「軽すぎる『愛国心』」教育と愛国 トダー・オートマタさんの映画レビュー(感想・評価)
軽すぎる『愛国心』
本作は教育現場についてのドキュメンタリー映画だが
道徳については最初のほうだけで
基本的には歴史認識についての内容になる
専門家ではないので、一般人の自分からすると
通説と呼ばれるものが正しいのか間違っているのかはわからない
だから、この映画で正しいと描かれる
「従軍慰安婦」「沖縄集団自決」「学術会議問題」などについては
どれが正しいとかはっきりと言えない
ただ、教科書の内容を決めるプロセスについて
不快な記述を反日や左翼とレッテルを貼ったり
また、閣議決定で簡単に教科書内容を変更できるようにしたり
さらには細かい言葉まで変更できるようになってしまった
現在では、政治家がかなり介入できるようになってしまったので
仮に現在の与党側の主張が正しいとしても
政権交代されるなどをすると逆にひっくり返るということを
考えないのか?
と疑問に思ってしまう
驚愕したのが「学び舎」の教科書を採択して学校に対して
同じ内容のハガキを200枚も学校に送ったりする行動で
もはや圧力としか思えない
そのような活動によって学校が委縮してしまった部分も描かれる
しかも、ハガキを送った個人であるとされる
森友問題で注目された籠池泰典氏などは
ハガキを送ったことについて
「やりすぎだった」「日本会議側の支持があった」と言って
「学び舎」教科書の何がダメだったのか
真剣に考えている感じがあまりなかった
また、東大名誉教授である伊藤隆教授については
「歴史から学ぶことはない」とか言ったりして
歴史学者なのに歴史の扱いが軽すぎる気がした
保守論客というのはこういう「軽い」人が多いのだろうか?
また、意外だったのが
自民党のほかに、日本維新の松井一郎市長や吉村洋文知事など
教育について愛国的な内容にすることについて
相当前向きだと感じた。
そして、吉村知事については
SNSで教員個人を晒上げて
ネットで叩かせるというやり方をするなど
主義主張の違いがあっても、そういうやり方は良くないと感じた
この映画では
『愛国心』を持っている人達の
言葉の軽さが目に付いた
杉田水脈議員が大学教授に「捏造した」と言っていたが
証拠が出せなかったりと
本当に教育に介入することで
子どものためを思っているのかが疑問な部分が多かった
もちろん、保守論客も過去は真面目にやってたかもしれないが
安倍、菅政権での教育政策については
「歴史教育が意味がないので、どうせ学ぶなら愛国的な内容にしよう」
という無責任さが見えてしまう
とはいっても、過去に問題とされた
『ゆとり教育』を受けた子供が
『ゆとり教育』でとんでもないバカ大量にでてきたということも聞かないので
歴史教育に問題があったとしても
子供の未来に悲観論になりすぎるのもよくないとも思う
しかし、学校に嫌がらせのように大量のハガキを送ったり
政治家がSNSで教員を晒上げたりする行為は
明らかにモラルを逸脱した行動なので
それは『愛国』ではない