「善意の限界」神は見返りを求める カイトさんの映画レビュー(感想・評価)
善意の限界
観ていて我が振りを省みてしまうほど心を抉られた。人間誰しもが持つ人への善意、人に対しての不寛容が軽快かつ丁寧に描かれていた。
人間が持つ善意が相手にされなかった時、ここまで人は壊れてしまうのかと思うと恐ろしくてこれまで観た映画の中で1番虚しくなってしまった。
ここまで自分に影響を与えた最大の要因としてムロツヨシの演技があると思う。序盤の穏やかに寄り添い、人に向き合う田母神の姿は牧師のように全ての人に向けられていて、応援したくなるほど魅力的だった。しかし、周囲の不寛容が彼を一挙に襲い、彼の何かがプツンと切れた瞬間の怖さと切なさは計り知れないものがあった。
そこからの怒涛の展開は決して爽快なものでなく誰も救いがなくて粘着的に自分の心にこびりつくような後味だった。
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