「死に向かい続ける男が「生」に触れた時。」アイ・アム まきもと mamiさんの映画レビュー(感想・評価)
死に向かい続ける男が「生」に触れた時。
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めっちゃ阿部サダヲ。
最初から最後まで阿部サダヲ。
サダヲがもうほんとまきもと。
お話は、ずっと孤独死が描かれるのでわりときついです。でも笑える。自分が死ぬ時孤独であることよりも、死後に迷惑がられる方がずっとつらいなと思いました。
そして実は社会問題立ち向かっているのにファンタジーのような透明感があるのは、庄内の美しい景色とやっぱりサダヲのせい。
全体的は特に泣かなかったんですが、赤ちゃんをエア抱っこするところでじわっときてしまいました。ジャケットにしみがある。匂いを嗅いでみる。観客は「ん?なんだっけあれ?」と思う。抱っこのジェスチャーで、そのしみがやっと赤ちゃんによくあるミルクの吐き戻しであり、まきもとが昼間抱っこした赤ちゃんを思い出していることがわかる。空気は読めないし、なかなか人の気持ちもわからない彼、そして常々死に対面している彼だけど、「生」を慈しむ気持ちはちゃんとあり、もしかしたら子を成したかもしれない自分の姿にも思いを馳せたのかもしれない。まきもとのキャラクターを膨らませるとても良いシーンだった。
まきもとが孤独死のように事故死し、無縁仏になることで完結する物語、なのは理解できたが、やはり車椅子とかでカブラギの葬儀に現れて欲しかったし、葬儀の後塔子さんとも語り合って欲しかったな。
そして、ラストのラストの死者の集まりははっきり言って蛇足だった。
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