「面白かった」神は見返りを求める Omiさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった
映像の雰囲気やテンポ感がとても見やすくて、自分好みだった。
出演している役者さん達も、ムロツヨシさんと青山ひかるさんは知っていたけれども、ほとんどが知らない人達だったので、役者さんの先入観抜きに映画の世界に入り込むことが出来て、とても良かった。
田母神さんとゆりちゃんの関係は、自分としては「父と娘」だと思う。
田母神さんは一切下心がなく、純粋にゆりちゃんの活動を支えようとしていたように見える。(下心があったら、そういう事をするチャンスはいくらでもあっただろうし)
娘のように大切にしていたからこそ、調子に乗っているゆりちゃんのことを真剣に叱っていたし、ふざけた人間にならないように必死に言葉をかけ続けたんだと思う。
一方ゆりちゃんは、なかなか売れない苦しい時期は田母神さんを頼ってきたのに、
いざ自分が売れ始めて、自分のことは自分や仲間たちで出来るようになると、田母神さんの感謝を忘れて邪険に扱う。(「感謝している」と口では言っていたけど、言葉だけの社交辞令でしょう)
この関係は物語の終盤になればなるほど浮き彫りになって、しっくりと来ます。
「被害者の若い女の子可哀想!ストーカーのおじさんきもい!」では片付けられない、泥臭いほどに深く純粋な因縁が二人にはある。
売れてない頃に二人で撮影して回ったシーンは、BGMも相まって心温まるものがある。
かと言って実際の父娘ではないから、田母神さんにもゆりちゃんにお金の無心をする所とか情けない所はあるし、ゆりちゃんが田母神さんへの愛着を思い出したのも本当にギリギリの所だったと思う。むしろ脚本の都合だと言っても良いくらい不自然だとすら言える。
実際の父娘ではない赤の他人、だけれども、ちゃんとした大人になれるよう必死に教え諭す田母神さんと、派手でふざけた世界でやっていけない自分の原点をジェイコブに見出すゆりちゃんという関係が、ものすごくプラトニックに見えた。