったら、“ある意味”面白れぇ。
中田さん、“それ”をやっちゃあおしまいよ。
宇宙人とは別に、福島の怪談話では“安達ケ原の鬼婆”が有名なんだけど、いかがですか…?
でも、今のこの人じゃ…。
次の『禁じられた遊び』こそ期待出来るのかしら…?