「クズどもの狂宴」グッバイ・クルエル・ワールド bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
クズどもの狂宴
Amazon primeで鑑賞。
裏社会のに生きる、クズどもによる、血生臭いバイオレンス・サスペンス。登場人物全員が、行き場も無ければ、先も見えずに、金だけに群がるハイエナの如きゴロツキばかり。鑑賞後に何も心に響くモノも無く、只々、虚しさだけが残る。終始、人間の金に対する醜さを露にした暗い展開で、テンションも下がる作品だ。
ラブホテルで、ヤクザの裏金回収をしている現場を襲い、大金をまんまと奪い取った、互いの素性も知らない5人の強盗団。しかし、ヤクザもそれを黙って見過ごすわけもなく、現役刑事を取り込んで、強盗団を次第に追い詰めていく。
一方、強盗団の中でも、分け前の不公平さによって、内輪もめか起こり始める。そして、その内の2人が、ヤクザにも捕らえられてしまう中で、理性も吹っ飛び、強盗団同士でも銃口を向け合い、敵も味方も無く、血しぶき上げての狂宴が展開する。
作品的には、脚本や演出において、各シーンの繋ぎや突っ込みどころもいくつかあった。特に、ラストシーンでの大けがを負って血みどろの2人が、山梨県から静岡県に、一夜の内に移っていたのは、繋ぎのシーンとして違和感しかなかった。
とは言うものの、出演者については、豪華というしかない。主役の元ヤクザの強盗団を西島秀俊が演じ、同じく強盗団のチンピラ役を、西島とは『シン・ウルトラマン』でもコンビを組んだ斎藤工が演じている。また、若手の演技派の玉城ティナや宮沢氷魚と芸人・宮川大輔が、体当たりの演技を見せている。そして、ベテランの三浦友和もいぶし銀な演技で強盗団の一人を演じている。
他にも、強盗団を追う刑事には、本作の監督の実弟でもある大森南朋。そして、いかにも悪の幹部らしい鶴見慎吾と奥田英二が凄味をきかせていた。そんな中でも、奥野瑛太のチンピラ役は、本物としてか見えなかった。
本作は、こうした豪華俳優陣全員が、眉間に皺寄せて、凄味をきかせて語る演技を観るだけでも、なかなか壮観な眺めでもあった。ストーリーよりも、彼らの演技を楽しみたい作品とも言える。